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恵まれたと思ったら恵まれなかった人の逆転劇っぽい話  作者: まさと・とむら
3章 王都へ
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第36話【食糧調達のはずが…】

「今日は、何をしよう」

王都へ向かうのは決まっているが、それまでの道のりの予定は決まっていない。


「とりあえず、近くの町に行ってみるか」

王都に行く途中にある町に寄るという予定が決まった。

町があると決まった訳では無いが。


しばらく、歩いていると町を見つけた。


〖ラハタハタ村〗というところらしい。


「"町"と"村"何が違うんだろう?まいっか」

エースは、考えるのをやめた。


とりあえず入ってみた。1日で持っていた食糧は食べきっていたので、ここで食糧調達をする予定だ。


村に入ってみると、空気がピリついていた。

近くを通りかかった現地の人に訊いてみると、今日はレースがあるらしい。

そのレースで1位を取れば、賞金が手に入るらしい。


「よそ者でも参加出来ますか?」

「あぁ、もちろん」


「よし、参加しよう」


エースは、参加することにした。



「集まって来てくれた諸君よ!今回のレースの内容は、"5時間でどれだけの量の魔物を倒したか"で勝敗を決める!1位は、賞金と…私の息子になる権利を与えよう!」


「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」


村長の言葉で会場が沸いた。


「そんなの聞いてないぞ?」

エースは、戸惑った。

全員が賞金よりも娘を求めていた。

エースは村長の娘は、別に要らない。


「えー、で、あるからして…」


どこの世界でも、お偉いさんの話は長いようだ。


「おい、見ない顔だな、冒険者か?」

エースの隣にいた、知らないイケメンに声をかけられた。


「まぁ、そんな感じです」

冒険者登録はしてないけど冒険者という事にした。


「お前も、村長の娘狙いか?可愛いもんな、シーナミルお嬢さん」

村長の娘は、シーナミルと言うらしい。そして、可愛いらしい。

しかしエースは、そんなことには興味が無かった。


「噂で聞いたんだが、この大会で1位になれば、魔法の書も手に入るらしいぞ」

「そうなんですか?」


エースは、「1位を取るぞー!」と、心の中で燃えていた。



レースが始まった。一斉にむさくるしい漢達が村を出た。

エースは、スタート地点に取り残された。


「よし、行くか」

エースも村を出た。



近くの森に入ると、倒れている漢達がたくさんいた。


「あれまー。皆やられてるじゃん」

倒れた漢達の息はあった。死んではいなかった。


エースも森の奥に入っていった。

小さな虫みたいな魔物達がたくさんエースに寄って来たが、一瞬で返り討ちにした。


「既に、30匹はいるな」

虫くらいのサイズだが、量としては、まあまあだった。


「でも少し気持ち悪いなぁ」

小さな虫がうじゃうじゃいる為、エースは怖くなって震えた。


森の奥を歩いていると、洞窟を見つけた。

「入ってみるか」

エースは、勇気を振り絞って洞窟に入った。


洞窟の中は、コウモリの糞と湿気のせいで臭かった。

洞窟特有の臭いだ。


松明の変わりは、【ボヤ】を採用した。

ちょうど良い明かりだった。


「そういえば、明里は元気かな?」

"明かり"を見てエースは、ふと思い出した。

「王都に着いたら、訪ねてみよう」

"王都に着いたらやること"リストに追加された。


そんなことを考えていると、魔物の気配がした。

そのまま奥へ進むと、熊みたいなヤツを見つけた。


「グォォォ!」


見つかった。

猛スピードでエースに突っ込んできた。


「【ピッチクイック】!」

エースは、スピードを上げた。

そして、熊のタックルを避けた。


「【ドゥクシ】!」

エースは、攻撃力を上げた。

そして、会心の一撃を喰らわした。


ホイスーの体術魔法が役に立った。


倒れた大きな熊を洞窟から引きずり出した。


「さて、どうやって持ち帰ろう」

エースは、立ち尽くした。


