第119話【今日の宿】
「ここが空きのある宿らしいよ」
大きな建物の前でマリーネがいった。
「まるでお城みたいね」
フィリアが言った。
「ここにボスいたらおもろいけどね」
アリスが笑いながら言った。
「とりあえず、部屋の予約をしましょう」
エースがみんなに言った。
「いらっしゃいませ!」
元気の良い、受付の女性の声がした。
「部屋、空いてますか?」
エースが女性に尋ねた。
「そうですね……少々お待ちください」
受付の人がパソコンをカチカチし始めた。
「世界線どうなってるの?なんでパソコンもあるんだよ」
アリスが小さい声で言った。
「すいません…パソコンが壊れてしまったのでもう少しお待ちください」
女性が申し訳なさそうに言った。
「全然、大丈夫ですよ」
エースが女性に言った。
すると女性は、胸元のマイクに何か話しかけていた。
「すいません、今からオーナーが、パソコンの確認をしますのでもうしばらくお待ちください」
女性が申し訳なさそうに言った。
「大丈夫かな?部屋空いてるかな?」
受付から少し離れてアリスが言った。
「まさか、またラブホに来るとはね…」
エースが微妙な顔をした。
「1つの部屋しか空いてないとかだと、また気まずくなるよね。特にエースが」
アリスがエースに言った。
「っていうか、ボスの情報をもう少し集めないとね」
フィリアが言った。
「でも、この街に城みたいな建物あったっけ?」
アリスが訊いた。
「見える範囲にはなかったけど…」
エースが頭を悩ませて言った。
「すいません、お待たせしました」
受付の方から男性の声が聞こえた。
「多分、あの人がオーナーさんなんだろうね」
受付の方を見て、フィリアが言った。
「ちょっと待って、オーナーの名前を見てみて」
アリスが皆に言った。
「何?アパ社長と同性同名なの?」
エースが言った。
「そんなんじゃないわよ!そうだったらここはアパホテルになるよ」
アリスが大声でツッこんだ。
「『羅面次郎』だって」
アリスが名札を見て言った。
「「「ま、まさか!?」」」
みんなが声を揃えて言った。