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6. えぇ?まさかお忘れですか

◇◇◇

 どうも、みなさまごきげんよう。語りとしての、わたくしめの出番がやってきましたよ。


 えぇ? まさかお忘れですか。語りを担当するスチュワートでございます。そう長々と続けませんからどうぞご安心を。


 さて。旧エギシアの、第二六帝国植民地にいる騎士が出てきましたね。

 黒鎧の騎士カミルとセオさまが顔を合わせた期間はたったの二週間とすこしでした。ですがこの短いあいだにカミルはどうやって、セオさまのお化け嫌いを見抜き、総督府から追い出すことができたのでしょうか。


 じつはですねみなさま、カミルは故郷の第二六植民地に赴く前から動いていたのですよ。彼は当時、別の総督府に仕えておりました。異動を命ぜられたときに、これからどのような人物と働くのかを調べたのです。それはもう入念に。……自分以外の騎士、しかも腕が立つと触れ込みのセオさまが赴任することを知ったカミルは彼の故郷ユークと、さらに人脈を探りました。

 そうしてやっと見いだした一流騎士の弱点が、お化け嫌いだったのです。


 第二六植民地の総督府に赴任したあともカミルは準備を進め、そしてある日――まぁ、あとはご想像のとおりですね。彼はセオさまに「この総督府には幽霊が出るぞ」という嘘で怖がらせ、賂を渡した兵にはなんと被り物をさせて、セオさまを脅かしました。最後は偶然の強風。……結果、一流と評された騎士は、見るも無残に追い出されたのです。


 しかしこれほどの周到さ、相当に邪魔だったのでしょうね。黒鎧の騎士カミルが腹中にいったい何を隠しているか。――どうぞみなさま、彼のことをほんのちょっと、頭のすみに留めておいていてください。


 放浪の末にセオさまは、メルさまのしもべとなりました。メルさまが喜ばれるお姿、……私めは後ろでひっそりと、すこしばかり涙ぐんでいたのですよ、はい。長きにわたりメルさまは寂しくお過ごしでございました。この出会いはメルさまにとって間違いなく良いもの。……けれどもやはり、まだまだなのです。

 お心の傷は少々複雑で……。


 おやっ!? 思いのほか話が長くなってしまいましたね。そろそろこの語りを切り上げといたしましょうか。メルさまたちの物語は始まったばかりなのです。


 それではみなさま、つぎの語りの頁でまたお会いしましょう!

◇◇◇


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