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恵まれたと思ったら恵まれなかった人の逆転劇っぽい話  作者: まさと・とむら
6章 ジャッパ大陸
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第137話【かなしみ】

「結局僕は…明里を守れなかったな…守られてばっかだった…ごめんな…」

村に入って彷徨いながらエースは、明里との思い出を思い出し涙を零した。


「おぉ、エースじゃないか!久しぶりやのぉ!」

突然、聞き覚えのある声に話しかけられた。


エースが顔を下げると、ホイスーの姿があった。


「おぉお前!何を泣いとんや!男なら涙なんか見せるな」

ホイスーがエースの顔を見て言った。


「あれ、ホイスーさん?何してるんですか?」

エースの声は蚊のようなものだった。


「それが、遊園地でお前らに会ったあと『エースとアリスとフィリアのせいで壊れた城の修繕費を払え!』って急にどこかの王国の兵士に言われて、払えなかったから、遊園地からここに連れてこられて、今のところ1ヶ月不眠不休で色んなことさせられとる。お前ら何したん?お前らが見つからないからって交流のあった先生がこの有様や!」

ホイスーは、キレ気味にエースに言った。


「そうですか。それはすいませんでした」

エースは、心ここに在らずだった。


「エースのくせに元気がないのぉ。どうしたん?あと、他のみんなはどこにおるん?」

ホイスーがエースに尋ねた。


「それが…」

そう言って、エースは手に持っていた遺骨の入った袋を見せた。


「おぉ、なんやこれ?誰かの下着か?」

ホイスーは、空気が読めなかった。


「僕のせいで……」

エースは、また泣き出した。


「まさか、死んだんか?」

ホイスーは、ようやく理解した。


「…フィリアもか?」

ホイスーがエースに尋ねると、エースは静かに頷いた。


「お前がおるのにそんなことは…うぅ…(泣)。」

ホイスーも泣き出した。



「近くの宿を紹介してやる。今日はもう休うぅ…(泣)。」


エースは、ホイスーに紹介された宿に向かった。




「すいません、しばらくお世話になります…宿泊費は全額この村にいるホイスーという人に請求してください…」

エースは、宿の受付にそう言った。


「わ…分かりました。ごゆっくり心と体をお休めください」

受付の人は、エースの元気の無さを感じ取って心配した。



エースが部屋に入ると、自分の荷物を投げ捨てた。


「クソ…」

エースは、悔しさと悲しみを表に出した。


エースは、ベッドに突っ伏した。


「うわぁぁぁぁ!」

枕に顔を埋めて、泣き叫んだ。



「今日、マサくん家に泊まっていい?」

「嫌ですよ!エトラさん、変な事するじゃないですか」


「まま〜、あたしと同じくらいなのにひげが生えてる人がいる」

「コラ!そんなこと言わないの!あの人は、変なおじさんなだけなんだから」


「ねぇ、タッちゃん。私と魔法で勝負しよ?」

「しょうが無いな、でもミナミには負けないぞ?」


「おい!ジジイ!さっさと働け!これだから使えない奴隷なんだよ!」

「うぅ…(泣)」


「ヤーイ厨二病!お前の右腕どこに忘れたの?」

「やめてあげなよ!シモン君が可哀想でしょ?」

「いいよサヤちゃん庇ってくれなくて…もう慣れてるし…」



エースの脳にウザイくらいに外の声が響いた。



「みんな楽しそうだな…昔の僕みたいだ…僕はこれからどうしよう…」

エースは、何もする気が起きなかった。


「…あれ?ポケットになんか入ってる…」

エースは、ポケットに違和感を感じてポケットの中身を出してみた。


「これは…」

エースの手には、女子の下着が入っていた。


「明里のスカートがめくれた時に履いてるの見た事ある気がする…なんで覚えてるんだろ…キモ」

エースは、少し笑った。


「……でも明里の形見だな」

エースは、アリスが戻って来ないという事実を思い出し泣きそうになった。


エースは、そっとアリスの形見を抱いて眠りについた。

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