第124話【初めて乗ったジェットコースターは水にダイブするやつでした】
「誰?そのお方」
前に座ってるエースの会話が聞こえたマリーネがエースに訊いた。
「あ、このジジイは…間違えた、この方は一応僕の師匠のゴミ…間違えた、ホイスーさんです」
マリーネとアリスに紹介した。
「あんた何やってるの!?」
アリスとマリーネの後ろから大きな声が聞こえた。
「おー、フィリア!久しぶりやの〜」
ホイスーは、フィリアに気づき手を振った。
「で?何やってるんですか?」
エースがホイスーに尋ねた。
「いや〜、借金返せなかったからここでタダ働きさせられとるんよ」
ホイスーが笑いながら言った。
「ここの職員なのに乗ってるんですか?サボりですか?」
エースがホイスーに尋ねた。
「なんか、安全確認をしろって……お前さっき先生のことジジイとかゴミって言ったな!ここの外周走ってこい!」
ホイスーがエースに言った。
「アンタ何言ってんの!?ウチのエースちゃんになんてことさせようとしてるの?」
後ろから野次が飛んで来た。
「うぅ…(泣)。」
ホイスーはフィリアに弱かった。
「ねぇ、フィリアさんとゴミ…?さんは、どういう関係なの?」
マリーネがフィリアに訊いた。
「おい、初対面にゴミはうぅ…(泣)。」
ホイスーのメンタルは、弱かった。
「コイツは、私の元旦那なの。エースに出会ってからコイツは、捨てたけど」
フィリアは、冷たい声で言った。
「まもなく、発車します。安全バーが降りていることを確認してください」
アナウンスが流れると、安全バーが下がってきた。
「あのー…降りて来ないんですけど…」
ホイスーの安全バーだけそのままだった。
「問題ないようなので発車いたします。安全バーにしっかり掴まってください」
ホイスーの声が聞こえたはずなのに、アナウンスは何も無いように進めた。
「だから…安全バーが…」
ホイスーは必死にアピールした。
「それでは発車します!良いフライトを」
ジェットコースターが出発した。
「おいおい、ちょいちょい…ちょ待てよ!」
ジェットコースターが坂を登る間、ホイスーは怯えていた。
「来るよ来るよ」
フィリアは、先で起こることにワクワクしていた。
「もう、頂上だ!」
マリーネも楽しそうだった。
「「「「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」」」」
ジェットコースターが坂を下り始めた。
ホイスーは、風圧で何とか椅子に貼り付けられていた。
目の前に、回転ゾーンが見えた。
ジェットコースターは、スピードを落とすことも無く回転ゾーンに入った。
「わぁ!回る回る」
アリスもジェットコースターを楽しんでいた。
ガタン…
ちょうど、逆さまの状態でジェットコースターが止まった。
「「「「え?」」」」
「ただいま、トラブルが発生しております。しばらくお待ちください」
アナウンスが聞こえた。
「なんか、コウモリみたい」
フィリアはこの状況を楽しんでいた。
「でも、頭に血が登る…」
マリーネが言った。
「おい、誰か!先生を助けて」
ホイスーのヘルプが聞こえた。
ホイスーは、イスを掴んでぶら下がっていた。
「腕が…握力が…うぅ…(泣)。」
ホイスーが泣き出した。
ガタン…
ジェットコースターが動き始めた。
「「「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」」」
動き始めた瞬間、スピードはMAXで進み始めた。
「うわぁぁぁぁ!」
ホイスーは、鯉のぼりのようになっていた。
「ジェットコースターが完全に止まるまで席を立たないようにしてください」
終点に着き、アナウンスが流れた。
「いや〜、楽しかったね」
フィリアは、満足そうだった。
「ホイスーさん、大丈夫だったのかな?」
アリスが呟いた。
「あのまま、落ちてくれたら良かったのに…無駄に抵抗して最後まで生き残ったからね…」
フィリアは、残念そうに言った。
「それでも元夫婦か!?」
マリーネがツッコんだ。
「で?エースは?」
死にそうな顔したアリスが訊いた。
「何もおぼえてない…」
エースは、蚊みたいな声量で言った。
「まぁ、始まりから終わりまで失神してたしね?」
マリーネが言った。
「どうだ?安全確認できたか?」
「体で安全確認してきました…」
「そうか、じゃあ次の仕事だ」
「うぅ…(泣)。」
ジェットコースターから出る時、ホイスーと従業員の会話が聞こえた。
「ホイスーさんも大変ね…」
アリスが呟いた。
「次は、何に乗る?」
フィリアは、次のアトラクションを探し始めた。