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雅楽伝奏、の家の人  作者: 喜楽もこ
五章 万里一空の章
87/314

#11 絆群青、静寂に降り荒ぶ片時雨

 



 永禄十二年(1569)五月十九日






 いざ参らん。天彦は気勢を上げたがそのまますぐに伊那高遠城に向かうわけではない。あくまで形式上のこと。いわば雰囲気づくりの強演出である。

 何事も武力で解決を図らない天彦には色々な小手先を利かせる諸々の準備や支度が必要だった。ご婦人の外出と同じように。あるいはそれ以上に細工が流々でなければ天彦は動けない。普通に詰むから。


 武力で事を解決しないという思想は確かに志の高い高潔な精神である。見栄えもいいし聞こえもいい。受けも悪くないだろう。だが反面時間効率にせよ費用対効果にせよ何かにつけてパフォーマンスと名のつく成果ロジックとは対立軸を主張した。要するに時代的互換性ゼロの金食い思想。しかも相性激悪仕様である。

 この寸鉄ばかりか鉄砲の玉まで飛び交う戦乱の世で、非暴力主義を標榜するということはそれほどのことだった。控えめに言ってアタオカである。


 結論、綺麗ごとは綺麗ごととしてあくまで建前に控えておくべきである。よって新たに打ち立てた姿勢方針は”実質的な行動は常に柔軟性を以ってあたるべし”である。まあ妥当といえる。

 けれど未だに少し未練がましいことを認めた上で棚に上げ、それらを承知で痛切に実感していた。言い換えるならここにきて改めて縛りプレイの恐ろしさを痛感していたのである。


 京ならまだしも成立したかもしれない思想だが、果たして朝廷の意向どころか威信さえ届いているのかどうか怪しい土地で何するものぞ。公家だ貴族だとほざいたところで何になるのか。何様ほどのこともないだろうことは明らかで、実際にそうした話はよく耳にした。あるいはまったく耳にしない。下向した貴族や公家の行方知れずという結末で。


 天彦は深い悲しみに暮れた表情で、足元にそっと視線を向けた。


「なあ名主さん。なんでこんな哀しいことをする気になったん」

「お許しくださいお公家様、魔が差しましてございます。何卒、なにとぞっ」


 魔……、さんか。ほなしゃーない。となればどれほど楽だろう。

 天彦はため息も出せないほど呆れ果て、けれど反面納得感も覚えていた。なぜこうなった経緯と理由が薄々ぼんやり予想できていたからだった。

 

 本日夜半ついさっき。名も知らぬ荘園の名主はどこかの野盗を扇動し天彦の寝所がある屋敷を襲撃した。その数は百にも及んだという。実際に天彦が確認できたわけではないので実数は不明なれど、事にあたった且元が言うのだから確実性はかなり高い。

 だが結果的に襲撃はまんまと失敗に終わった。なぜか。そう。こうなることを半ば予見していたのだ。むろん天彦が。


 来るとわかっていれば菊亭青侍衆なら倍程度の戦力差はどうとでも引っ繰り返す。何しろ菊亭ご家来衆、時代に名を遺す一騎当千の傑物揃いなのだから。

 実際に彼らの槍働きはえげつなかったとか。天彦は戦果からしか評価できないが且元、氏郷、高虎の武人としての今いるレイヤーを正しく認識し凄まじさに舌を巻きつつ驚嘆する。

 だがしかし。この場合の襲撃は菊亭であったからこそだと考えていた。その仮説の裏付けを今はじっと待っているのだが、しかし一方ではこの襲撃によって裏付けなど無用なくらい次なる推測の確信も実は得ていた。


