第102話【迷子】
「なんだあれ?」
山道を歩いていたエースが麓をみて、みんなに言った。
「大きな街っぽいね」
フィリアが言った。
「行こうよ!寄ろうよ!」
アリスが元気よく言った。
「そーね、かれこれ5日間歩いてきたし」
マリーネが賛成した。
「ホントに大きい街だね」
街の入口でエースが言った。
「ここは、西の京と呼ばれる街。〖ミナミノミヤコ街〗だ。王都ほどではないが、この大陸2番目の大きさを誇る街だ」
門番が言った。
「ん?西の京と呼ばれる南の京?訳分からん」
エースの頭が混乱した。
「まぁ、なんでもいいじゃない。早く入りましょ?」
フィリアがみんなを急かした。
「ホントに王都みたいね」
街を歩きながら見渡して、マリーネが言った。
「にしても、十字路多くない?」
エースが言った。
「あ゛?誰が三十路だって?まだ25歳さいよ!」
マリーネがなぜか怒った。
「誰も三十路なんて言ってません!十字路!」
エースがハッキリ言った。
「なんかこの街、碁盤の目みたいに道があるよね」
アリスが言った。
「迷子になるなよ」
エースが忠告した。
「すいません、宿屋の場所教えてくれませんか?」
エースが通りすがりの人に尋ねた。
「えーっとね、1番近いのだと…右京区4丁目の7番地かな」
通りすがりの人が言った。
「わかりました、ところでここはどこですか?」
エースが再び尋ねた。
「今いるこの場所が、南区6丁目の1番地だから…宿屋までまっすぐ北へ向かって、24個目の角を右に曲がって、そのまま41個目の角までまっすぐ行って、その角を左にまがればあるよ」
通りすがりの人が丁寧に教えてくれた。
「……わかりましたっ!」
エースが返事するまでに謎の間があった。
「兄ちゃん達、気をつけろよ」
親切な通りすがりの人と別れた。
「どこだよ!」
エースが嘆いた。
「もう迷子じゃん!」
アリスが大声で言った。
「まぁ、歩いていると何かあるでしょ?」
フィリアは、謎の自信に満ち溢れていた。
「まぁ、止まってても何にもならないし、進みましょ」
マリーネが言った。
そして、4人は、北へ向かって歩き出した。