第125話【観覧車】
「次、あれ乗りたい!」
マリーネが観覧車を指差して言った。
「いいねぇ」
フィリアもノリノリだった。
「チケット買ってきたよ」
アリスが観覧車のチケットをみんなに渡した。
「さっきも思ったけど、アトラクションのチケット全部別払いなんだ」
エースが言った。
「足元に気をつけてお乗り下さい」
誘導員がゴンドラに4人を乗せた。
「観覧車なんて何年振りだろう」
エースがボソッと言った。
「私も久しぶりだな…」
アリスも呟いた。
「見て見て!人が米粒みたい!」
フィリアが下を見て興奮気味に言った。
「すごい、人間がゴミのようだ〜」
マリーネが言った。
「無意識ムスカ?」
エースは、驚いた。
「きゃあ!」
突然、フィリアの悲鳴がゴンドラ内に響いた。
「どうしたの?」
驚いたエースは、フィリアを心配した。
「上…見て…」
フィリアが怯えながら言った。
「上?……うわぁぁ!」
エースも腰を抜かした。
「なんでこんなところに?!」
マリーネが叫んだ。
「おぉ、お前ら!元気にしとったか?」
ゴンドラの屋根に縄で括り付けられたホイスーがいた。
「なんで、そんなところにいるんですか?」
エースがホイスーに尋ねた。
「先生もよく分からん!」
ホイスーは、元気そうだった。
「まぁ、無視しておきましょう」
フィリアがみんなに言った。
「ところでこの観覧車大丈夫ですかね?ガタガタメキメキいってるけど…」
エースは、少し怯えながら言った。
「また、頂上とかで止まりそう…」
アリスが言った。
「あ、もう少しで頂上だよ」
マリーネは、ワクワクしていた。
ガタン…
ちょうど、エース達のゴンドラが頂上に着いた途端止まった。
「やっぱり…」
アリスは、ため息をついた。
「この遊園地、欠陥多すぎでしょ」
エースが言った。
「ホントね…」
フィリアもため息ついた。
「あ、やめて!痛い!ちょっと!」
屋根から声が聞こえた。
4人が上を向くと、カラスに似た魔物につつかれているホイスーがいた。
「あ、待って!それはダメよ!うぅ…(泣)。」
カラスのような魔物は、ホイスーを縛っている縄を切っていた。
気づけば、縄は全て切られていた。
「落ちる落ちる!アカンて!」
「あれ、大丈夫かな…」
ゴンドラの中のマリーネが言った。
「「大丈夫なんじゃない?」」
フィリアとエースが同時に言った。
「2人とも酷いね…」
アリスが微苦笑しながら言った。
すると、突風が吹きゴンドラが揺れた。
「うわ、スリル満点だね」
フィリアは、楽しそうに言った。
ゴンドラの上のホイスーは、落ちそうになっていた。
ガタン…
観覧車が再び動き始めた。
「「「「「あ…」」」」」
全員が同時に言った。
「いゃぁぁぁぁ!」
観覧車が当然動き始めたことによってゴンドラが揺れ、ホイスーは落ちていった。
「大丈夫なの!?」
アリスは、焦った。
「「大丈夫っしょ?」」
エースとフィリアが同時に言った。
「いや、大丈夫じゃないでしょ?」
マリーネも焦っていた。
「足元に注意して降りてください」
誘導員が4人をゴンドラから降ろした。
「ハプニングもあっていつも以上に楽しかったな」
フィリアが言った。
「空中で止まることなんてそうそうないからね」
マリーネが言った。
「ところで、ホイスーさんは大丈夫だったのかな?」
アリスは心配していた。
「ふぅ、死ぬかと思った…」
ホイスーが普通に歩きながら独り言を言っていた。
「ほら、言ったでしょ?大丈夫だって」
フィリアがホイスーを指差しながら言った。
「「…」」
アリスとマリーネは、驚きで声も出なかった。
「あの人、ゾンビなの?」
マリーネがエースに訊いた。
「そうなんじゃない?」
エースの返事は適当だった。
「次のアトラクションを探しましょう!」
フィリアが楽しそうに言った。
「まだ行くんですか?」
エースは、疲れていた。