 自説の信憑性が俄然高まったことを感じ取った天彦はだが待つ。待つ意味などほとんどないのに待つ。自分だけの正当性のために待つのである。つまりエゴ。

 これはもはや感情論。日ごと薄れゆく未来現代感覚への郷愁と、日増しに高まる戦乱への親和性への無意味な抗い。だが待つ。そう決めているから。


 決め事の通り動けるのは天彦の強みであり一番の弱みでもあった。そしてこれも習性だろう。人様の生死には極力関わりたくない感情。芋虫のように縛り付けられた名主をうんざり視界に納めつつ吉報を待つ。伊那高遠城に出した先触れ以外に出したもう一通のお返事を。


「若とのさん。そないお厭やったらお外に放りだしたらよろしいのに」

「ん、ああ……」

「なんぞありますのん」

「あると言えばある」

「はあ、なんやわかりませんけど。ではいつでも申し付けてくださいね」

「おおきにさん」

「いいえどういたしまして」


 放り出すとこの名主は秒と掛からずこの世から去る。2000%確実に。それほど菊亭青侍衆は熱リ立っていたのである。ある意味では血に酔っているのかもしれないが何を切っ掛けにまた暴走しかねない。

 武官たちは暴走していた。天彦が首級を戦果の印としないことを知っていながら彼らは首を刈ったのだ。一度は咎めた。だが二度目は……。許して家が成り立つならいくらでもゆるすのだが。果たして戦国はそれほど微温湯なのだろうか。

 故に天彦は慎重な応接を余儀なくされる。依然として殺気立ち誰ひとりして言葉を発さずただ名主に殺意を向ける青侍連中に。


 これが直臣を極力減らしてきた天彦の方針の最たる弊害であろう。あの一大勢力射干党でさえ直臣はラウラ一人。つまり現状はゼロである。故にこの場に集うほとんどの青侍たちと天彦は直截的な雇用関係にない。つまり陪臣。誰かの御家来衆。むろん菊亭を主家とする家人・郎党には違いはないが、そこに明確な線引きはなくあるのは曖昧模糊なグラディエーションだけであった。

 天彦の菊亭家コンセプトはサステナブルなのでむろんそれでもいいのだが、やはり扱いには苦慮してしまう。こういった場面では特に顕著に。なにしろ半分人様のお子だから。

 ここに集うのは未熟なれどけっして子供ガキではない。そんな年頃の血気に逸った二十有余名であった。


 天彦が立ち上がると、


「殿様、何卒」

「……なんや深刻そうなお顔して。一言ならば許し参らそ」

「はっ。某思いまするにこの不逞の輩、生かしておく意味はなかろうかと存じまする。何より目障り」

「ほなお前さんが表に出え。それで解決や」

「なにゆえ」

「一言の意味もわからんのか。お前さん誰の家来や」

「っ、……面目次第もございませぬ」

「誰の家来やと申したぞ」

「どうしてもと仰せなら、この腹召してお詫び参上仕る」


 やっぱし無理やん。一生わかり合える気ぃしーひん。


「次はないで」

「はっ」


 薄日が土間に差し込んだ。ふぁー、もう朝やん。




 ◇




 天彦が書付を遣いに持たせて早丸三日が経過していた。その間の襲撃はなかった。そして名主の姿もない。

 名も知らぬ荘園の名主屋敷の居間には、重苦しいとはまた違ったけれどけっして軽くはない雰囲気が漂っている。

 そこに集うのは菊亭家人の主だった重臣ばかり二十名ほど。天彦たっての要望とあってその意向が叶わぬ道理はなかった。しんどいねん陪臣の相手は。


 側近衆以外の顔と名前が未だに判然としない天彦であってもそろそろ一致してきた今日この頃。そのほとんどが苛立ちに近い感情を露わに天彦にぶつけてきた。

 まあガキだと思って舐め腐っているのが半分で残り半分は碌な罰も与えられないと高を括っているのであろう。なにせ天彦、外にはそうとう辛くあたるが内にはどんな甘味より甘いのである。この頃になると表面的な動向などは何に基づかれているかくらいはほとんどバレバレだったのである。


