第29話【デート】
「エース君っ!一緒に買い物行くよ!」
ある日の朝、エースの部屋にフィリアが飛び込んできた。
「いきなり何なんですか?」
「だってエース、この町に来て一回も中心街に行ってないでしょ?」
言われてみれば、そうだった。この町に来て1ヶ月半、一回も中心街に行ったことがなかった。
「そういえば、行ってないですね」
「でしょ?だから一緒に行こう!ついでに新しい服を買ってあげる。」
この世界に来て、今まで制服のままだった。
新しい服というのは悪くなかった。
「じゃあ…行きます」
外に出てみると、約1ヶ月居るというのに初めて見る景色だらけだった。
通りを歩いていると、フィリアが訊いてきた。
「そういえば、エースって何級魔法までは、使えるの?」
「魔法に階級があるんですか?」
初耳だった。
「え?あの人から聞いてないの?」
「詳しいこと聞いてないです」
フィリアは、頭を抱えた。
「あの人ったら、何を教えてるの?」
「いいわ、今から教えてあげる」
「ありがとうございます」
「魔法の階級には、初級・中級・上級・超級・聖級・神級があるの。初級は半人前が扱える、中級になると1人前が扱える魔法っていう感じになるわ」
「なるほど…」
「上級はプロ、超級は最強クラスっていう感じに分類される。この世界にいるのは、恐らくこの辺までだと思うわ。ちなみに私は、上級で…ホイスーも上級よ」
「じゃあ、聖級と神級は?」
「聖級は、伝説上の階級。神級に至っては、ただの噂だと言われてるわ」
「じゃあ、神級の魔法ってどんなのがあるんですか?」
「そうね…確か、オールマジックという魔法があった気がするわ。でも、小さい頃に聞いた話だから……」
オールマジック…その言葉にエースは聞き覚えがあった。一瞬バレるのではないかと緊張した。
「オールマジックを使う人っているんですか?」
「小さい頃に読んだ本によると、神様しか使えないとかなんだとか……書いてあった気がするわ」
エースの頭にピースをした笑顔の神の顔が浮かんだ。
「絶対、アイツだ…」と思ったが、口には出せなかった。
色々な意味で心臓バクバク状態から始まった、エースとフィリアの買い物だった。




