第2話 【人生延長戦への切符】
「石田奨大よ、お前の生前の行いは素晴らしい。よって、貴方には人生延長戦への切符を与える。しかし、生きる世界は今までとは違う世界。貴方からすると"異世界"という世界になる。使うかどうかは、貴方次第です。」
神(自称)は奨大にそう伝えた。
奨大は苦い顔をした。そりゃそうだ。いきなり異世界に行けというのだから。丸腰で行ける場所でもない。それに、まだ神と信じた訳では無い。
「もちろん、異世界に行くのなら何かしらの能力や欲しい物を貴方に授けます。」
奨大の苦い顔を見て神(自称)はそう付け加えた。
「まぁ、まだ生きれるならばそうしてもらいたい」
17年で人生を終えるよりは"生きる"という選択をする方が良いに決まっている。
「うむ。その思い承った。では、何が欲しいのか言ってみよ。」
異世界での必須アイテムなど知るわけもない。
それに、まだ神と信じた訳でもない奨大は、冗談で言った。
「じゃあ…明里、星野明里を連れて行きたい」
「ほぉ〜。それはなぜ?」
まさか神(自称)に深掘りされるとは思わなかった。
返答を考えて無かった奨大は、咄嗟に言った。
「明里は、僕を守ってくれたし僕の味方でいてくれた。ずっと、僕の隣で支えてくれたから。」
咄嗟に出た言葉なので、これが奨大の明里に対する本当の気持ちなのだろう。
「恋しちゃってんじゃん。ヒューヒュー」
神(自称)に小学生のように冷やかされた。
奨大は、恥ずかしさで死にそうになった。もう死んでるのに。
「まぁ良い、その願い叶えて見せよう。」
神は、変な儀式を始めた。