 武士の嗅覚は侮れない。ましてや人は人読みをするとしたもの。それは室町であろうと令和であろうとかわらない。用いる手段や指向性は違ってんも怖さがないと舐められる。そういうこと。但し天彦も、だってまったくの無手ではない。つまり反抗的な青侍、いずれ罰は受けるのである。


 しかし一方で気が急くのは菊亭家中青侍衆ばかりではない。むろん当事者である椛姫も兄の安否が気懸りでしかたないのだろう。自制しながらもいよいよ言葉にしてしまう。


「天彦様。あの」

「ちょっと待ち」

「はい。一生待つと決めておりますので生涯お待ちいたします」

「はは待ちすぎやろ。でもちょっとおもしろかった」

「まあ本当ですか。天彦様にお喜びいただきますこと妾の何よりの歓びにおじゃります」

「あ、うん。……おおきにさん」


 下手な社交も口にできない危うさをひしひしと感じていると、そのとき是知が静かに傍に寄ってきた。


「殿、半里ほど先に張った警戒陣地に信濃屋と申す材木問屋が参っておるらしいのですが」

「それや。ようやっと参ったか。通したって」

「はい」


 待ち人が来た。天彦は何事かを言いかけていた椛姫にもう少しの辛抱やと伝えて信濃屋を待った。


「信濃屋甚五郎にございます。ご尊顔を拝し奉り恐悦至極に存じます」

「ご苦労さん。わざわざ足を運んでもろておおきにさん」

「いえいえなんの。それはもう天下にその名を馳せる時のお人、菊亭様のご用命とあらばいつ何時であろうとも。馳せ参じない商家がありましょうや」

「気ぃ済んだか」

「……はて、何のことでございましょう」

「ほなお一つ」

「はあ」

「こたびの信州反乱、規模はどれほどや。賛同してる国人はどれだけおる」

「なっ……!」


 瞬間的に居間が静まり返り冷え冷えする。だが次の瞬間には蒸せるほどの熱気を帯びた。

 天彦が目配せすると最も殺気立っていた氏郷が即座に応じる。すっと内なる激情を鎮めてみせ陪臣との違いをまざまざとみせつけた。天彦は思わずにんまり。氏郷はするとどぎまぎと顔を伏せてたまらず身体を小さく縮めた。


 そのやり取りを見せられた信濃屋甚五郎は数舜何事かを思案していたがややあって、何か妙案でも閃いたかのような冴えた表情で何度も頻りに頷くのだった。


 そして何を思ったのか、


「こたびの首謀者は高遠諏訪様、信濃守護様の連名にございます。血判状には望月、真田、村上、仁科、高梨の国人様らが連盟で血判なさっておいでとか。この信濃屋甚五郎は反乱が成功裏に終える側にすべてを懸けてございます」


 居間の熱気が急激に冷えていき後には沈黙だけが居残っていた。

 天彦は何が可笑しいのかくつくつと小さく笑い、


「くく、まあそやろな。えらい早うゲロったが、もう十分搾り取ったんか」

「まさかまさかにございます。このまま手を上げたら大損ですわ。いや損で済めば御の字ですな」

「ほななんでや」

「算盤を空で正しく弾けん商人はいつまでたっても二流ですので。そういうことにございます」

「ほう、そら頼もしい。頼るべくは正確な算盤さんか。なあ甚五郎そうは思わんか」

「噂に違わぬ御慧眼。この信濃屋、感服の極みにてございます」

「今回はまあまあの出来やった。もっと褒めてもええさんやで」

「然様にて。はは、わはははは」


 あはははは。


 信濃屋は歯を見せて大笑い。釣られたわけではないだろうけど天彦も珍しく快活に笑って合わせた。

 対する菊亭家中は全員ポカンだ。目の前で何が起こっているのほとんどがわかっていない風である。


「彼方様には確と御存念お伝えいたしておきますので。では御前失礼いたします。」

「うむ。信濃屋大儀であった」


 それはその場を信濃屋が立ち去っても引かなかった。全員が謎の解明に夢中になった。

 

