第147話【港に到着】
「ようやく、海が見えてきましたよ」
顔が凹んだままのエースが言った。
「よしっ!もう少しだ!」
フィリアが嬉しそうに言った。
「あともう少し、皆さん頑張りましょう!」
エースが皆に喝を入れた。
「すみません、大陸を渡る船はどれですか?」
港に着いた時、近くの従業員にエースが尋ねた。
「申し訳ございません。ただいま、船を出すことができない状態となっておりまして…」
従業員が頭を下げて言った。
「どうして?!」
アリスが驚きながら尋ねた。
「それが…すべての船のエンジンが作動しなくなりまして…」
従業員が申し訳なさそうに言った。
「直るまで、どのくらいかかりますか?」
マリーネが尋ねた。
「早くて…1年半くらい…ですかね…」
従業員が言った。
「「「「「1年半?!」」」」」
全員が驚いた。
「申し訳ございません!」
従業員が勢いよく頭を下げた。
「ところで,そこの男性の方はなぜ顔が凹んでらっしゃるんですか?」
従業員が尋ねた。
「あ、気にしないでください」
アリスが従業員に言った。
「どうする?1年半待つ?」
フィリアが皆に訊いた。
「1年半は……待てないね…」
マリーネが言った。
「そうだよね…」
アリスが言った。
「…そういえば、カヤはどこに行った?」
エースは、カヤがいないことに気づいた。
「そういえば、いないね」
フィリアが言った。
「みなさーーん!助けてくださーーい!」
遠くの方から、カヤの声が聞こえた。
「カヤちゃんの声がするよ?」
マリーネが周りを見渡しながら言った。
「ここでーーす!ここ、ここ!ここにいまーす!」
遠くの方に手を振りながら叫ぶカヤの姿が見えた。
「あ、あそこにいます」
エースは、カヤに気づき指さした。
「何してるの?」
カヤの元に駆け寄ってアリスが言った。
「すみません、泥沼にハマってしまって…抜けなくなりました…」
下半身だけ埋まった状態のカヤが言った。
「何やってんだ…」
フィリアがため息をついた。