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恵まれたと思ったら恵まれなかった人の逆転劇っぽい話  作者: まさと・とむら
番外編 アリスの話
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第57話【大仕事】

「アリス、今日からお前を聖騎士のリーダーにする」

聖騎士全員が集められた王室で、マゲベウはアリスに言った。


部屋中がザワついた。


「はい…」

アリスは、心の無い返事をした。



「どういうことですか?まだ新入りですよ?」

エルザが王に尋ねた。


「なぜって、アリスが1番活躍しているからだ」

「それでも早すぎます!まだ3ヶ月しか…」

「私の決めたことに不満があるのか?」

「いや…」

エルザは、マゲベウに反論出来なかった。


「まぁ、エルザはサブリーダーだ」

マゲベウはそう告げる。


「やけに王に好かれてるな…」

エルザは、呟いた。

そして、謎の"違和感"を感じ、"疑い"を持った。


「それと今日集まって貰ったのは、今から聖騎士20人に依頼を頼みたいからだ。

ここから見える山にある大きな洞窟にSランクの魔物がいる、そいつを倒さないと王国が破滅しかねないんだ。その魔物を討伐して来てほしんだ。魔王の家来という噂もあるらしいからな。

ギルドに、この国の冒険者達と協力できるように要請もしてある。

この統括がアリスが初のリーダーとしての仕事になるから皆も協力してやってくれ」

王室にいる全員に伝えた。


「それとアリス、失敗したら…分かってるね?」

マゲベウは、アリスにしか聞こえないくらいの声で言った。


「はい…」

アリスは、心ここに在らずという感じだった。




「どうも、皆さん!お早いですね」

アリスは早くから集まっていた冒険者に声をかけた。


その中にエースの姿があった。

アリスの目に光が戻った。


(あれ?奨ちゃん! 元気そうでなによりね。私も気合い入れなきゃ!あれ?…奨ちゃんに手がある!)

アリスに魂が宿った感じだった。



「それでは皆さん、行きましょうか」

全員が洞窟に向かっていった。


洞窟の入口に到達し、作戦会議を開始した。


「我々、聖騎士団が先頭と最後尾に別れます。先頭の方に15人、後ろの方に5人、そしてその間に、皆さんがお入りください」

アリスはメンバー全員に指示をした。


「おう」

猫背の男の人が代表して返事をした。


「それでは皆さん、行きますよ」

アリスはそう言い先陣を切った。


洞窟の中は神殿の中みたいな光景が広がっていた。


「皆さん、周辺に充分なご注意を」

洞窟の中は凸凹なので、アリスはこまめに声をかけた。


そういうアリスは、エースばかりを気にしていた。

(なんで、手があるの?何があったの?緑色なの?〇ッコロ大魔王だったの?)



「ピヨピヨピヨピヨー!」

野太い魔物の鳴き声が聞こえた。


「来ます、皆さん構えて!」

アリスは腰を低くし剣を構えながら、言った。


(そうだ、今は奨ちゃんを気にしてる場合じゃ無かった)

アリスは、現在の状況を思い出した。



かちゃんと鎧が擦れる音が響いた。


「ピヨピヨピヨピヨーーー!」

奥の方からムキムキボディで脳みそにそっくりな気持ち悪い顔をした、魔物が現れた。


「腹筋カレーのルウみたい!」「胸メロンかよ!くっつけたらスイカになっちゃうぞ!」

エースが叫ぶ。アリスは変わらないエースをみて泣きそうになった。

(自分は、すっかり変わってしまっていたのかな)



「ピッピッピヨピヨ!」

魔物は、口から白い粉を吹き出した。


「な、なんだこれ!」「前が見えねぇ!」

洞窟内にいた人が全員真っ白になっていた。


「【モンスーンフロー】!」

猫背の人が唱え、強烈な風が吹いた。

白い粉が全て吹き飛んだ。


「すまない」

「いえいえ、これが仕事です」


猫背の冒険者のお陰で視界良好になった、聖騎士団は、魔物に斬りかかった。


「【アイシングクール】!」

大きなハットを被った冒険者が唱えると、魔物の足元が氷で覆われた。

魔物は、歩けなくなった。


「かかれー!」

聖騎士団が一斉に斬りかかったが、全て筋肉に弾き返された。


「歯が立たねぇ」「こいつ相当固いぞ」

聖騎士団が悲鳴をあげる。


「【ビスネイル】」

やる気の無さそうな冒険者が唱えると、無数の針が魔物を襲った。



「ピヨピヨピー!」

無数の針が刺さっているのに、魔物は、ひるまなかった。

それどころか、スピードとパワーが少し上がっていた。

針治療と同じ効果があったようだ。



「皆さん!ナイス援護です」

アリスは、冒険者たちに感謝した。



「ピーヨピーピー!」

魔物は、口から黄色い粉を吐き出した。



アリスの前でとんでもないことが起きた。

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