 するとけっして前に出すぎないことでは家中一の定評を博している家来が皆の意見を代弁すべく膝からにじり寄り発言を許せと主張した。

 是知が心底口惜しがって膝を叩く。天彦はつい嬉しくなって思わず相好を崩してしまう。だが感情に正直に嬉しげなままうんと頷き先を促す。


「殿、お一つよろしいでしょうか」

「ええよ佐吉」

「はっ忝く存じまする。某思いまするに甲斐守護殿は当家の御味方。何より弟御前の実家でもござる。故に疑問が尽きませぬ。何故そこな商人風情と談合召されますのか。何卒ご教授御願い奉りまする」


 どよめきが起こった。ほとんどが信濃国人の策意を見破った天彦のことだ、てっきり懲らしめに行くのであろうと思っていたよう。物理的に不可能なら武田に報せるだとか手段はいくらでもあるはずだ。なのに……。


「菊亭が信濃衆の反乱に加担するからやで」


 何なら派手に旗指物でも翻したってもええさんや。天彦は認めてしまった。商人との談合を。今度のどよめきは途轍もなかった。

 今回の遠征。目的は戦の調停。まさか火種を、いや新たな戦を煽るだなんて誰の脳裏にも納得感は生じていない。むろん納得などなくとも付き従うのだが心持ちが違ってくる。


 佐吉は滅多とない代表者の立場に気が逸っているのか考えが纏まらずに焦り始めてしまった。

 だが天彦はじっと待つ。佐吉なら必ず答えに辿り付けると知っているから。佐吉はそういう仕様になっているから絶対できる子と嘯いて、周囲の胡乱と反感をものともせず佐吉を依怙贔屓しまくった。


 けっして短くない沈黙がつづきすると遂に、佐吉が自身の膝を強かに打ち付けて声を張った。


「わかり申したっ!」

「でかした佐吉」

「殿、殿というお人は。某、心が震えております」

「うんうん。そやけど佐吉、皆に訊かせたってくれな90点やで。いや95点くれてやってもええさんやけど。教えたってアホな皆に」

「あ、いや。では申し上げます。こたびの仕儀、すべて関東管領殿の思惑通り。甲越同盟の駿河侵攻は言わば殿へのご警告。もしくはご催促。織田殿を切ってこちらにつけとそういう思惑の侵攻にござる」

「ほー、ほんで」

「はい。むろん殿は殿の思惑で事を進められておいで。怒り心頭の我が殿は甲斐の背後を徹底的に撹乱し、同盟国である関東管領殿にお灸の掣肘を加えられるお心算なのです。北条とて縮小したとて健在であり徳川も容易くはござらぬ。何より背後の覚束ない甲斐殿を抱えてあの屈強極まりない魔王軍と事を構えるなどどだい無理なご相談。つまり三十六計、以逸待労いいつたいろうの計にござる。如何なりましょうや」


 天彦は一度だけ小さく頷くがけっして声には出さず回答を保留した。しかし視線で何事かを誘導した。

 すると次の瞬間には皆の大いなる納得感が居間中に漂い始める。そこには佐吉の言葉が正しいのだと口ほどに物語っている当事者唯一の人物、樋口与六の蒼褪めた顔があったのだった。その場の全員の視線が与六に向けられた。


 その視線が意味する感情は彼との関係性もあって様々である。しかし中には峻烈な敵意を向ける視線もあってにわかに居間が殺伐とし始めてしまった。

 だが天彦はそんな気配を一瞬で払拭する。懐に忍ばせていた愛用の扇子一本で。これは武士にもできない芸当であろう。


 けれど誇らしさなど一ミリも感じさせずむしろいっそ切なげに、天彦は咳払い一つを挟むと誰とは主語をぼかしながらも確と与六をじっと見つめる。そして包み込むような柔らかな口調で言葉を発した。如何にも気遣いを見せている風にきちんと伝わるようにと思いを込めて丁寧に。


