第129話【熱戦】
「おりゃぁぁ!」
アリスがジローに向かって走り始めた。
「おい、待て!」
エースが止めようとしたが、アリスには届かなかった。
「うわぁ!」
アリスは、ジローに軽く弾かれた。
「フンッ、そんなやわな攻撃が効くと思っているのか?舐めて貰っては困るな!」
ジローは、そう言って強風を起こした。
エース達は、エースが魔法で作ったコンクリート壁のお陰で防げた。
「ぬわぁぁぁ!」
風の勢いに負けてアリスが吹き飛んだ。
「アリス!!」
エースがアリスに向かって叫んだ。
アリスは、エース達のはるか後ろに転がった。
「【ハジランド】!」
マリーネがジローに向かって唱えた。
「いやだぁ〜、なんか恥ずかしい〜」
ジローは、クネクネし始めた。
「なんか、見てられない…」
マリーネは、魔法を解いた。
「それに続いて【ヌマ】!」
エースが魔法を唱えた。
「な…なんだこの泥は!動けなくては何も出来ん……と言うとでも思ったか!私は、動けなくても困らんのだ!」
ジローは、矢の雨を降らした。
「しまっ…ぐわぁぁぁ!」
エースは、矢を喰らった。
「「エースっ!」」
エースが咄嗟に出した壁のお陰でフィリアとマリーネは無事だった。
「だ…大丈夫…ただのかすり傷だから…」
エースは、苦しそうに言った。
「いや、しっかり矢が刺さってるんだけど!?しかも5本!」
マリーネは、思わずツッこんだ。
「今すぐ治してあげるから…」
フィリアがエースに上級治癒魔法をかけた。
「……ありがとう…。僕は、大丈夫だからアリスにも治癒魔法を…」
エースは、フラフラしながら立った。
「【モレゾー】!」
マリーネがジローに向かって唱えた。
「な…なんだ!急に尿意が…」
ジローがモジモジし始めた。
「それ、僕の使った魔法じゃん。いつ習得したの?」
エースは、マリーネ訊いた。
「この前、喰らってから見様見真似で練習してたら使えるようになった」
「そんな簡単に使えるようにならないで欲しかった…」
「何をごちゃごちゃ話してやがる!さっさと、お前らを倒してトイレに行かないと行けないんだ!喰らえ!【ヌマ】!」
ジローが唱えると、あたり一面が泥沼になった。
「何!?」
エースは、驚きで何も出来なかった。
「しまった!」
マリーネも何も出来なかった。
「驚いたか?私は、自分が喰らった魔法を使えるようになるのだ!」
ジローが火の玉を作りながら言った。
「クソ…動けねぇ…」
沼にハマったエースは、身動きが取れなかった。
「喰らえ!【ファイヤーバード】!」
ジローが唱えると、火の玉が鳥のような形になってエースとマリーネを襲った。
「【カーテンウォール】!!」
エースは咄嗟に、コンクリート壁でバリアを作った。
しかし、熱でコンクリートが溶け始めた。
「だ、ダメだ…」
エースが諦めかけた。
「【ウォーターフォール】!!」
マリーネが唱えると、水柱が火の鳥へ突っ込み、火の鳥が一気に消火された。
「ありがとう、マリーネ」
エースが泥沼から抜け出し、マリーネに手を差し伸べた。
「死ぬかと思った」
マリーネが手を握り、エースはマリーネを引き抜いた。
「お前ら、よく耐えたな。まだまだ行くぞ!【ストーンバレッド】!」
ジローの手から尖った石が放たれた。
「ぐはぁ!」
尖った石がマリーネの腹に直撃した。
「マリーネ!」
エースの叫び声があたりに響いた。
「な…なんじゃこりゃぁぁ!」
マリーネが腹から出る血を見て叫んだ。
「マリーネ!大丈夫?!」
エースがマリーネに駆け寄った。
「エース…私は…もうダメだ…あとは…任せ…」
マリーネの意識が遠くなった。
「マリぃぃぃぃぃネぇぇぇぇ!!!」
エースが泣き叫んだ。