第148話【底なし沼にハマった時の対処法】
「今すぐ、引っ張るので頑張ってください」
エースがカヤに言った。
「お願いします…」
カヤが恥ずかしそうに言った。
「皆さん、行きますよ!せーのっ!」
エースのかけ声と同時に4人でカヤの両腕を引っ張った。
「い゛た゛い゛!い゛た゛い゛!い゛た゛い゛!ちぎれる!腕がぁぁ!」
カヤは、引っ張られる痛みに耐えられず叫んだ。
「…どうしたらいいんでしょうか」
エースがフィリアに訊いた。
「知らないわよ」
フィリアもお手上げだった。
「とりあえず、水を入れて泥を柔らかくしてみる?」
マリーネが言った。
「まずは、そうしてみましょう」
そう言って、エースが水を泥に注いだ。
「…なんか、余計沈んでる気がする」
カヤの様子を見て、フィリアが言った。
「ちょっと、考え直してみた方が良くない?」
アリスが皆に言った。
「確かに…すみません、もう少しそのまま待っていてください」
エースがカヤに伝えた。
「分かりました、エース様。ただ、なるべく早くして欲しいです」
カヤが少しづつ沈みながら言った。
「このままだと、カヤがアイルビーバックすることになるよ」
アリスが言った。
「いや、沈んだら戻って来れないでしょ」
エースが言った。
「そういえば昔、底なし沼にハマった時の対処法をみた気がします」
エースが思い出したように言った。
「早く、思い出さないと!」
フィリアが言った。
「ちょっと待ってくださいよ」
エースは、一生懸命急いで思い出そうとした。
「思い出しました!」
エースがひらめき顔で言った。
「よくやった!」
マリーネが言った。
「とりあえずカヤさんは、そのまま横になってください」
エースがカヤに指示した。
「横になったら、全身が埋まるまでの時間が短くなるよ?」
アリスがエースに言った。
「横になると、体の重さが分散して沈みにくくなるらしいですよ」
エースがアリスに説明した。
「分かりました!」
カヤは、上半身だけ倒した。
「まずは、カヤさんが埋まっている場所の周りの泥を固めます。もしくは、平らな木の板を敷くのでもいいと思います」
エースが泥を魔法で固めながら言った。
「いい感じに固まったわよ!念の為その上に木の板も敷いて置いたわよ」
アリスが言った。
「そしたら、カヤさんの周りの泥に水を注ぎます」
エースが水を注ぎながら言った。
「そしたら、また沈んじゃうよ?」
マリーネが言った。
「水を注いで、沈むということは泥が柔らかくなった証拠です。だから、その泥が柔らかいうちに、頑張って引っこ抜けばいいんですよ」
エースは、そう言いながら、カヤの体を抱いた。
「皆さんも、カヤさんをしっかり掴んでください」
エースが指示をして、全員でカヤを掴んだ。
「行きますよ!せーのっ!」
エースのかけ声とともに、全員でカヤを引っ張った。
すると、カヤの体が少しだけ持ち上がった。
「このまま行きましょう!せーのっ!」
エースのかけ声でまた全員でカヤを引っ張った。
すると、カヤは泥沼から抜け出すことが出来た。
「皆さん!ありがとうございます!助かりました…どうしました?」
カヤは、エースが顔を赤くして目を逸らしていることに気づいた。
そして、皆の目線を追って、自分の下半身を見た。
「きゃぁぁぁ!」
カヤはズボンが脱げていることに気づいた。
「私のズボンはどこ?」
カヤは、急いで自分のズボンを探したが見当たら無かった。
「多分、泥の中じゃない?」
フィリアが泥沼を指さしながら言った。
「そんなぁぁ!」
カヤは、泣きながら言った。