「可怪しいとは思った。武士の鏡のようなお人さんが直臣にせよなどと強請ってくるのは、さすがになぁ」


 どよめきが起こった。いったいいつの間に。

 だが同時に舌打ちも多数混じって聞こえた。この場で誰とは特定できないがイツメンのほとんどが妙に冷めた目を与六に向けているのが気懸りだった。


 天彦は続ける。


「死んで参れと言われたか。それともお前の魅力で転がせとでも言われたか。いずれにしても与六、お前は知っていたんやな。甲越が駿河に攻め込むことを。この菊亭を我が物にせんと欲していることを」

「……はい。然様にござる」

「まあそやろな。そやけど与六、お前さん上杉殿に捨てられたぞ。お国の最大利益のために」

「はい。そちらもその通りにて候」


 ありがちなこと。そうやって家や国は存続し繁栄してきた。自分だけが人柱にならないなどと甘い考えの侍はいない。

 そんな共通認識を踏まえた上で与六はあっさりすべてを認めた。悪びれもせず淡々と粛々と。僅か十になったばかりの少年が決然と。


 しかし誰ひとりとして与六を責めない。そこには天彦はもちろんのこと家人の多くが気付いただろう顔をした与六の姿があったから。そこにいるのは覚悟を決めた武士もののふであることを、多くの家人が気付いてしまったからだった。


「あにはからんや。よもや片時雨が吹き荒ぼうとは、か。だがまあそれでも。与六は身共のもんなわけやが」

「この期に及んで何を仰せか」

「菊亭法度や。身共のもんに勝手は許さん。それがたとえお人さんでも」

「初耳ですが」

「そらそやろ。今決めたし。者ども訊きおれ――!」


 はっ!


 天彦が扇子に描かれた三つ紅葉紋を高らかと掲げると、家中はただちに意気投合させて下知を待った。


「身共に哀しい思いをさせんといて。たったお一つそれだけなん。菊亭からのお願いごとは」


 たまに甘やかしてくれてもええと思うねん。だって身共、がんばってるやん。


 天彦の内心の言葉同様、誰からの返事もなかった。ほんとうに誰からも。それが当然であるからなのと困惑とで。むしろ困惑の色合いが強いだろうか。家来たちは困ってしまう。

 なぜ困惑したのか。それは天彦が言って与六を抱き寄せたから。ぎゅう。この想いが伝わりますように。そんな切実な顔をして。


「……殿」

「いやや、いややっ」


 言葉をどれだけ尽くしても与六のような武士もののふには伝わっても通用しない。真の侍とはそうしたものだから。

 だから天彦は必死だった。なりふり構っていられなかった。必死になって感情に訴えた。理性は死んだ。羞恥心も同じく。そう思うことにした。もはやそれしか手はないからなのだが、最悪振り払われることも承知で持てる限界の力で与六をきつく抱きしめた。


 この武人の極みみたいなお人が、直臣にしてくれなんて泣き言を零したのだ。よほどまいってしまっているに決まっている。天彦はその一点だけに可能性を全振りして勝負に出た。


 お願い与六。身共をもう泣かさんといて。


「……殿」

「与六はうんとゆうてくれたらええ」

「某は」

「わーわーわー、訊こえへん、なーんも訊こえへん。あーあーあー」


 すでに半分泣いてしまっている泣き虫小僧は、それでも懸命に物理的な物質だけは流すまいと鼻をすすって縋りつくのだった。同級生なのに自分よりも数段高く何倍も分厚いそのお胸に。













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[一言] なんという悪魔と骸骨でみたムーブwww多分頭の中を整理したいんでしょうけど。いや、天彦君なら普通に辿り着いていた結論ですか?うーむ。
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