「そうだ!スキル【長打力】」

エースは、【長打力】を使って前に飛ばしながら進んだ。

あっという間に森を出た。帰る途中でも、小さな魔物が大量に襲って来たが、簡単に返り討ちにした。

行きの魔物は、例えるとヘラクレスくらいの大きさだったが、帰りの魔物は、大きめのラフレシアくらいの大きさだった。

少し大きくなったとはいえ、50匹くらいいたので気持ち悪かった。



「ただいまより、測定を開始します。参加者の皆さんは、並んでお待ちください」

村に戻ると大会関係者が呼びかけていた。


村では、計測作業をしていた。

「皆、大きめの魔物ばっかりだな…」

他の参加者は、小さくてもイノシシくらいの大きさばかりだった。


「いよいよ、僕の番か」

エースの番が回ってきた。


「はい、えーと……ミクロノライノスが30匹………30匹?!どこに、こんな数いたんだ?」

「普通に森の中にいましたよ」

「なんだと?」

エースは、不安になった。何かやらかしたのではないかと。


「えー、次が……アントノバッタが50匹………ご…50匹?!どこにいたんだ、こんな数…」

「森の中に…」

「何?!」

「デジャブだ。」とエースは思った。


「えー、最後に……その大きな魔物はなんだ?」

測定員が熊に向かって指さした。


「森の中の洞窟にいました」

「これは、まずいな……」

測定員が顎に手を当てた。


この状況は、異常事態らしい。



「なんと優勝は……通りすがりのスーパーヒーロー エース・スラッグだ!!」

エースは余裕で優勝した。


ミクロノライノスはCランクの魔物で10匹以上が同時にいることは、少ないらしい。

アントノバッタもCランクの魔物で、1匹でもかなり珍しい魔物らしい。

洞窟にいた熊みたいな魔物は、レディミクストベアーという魔物で、Aランクの魔物らしい。とても体が硬く普通の攻撃では、ビクともしないどころか、素手で殴れば骨折する程の硬さらしい。

この村は、レディミクストベアーに怯えて過ごしていたらしい。

そんな魔物をエースは、素手で殴って倒していた。



「君は、なんと素晴らしい力の持ち主なんだ。是非とも私の息子となって欲しい」

そう村長に言われ、連れていかれた場所は、シーナミル・グリスがいるところだった。


「あのー、僕はそうゆう目的できたのではなく…」

村長の耳には届いていなかった。


「まさか、うちの村の問題まで解決してくれるとは、エース君、君は大したものだ」

村長を止めることが出来なかった。


そして、ある女性の元に着いた。


そこには、亜麻色のストレートヘアーで透けるような乳白色の肌。目、口、鼻はパーツでみても美しい。すべてが整っている美少女だ。


「おい!シーナミル!お前のお婿さん、エース・スラッグ君を連れてきたよ!」


「……」

シーナミルは、口を噤んでいた。


「なんだ?シーナミル、嬉しくないのか?」


「誰が、欲しいなんて言った?勝手に決めないでよ!」

親子喧嘩が始まった。


「私は、お前の為を思って…」

「うるさい!すぐそうやって私の為だとか言って」

「私は、シーナミルが過ごしやすい様に…」

「もう、私の事はほっといて!」

バタンと大きな音を出してドアを閉めた。


シーナミルは、部屋に引きこもった。


「ったく」


「あの〜、発言してもよろしいでしょうか?」

エースは、勇気を振り絞った。

「あぁ、なんだ?」

キレ気味に返された。


「僕は、お婿さんになりに来た訳ではなく……」

「何?!」

火に油を注いだようだ。


「僕は、冒険者なのでお嫁さんを貰っても幸せに出来るとは限りません。色々な所を転々としますし、魔物とも戦います。お嬢さんを危険な目に遭わすわけにはいきません」

エースは、頑張って説得した。


「…そうだな、すまなかったエース君。つい、嬉しくて……。シーナミル!お前には、悪い事をした。すまなかった。」


話は丸く収まった。




翌日、エースは賞金と、レディミクストベアーの討伐お礼で食糧を山ほど貰った。食糧はすべて乾燥させてあり、長持ちするらしい。



エースは、ラハタハタ村を後にした。

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