第111話【俺らこんな村いやだ】
「喰らえ!【ハジランド】!」
マリーネがエースに向かって唱えた。
「…」
特に異変はなかった。
「あ、あれ?なんで?」
マリーネは、困惑していた。
「へっ、話をまたいでまで唱える魔法とは、そんなしょぼいものなのか?」
エースがしっかり煽った。
「なんで?羞恥心がある限りほとんどの人が効く、意味も無く恥ずかしくなる魔法なのに……。あ…なるほど…」
マリーネが心配をする様な眼差しでエースをみた。
「僕にだって、羞恥心はあるよ!うぅ…(泣)。」
エースは悲しくなり、泣いた。
「この勝負、マリーネの勝ち!」
遠くからアリスの声が聞こえた。
「やーい、ざまぁみろ」
マリーネがエースを煽った。
「うぅ…うわぁぁぁん」
エースは、泣いた。
「しばらく歩いたけど、村も町も見当たらない。ね?エース…まだグズってるの?」
「うぅ…(泣)。」
魔法対決から約2週間、フィリアがエースに話しかけたが答えは、泣き声しか返って来なかった。
「見て!あそこに!村が!ある!」
アリスが元気に言った。
「でも、しょぼくない?」
村をみたマリーネが言った。
「確かに…でも、行ってみたら栄えてるかもよ?」
フィリアが言った。
「よし、行ってみよう!」
アリスがワクワクしながら言った。
「これが村の入口みたいです…」
泣き止んだエースが村の前で言った。
「い、入ってみよ…もしかしたら栄えてるかもだし…」
フィリアが気を使って言った。
「もう諦めなさい…」
アリスがフィリアに言った。
村は、どう見ても廃れていた。人が住んでいると思えないほどに。
「一応、店とかあるし買い出しと宿泊はしておきましょ」
フィリアが言った。
「まぁ…そうね。疲れたし…」
アリスが渋々賛成した。
「この村…早く出ません?」
寝床に着いた、エースが言った。
「待って!ここゴキブリ出るじゃん!蜘蛛もいるし!」
エースの声をかき消すほどの大声でアリスが叫んだ。
「電気もないし、早く寝て早くこの村を出ましょう…」
フィリアも賛成した。
「ディスコも無ェ のぞきも無ェ レーザー・ディスクは何者だ?」
エースがフィリアの言葉を聞いた途端、呟き出した。
「何言ってるの?」
フィリアは、エースを心配した。
「カラオケは あるけれど かける機械をみだごとァ無ェ」
「レーザー・ディスクって何?」
マリーネがエースに尋ねた。
「新聞無ェ 雑誌も無ェ たまに来るのは回覧板 信号無ェ あるわきゃ無ェ 俺らの村には電気が無ぇ」
「アリス助けて!エースがおかしくなった」
マリーネは、アリスに助けを求めた。
「大丈夫、通常運行。これからサビだからもうちょっと待ってあげて…」
アリスは、珍しく止めなかった。
「♪俺らこんな村いやだ 俺らこんな村いやだ 東京へ出るだ 東京へ出だなら 銭コァ貯めで 銀座に山買うだ」
「「ダァ」」
エースとアリスが同時に決めた。
「なんなの?それ?」
フィリアがエースとアリスに訊いた。
「故郷の歌」
アリスが端的に説明した。
「ふーん、なるほど…」
マリーネが言った。
「で?なんの時間だったの!?」
フィリアが歌いきって、一息ついている2人にツッこんだ。