第139話【悔い】
「何もしたくない…」
エースは、ギルドから戻ってまたベッドに潜り込んだ。
「お金もあるし…このままここで過ごそうかな…」
エースの顔は、酷くやつれていた。
『やっほー聞こえる?』
エースの頭の中に神の声がした。
「何しに来たんですか?」
『この度は、ご愁傷さまです。』
「冷やかしか何か?それならもう帰ってくれ」
『あれ?元気ないね。』
「そりゃそうだろ。アリスとマリーネとフィリアさんが…」
エースは、思い出しまた悲しくなった。
『それは残念だったね。でもそのままでいいの?』
「もういいんだ…みんなの居ない世界なんて」
『でもね、アリス達は、それを許さないんじゃない?』
「…」
『だってみんなの目的は、ボスを倒すことでしょ?それなのに野生の魔物にやられてるんだよ?みんなの悔いじゃん。みんな悔いが残ってると思うよ。』
「でも、僕ひとりじゃボスを倒せないだろうし…」
『君にはまだ仲間がいるじゃないか。』
「そんな人いったけ?」
『まぁ、いいや。エースよ、その遺灰を持ってその村の近くにあるアンドロメ山に向かいなさい。すると良いとこが起こるでしょう。知らんけど。』
「は?」
『でも、とりあえず君はみんなの為にも旅に出なさい。エースが踏み出せば世界は変わるはずだよ。』
神の声が遠ざかっていった。
「……しょうが無い。明日向かってみるか…」
エースは、明日の朝には引きこもり生活から抜け出すと誓った。
「でも仲間が……いや、アイツがいたな…とりあえず、みんなの心残りを無くしてやろう…」
エースは、自分に強く言い聞かせて決心した。
次の日、村を出てしばらく歩き、口笛を吹いた。
すると、地面から女の人が飛び出てきた。
「エース様、お呼びでしょうか?」
カヤがエースの前に片膝をつき言った。
「付き合ってくれませんか?」
エースがカヤに言った。
「もちろんです!これでエース様の彼女に…」
カヤは嬉しそうに言った。
「とりあえず、あの山までついて来てくれればいいので…」
エースが山を指しながら言った。
「あ、付き合うってそっちね…」
カヤは少しガッカリした。