第117話【Nさん、現る】
「いゃぁぁぁ!」
エース達が寝ていると気絶していたはずのアリスの叫び声が聞こえた。
「もうなんだよ…」
突然起こされたエースが不機嫌そうに言った。
「で…出たのよ、Nが…」
アリスはビクビクしながら言った。
「N?何それ?燃堂という苗字のゴリラのこと?」
エースがアリスに尋ねた。
「違うわよ!ネズミよ!」
アリスが声を張り上げて否定した。
「そうなんだ……」
エースがスっとその場を離れた。
「なんで逃げるのよ!」
アリスが逃げようとするエースの腕を掴んだ。
「僕は、NもGもNGなんだよ」
必死にエースは、逃げようとした。
「逃がすものか!」
アリスは精一杯エースの腕を引っ張った。
「ちぎれる!ちぎれる!やめて!!」
エースは涙目になっていた。
すると、グチャという音とチュッという苦しそうなネズミの声が聞こえた。
エースとアリスは、恐る恐る音の方向を見た。
「「ぎゃぁぁぁぁぁ!!!」」
エースとアリスの叫び声は、街中に響いた。
「なにしてんのよ!」
アリスが音の方へ向かってキレた。
「魔法で固くて重い石を作ってそれをネズミの上に落とした」
平然とマリーネが言った。
「……バッカモーン!!!」
エースが大声で言った。
エースとアリスはダンボールの外で1夜を過ごした。
「…体痛い」
アリスが朝起きてすぐ言った。
「動けない…」
エースは、体が痛すぎて起き上がることすら困難だった。
「なんで、砂利の上で2人は寝てたの?」
ダンボールから出てきたフィリアが尋ねた。
「昨日のこと知らないの?」
アリスはフィリアに尋ねた。
「うん。ずっと寝てた…」
フィリアはあくびしながら言った。
「なら知らない方が得だね」
エースがボソッと言った。
「これが配給と言うやつか…」
公園の光景を見てエースが言った。
「なかなか新鮮な体験だね…公園でバレーするなんて」
アリスが言った。
「排球じゃなくて、配給ね」
エースがテキトーにツッコんだ。
「そういえば、フィリアさんはどこ?」
辺りを見渡してエースが言った。
「フィリアさんなら、昨夜の出来事をマリーネから聞いて……」
「あぁ…なるほど…察したわ」
エースは、なんとも言えない顔をしていた。