第130話【ピンチ】
「【ヒーリング】!」
エースがマリーネに唱えた。
マリーネの傷が元に戻った。
「…あれ?私…死んだはずじゃ…」
マリーネが混乱していた。
「傷が浅かったから、治癒魔法で何とかなったよ」
エースがニヤケながら言った。
「……はずっ!私、はずっ!」
マリーネが赤面した。
「貴様ら、何をやってるんだ!」
ジローの怒りの声がした。
「ごめんなさい」
エースが謝った。
マリーネは、恥ずかしさでそれどころじゃなかった。
「フンッ、まぁいい。これが見えるかね?」
ジローがそういうと、後ろから布を被せた大きめな鳥籠が現れた。
「この中に、貴様らの大事な仲間がいるぞ」
そう言って、布を取ると鳥籠の中に、手足を縛られたアリスとフィリアがいた。
「エース!助けて!」
アリスが一生懸命叫んだ。
「ちょっと、うるさいなぁ…」
そう言うと、ジローが爪をアリスの喉に刺しアリスの喉を潰した。
「あ"……あ"ぁ」
アリスは、声が出せなくなった。
「アリス!!!」
喉から血が出たアリスを見てエースの顔付きが変わった。
「回復されないように、こっちの治癒魔術師も喋れないように…ぐぁあ!」
ジローがフィリアを向いた瞬間、ネジがジローの目に刺さった。
「め…目が…!」
ジローは、目を潰され暴れた。
「今のうちに、回復を!」
エースがフィリアに叫んだ。
フィリアの口には、ガムテープのようなものがつけられており、詠唱は出来なかったが無詠唱でアリスを治癒した。
「そろそろ、本気出すしかないようだな!」
エースは、怒っていた。
「フンッ!今まで本気ではなかったのか?そりゃあ本気出した姿は見ものよのぉ!」
ジローは、エースをバカにした。
「返せぇぇぇ!俺の仲間をぉぉぉぉ!」
エースは、怒った狂犬のような顔をしていた。
「ほぉ〜、怖い怖い」
ジローは、バカにしたような言い方をした。
「【能力鑑定】…」
――――ステータス――――
名前:ジロー
ランク:SS
弱点:なし
―――――――――――――
「チッ…ヒント無しか…」
ジローのステータスを見てエースは舌打ちし、ため息をついた。
「まぁいいや…手当り次第で唱えてみるか」
エースの顔は、サイコパス殺人鬼のようだった。
「ちょっと待て、エースよ!」
ジローがエースに言った。
「はぁ?そんなん知るか!」
エースは、周りが見えてなかった。
「この鳥籠が見えんのか?」
そう言って、エースに鳥籠をみせた。
「鳥籠?……おい、お前!!!」
エースの目には、鳥籠の中でアリス、マリーネ、フィリアが倒れてい光景が目に入った。
「安心しろ…ただ、眠っているだけだ」
ジローは、そう言いながら鳥籠を自分の後ろに置いた。
「何する気だ?」
ジローを睨みつけた。
「お前が無造作に魔法を使えば、コイツらも巻き添えだ!私が魔法を避けてもこいつらに当たるがな!ハッハッハ!」
ジローがエースを煽った。
「【ラビットレッグ】、【ドゥクシ】、【ピッチクイック】、【長打力】…」
エースが呟き始めた。
「おい、なんのつもりだ?まぁ、どんな魔法を打とうが貴様の仲間は死ぬんだがな」
詠唱が聞こえていないジローは、調子に乗っていた。
「【バットウサイ】」
エースは、剣を作り出した。
「【コーティング】」
エースは、剣に唱えて剣を強化させた。
「【ファイング】【ヒャディング】【ライディング】【リーフィング】【デッディング】」
エースは、剣に火、氷、雷、葉、呪の力を込めた。
「なんか、面白いものができたようだな…さぁ、来い!」
ジローも構えた。
「……死ね」
冷たい声で言ったエースの目は、とても恐ろしいものだった。