第55話【失敗】
「アリスよ、とある村の近くに魔物が現れた、Bランクの魔物だがお前のスキルと剣術なら倒せるはずだ」
依頼が終わってから1週間後、マゲベウはアリス1人に魔物の依頼を命じた。
「どうして1人なんですか?」
前は3人だったから、今回1人だけである事にアリスは不思議に思った。
「貴重な戦力が何かで減るのはこっちとしても致命的でね、極力もしもの時の犠牲者を減らしたいんだよね」
そう言ってアリスに依頼を任せた。
「ここが例の場所かあ、緊張する」
アリスは討伐対象のモルタンのいる森に来ていた。
「君、聖騎士?もしかしてモルタンを倒しに?」
アリスは後ろから声を掛けられた。振り向くとそこには白髪ポニーテールで、ボロいが見ただけで冒険者と分かる服装をした女性がいた。
「ええ、そうよ」
アリスはいきなり声をかけられたので戸惑ったように答えた。
「いきなり話しかけてごめん。私マリーネっていうの」
「私アリス、貴方もモルタンを倒しに?」
「そうよ。」
「なら私と一緒に行きませんか?1人より2人の方がいいと思うし」
「勿論良いわ。よろしく、アリス。」
マリーネの返事は、少し冷たさがあった。
2人はモルタンの目の前まで辿り着いた。
モルタンの見た目は、ただの壁のようだ。
しかし、よく見ると手足が生えており、真ん中に顔もある。何故か、童顔だ。言わば、ぬりかべだ。
「それじゃあ行くよ!」
アリスの掛け声とともに、2人同時に壁に突っ込んで行った。
「【空間支配】!」
アリスのスキルで、モルタンの周辺を真空状態にした。
モルタンは、身動きが取れなくなった。
「そぉぉぉぉれっ!」
マリーネは、モルタンに向かって斬りかかった。
キィィィイン
マリーネの剣が弾き返された。
「なに!?」
2人は、驚き焦った。
「【ウォーターボール】!」
すぐさまマリーネが唱えると、モルタンに向かって水が放たれた。
しかし、モルタンの体に吸い取られた。
「嘘でしょ?」
マリーネは落胆した。
「うぉぉぉぉ!」
アリスが、攻撃した。
モルタンに少しヒビが入った。
「【時間操作】!」
アリスは、すかざすモルタンの時間を進めた。
すると、ヒビがだんだん大きくなっていった。
「今よ!もう一度ウォーターボールを!」
アリスは、マリーネに向かって叫んだ。
「…【ウォーターボール】!」
マリーネが唱える。
モルタンに向かって水が放たれた。
「ぬぉぉぉぉ!」
モルタンは、叫び声とともに崩れて行った。
「さすが、聖騎士ね。でも、聖騎士は、気をつけた方がいいよ、悪い噂しか聞かない。それを貴方に伝えたくて、話しかけたの」
マリーネが、言った。
「どうゆうこと?」
アリスは、首を傾げた。
「……いや、なんでもない。それにしても、凄い判断力だったね」
何も言ってなかったかのように、マリーネは、アリスを褒めた。
「えっへん!これでも高校は、土木・建築科なんだよね」
アリスは、無い胸を張って言った。
しばらく休憩し、アリスは、城に戻ることにした。
「それじゃあ、今日はありがとね」
アリスは、マリーネにお礼を言って城へと戻った。
「いいえ、こちらこそ!」
マリーネは、アリスの離れゆく背中に叫んだ。
「ご苦労さん、じゃあ、次の依頼も頼む」
マゲベウはモルタン討伐依頼から帰って来たアリスにSランクの魔物の討伐を命じた。
「そんな無茶な…」
しかし、アリスは反論出来ず、依頼へと向かった。
「これがSランクの魔物」
アリスはある洞窟に来ていた。
そして、討伐目的の魔物 レッドドラゴンと遭遇していた。アリスは震えていた。
アリスは、スキルを使いながら剣を振ったが、レッドドラゴンに攻撃を与えられなかった。
「なんて強さなの…」
アリスは劣勢だった。小さい技では全く効かないので大きい技を繰り出そうとした。
アリスにとって最高の一撃をレッドドラゴンにぶつけた時、剣が折れてしまった。
「嘘...でしょ」
攻撃が効かず、アリスはすごいショックを受けていた。それに剣が折れてしまいアリスには撃つ手が無かったため、逃げ出すことしかできなかった。
この依頼は失敗に終わった。
「お前には失望した」
「この失敗の償いとしてこの私が指導してやる……グヘヘ」
マゲベウはアリスにそう言い放った。
これがアリスにとって地獄の始まりだった。




