第133話【神の力】
「次の大陸は、どんなところかな?」
街を出て、しばらくしてからマリーネが言った。
『やぁやぁやぁ、諸君!ラブコメしてる?』
神の声がした。
「う、うるせぇ!」
エースが反応した。
『おやおや?図星かな?どう?アリスちゃん?』
「な、なんで私なのよ!」
『この前も言ったと思うけど、そっちの動きだいたい見えてるからね。』
「そんなん聞いた覚えない」
『エース君が聞いてなかっただけじゃない?』
「知らん!」
「っていうか、それ盗撮盗聴じゃない?この変態!」
『まぁそんなことより、さっきマリーネ君は何て言った?』
「おい、はぐらかしたぞ」
エースのツッコミが横から飛んできた。
「サイテー」
アリスが神を睨みながら言った。
『神様に向かって変態はないでしょ?神の怒りは怖いんだよ?』
「じゃあ、見せてみてよ」
アリスが神を煽った。
『言ったな?どうなっても知らんぞ!』
「やってみろ!」
エースが神に言った。
『アヤマサタナヤタサナアヤタカハ!』
神が叫んだ。
「何語だよ、それ…」
エースがポカンとして言った。
神の声が響き渡った瞬間、空から無数の布が降ってきた。
「まさか、ファフロツキーズ現象を起こす呪文だったのか?」
エースが頭が良さげアピールをした。
『ファフロツキーズを知ってるとは…エースが賢く見えるぞ。』
「そんなんどうでもいいから…っていうかアレ何?」
フィリアが尋ねた。
『フィリア君、いたんだ。』
「ずっと、いたんですけど?」
『だって、喋らないから…気づかなかった。』
「しばき倒すぞ、コラ…」
フィリアが笑顔でキレた。
『いやぁ、怖い。』
「で?何を降らしてるの?」
アリスが神に尋ねた。
『それは、地面に落ちてからのお楽しみ…』
「なんか頭に乗った…」
エースの頭に降ってきた布が乗った。
「これは…女子のパンツ?」
エースが頭に乗った布を目の前で広げた。
『そうだ!この布の正体は……アリスが前世で着けていた下着達だ!ちなみに、本物だよ?』
「な…なんて物を降らしてんだよ!!てめぇ!」
アリスは、顔を赤くして怒った。
『神を怒らすと、こうなるんだよ。分かったかい?』
「クソが!」
アリスは、ガチギレ状態だった。
「待って、このパンツ…カルバンクラインって書いてある…」
エースが1つパンツを拾って言った。
「なんで、拾ってんのよ!」
アリスの怒りがエースに向いた。
「こんなん、いつ履くんだよ。お高い下着なんて持って…」
アリスにエースが言った。
「うるさい!別にいいでしょ?!私の…勝負下着…なんだから…あと、流行りのファッションなんだよ!」
アリスは、中盤だけ声が小さくなった。
『これで、少しは私の凄さが分かったかね?』
「うるせぇ変態!」
アリスの顔は、狂犬のようだった。
「待って…カルバンクラインのブラもある…」
エースがまた、下着を拾った。
「触るんじゃねぇ!!」
アリスがエースを思い切り殴った。
「まるで別人ね…」
フィリアとマリーネは、少し引いていた。
『ところで、マリーネ君。さっきの質問をもう一度プリーズ。』
神が指パッチンをし、散らかった下着を消しながら言った。
「私…なんか言ったっけ?」
マリーネが首を傾げた。
『え?嘘でしょ?覚えてないの?さっきの事なんだが…。』
「知らん!」
『マリーネもエース側の人間かよ!』
全員が神を睨んだ。
『まぁいいんだけど…次の大陸について説明しておこう。まず、20キロ北に進むと港があるからそこへ向かってちょうだい。その港からは、直通らしいから。それじゃ!』
神の声が遠ざかって行った。
「まだ歩くのかよ!」
神が消えてしばらくしてからエースが叫んだ。
「エースに下着見られた…触られた…」
アリスは、泣きそうになっていた。
「20キロだって…」
マリーネがため息をついた。
「まぁ、進まない限り進めないから進もうか…」
フィリアが言った。
「「「「ハァ…」」」」
全員がため息をついた。