第116話【Gちゃん、現る】
「これは…宿なのか?」
フィリアに連れられて来た建物の前でエースがこぼした。
「この宿なら無料で泊めてくれるって、この家の主が言ってくれて」
フィリアがみんなに説明した。
「橋の下の河川敷のダンボールハウスは宿とは言わん!」
アリスがキレ気味に言った。
「この家の主ってホームレスの人でしょ?絶対」
エースがため息混じりに言った。
「どーも、この家の建築主であり持ち主のホームレ・スイエナイと申します。古くて狭い家ですがくつろいでください。朝食は、7時にお皿を持って近くの公園に向かってください」
突然、ダンボールハウスから出てきたおじさんが説明してくれた。
「あ…ありがとうございます…」
エースが困り顔で言った。
「それでは、私は近くの巣穴に戻りますので何かあればそちらに来てください」
おじさんが、ヨボヨボ歩きながら巣穴へ向かった。
「まぁ、野宿…では…ないけど…」
アリスがなんとも言えない顔をして言った。
「明日は、ちゃんと宿を取りましょう…」
エースもなんとも言えない顔をしていた。
「とりあえず、中に入って作戦会議しましょ」
フィリアが言った。
「ホームレス疑似体験の始まりだ…」
エースがボソッとこぼした。
「ぎゃぁぁぁぁぁ!」
ダンボールの中からアリスの叫び声が聞こえた。
「どうした!」
急いでエースはダンボールの中を覗いた。
「ア…アイツが…」
アリスはビクビク震えていた。
「アイツってどいつ?」
エースがアリスに聞き返した。
「Gが…ゴキブリが……」
アリスは、震えていた。
「あ、ゴキブリは僕も無理…」
エースは、スっとその場を離れた。
「なんだ?ただの虫じゃないか」
マリーネは、ゴキブリが平気そうだった。
「じゃあ、処分して!私は目を瞑っておくから」
アリスは、怯えていた。
グシャという音が聞こえた。
「ま…まさか…」
アリスが恐る恐る目を開けた。
「もう大丈夫よ」
マリーネはなんともないような顔をしていた。
「良かった……いゃぁぁぁ!」
アリスがマリーネの手を見て叫んだ。
マリーネの指にゴキブリの足が付いていた。
「…」
アリスは、気を失った。