21. 忍び寄る黒い影デスケド。
文化祭最終日。
「ねえ、聞いた聞いた?女子寮に潜り込んで制服盗んだらしいよ」
「また制服?下着じゃなくて?」
「一級生の子が不審者見たんだって」
「どんな人だったの?」
「黒い服着て、すっごく大きな男の人みたい」
「浴室覗いてたらしいよ」
「いやーっ」
楽しい文化祭の真っ最中だというのに、生徒たちの会話は不審者の話題で持ちきりだ。ついに不審者の目撃情報まで出回り、噂がどんどん広まっている。
「制服だけ盗って行くなんて、変な趣味の人もいたものですね」
シェリカがのんきに朝食をとりながら言う。シェリカは昨日の時点で不審者の噂を全く耳にしていなかったので、不謹慎にも盛り上がっている場の空気が理解できないようだ。
「そうよね。大浴場まで忍び込んだんなら下着も盗って行けば良かったのにね」
ルキナが欠伸をしながら返事をする。
ルキナは、昨晩、不審者が現れたという騒ぎがあったことを知っている。その時、ちょうど浴室に向かっていたからだ。その騒ぎが起こった大浴場では入浴が禁止され、ルキナたちも少し遠い大浴場まで行かさせられた。おかげで、しないですんだはずの苦労までする羽目になった。だが、ルキナが眠そうにしているのはこれが理由ではない。
不審者を警戒していたユーミリアは、昨晩もルキナと行動を共にしていた。そのタイミングで例の事件が勃発し、「お風呂に入っている時、見られている気配がした」や「部屋にも来そうで怖い」といった声がユーミリアの耳に届いた。結果、ユーミリアはルキナの部屋に押し掛け、夜通し見張ると言ってきかなかった。ルキナが、一緒にベッドに入って寝ることすら断ってきたのに、一晩中、ユーミリアに見守られながら寝ることを断らないはずがない。ルキナは深夜までユーミリアの相手をすることになり、練る時間が随分遅くなってしまった。結局、ユーミリアと一緒に寝るということで話が落ち着いたが、変な時間まで起きていたせいでなかなか寝付けなかった。
「ルキナ様、眠そうですね」
シェリカがルキナを心配そうに見る。ルキナは欠伸を我慢しながら「まあね」と答える。シェリカが心配してくれたので、ルキナは、シェリカは優しいなと思った。が、そのシェリカはルキナを心配するようなことを言っておきながら、ルキナの皿へ豆を移動させていた。
「シェリカ」
ルキナは低い声を出して、シェリカのフォークを持った手首をパシッと掴んだ。
「寝不足に豆は良いんですよ」
ルキナが怒っているとわかると、シェリカはニコッと笑ってルキナのためだと言い張る。
「そんな話聞いたことないわよ」
ルキナは、シェリカからフォークを奪い取ると、ルキナの皿に移した豆を一つ突き刺し、シェリカの顔に近づけた。当然、シェリカは顔を背けて逃げる。ルキナはそのシェリカの顔を捕まえ、左手で頬を挟み込むように掴む。そして、右手のフォークをシェリカの口元に近づける。
「んー、んーっ」
シェリカがぐっと顔に力を入れて、口を開けまいとする。
「これはあんたのノルマなんだから、自分で何とかしなさいよ」
シェリカは、ティナと一週間に一回は豆を食べるというルールを決めた。そうまでして豆嫌いを克服しないと生きていけないというわけではなく、ただのティナの意地悪だ。ルキナはそのことを知っているので、少しも豆の処理を手伝ってやるつもりはない。もっとも、誠意をもってそれらしくお願いをされたなら手助けしてあげたかもしれないが、このシェリカの態度ではルキナがその気になるのは難しい。
「ルキナ様、ファイトー」
ティナがテンションの低い応援をする。ティナは、ルキナに代わりにシェリカの面倒を見てもらえてラッキーくらいに思っているのだろう。ルキナの応援はするが、ルキナに手を貸そうという気概は感じられない。
「何やってるんですか」
ルキナとシェリカが食堂でじゃれ合っていると、シアンが呆れ顔で現れた。横にはイリヤノイドもいて、シアンと同じように呆れていた。
「今日は遅かったのね」
ルキナはシェリカをわきに抱えたままシアンに話しかける。シアンたちはこれから朝食のようで、まだ時間的余裕はあるとはいえ、いつもに比べてかなりのんびりに感じられる。
「寝坊?」
「先輩が寝させてくれなくて…。」
ルキナが遅くなった理由を尋ねると、イリヤノイドが照れたように言った。しかし、それを信じる者は誰もおらず、シアンも誤解を招くような言い方はするなというツッコミを入れなかった。
「女子寮の方は大丈夫だったんですか?」
シアンが気を取り直して話題を変えた。ルキナたちからすると、話題が戻ったという方が正しいが。
「いろいろと大変みたいよ。文化祭が中止にならなかったのが奇跡なくらい」
ルキナがシェリカを抱えたまま話していると、イリヤノイドが放してあげたらどうかと言った。この状態では、シェリカだって豆を頑張って食べようとは思えないだろう、と。ルキナは、イリヤノイドがシェリカの味方をするのを面白くないと思いつつも、言われた通りにシェリカを解放した。
「生意気君…!」
ルキナから逃れると、シェリカはイリヤノイドに感謝をした。シェリカが嬉しそうな顔を向けると、イリヤノイドは少し照れたように「その呼び方やめてください」と言った。すると、今度はユーミリアがニヤついた。
「そうやって呼ばれるくらいだったら、イリヤって呼ばれた方がましです」
イリヤノイドがさも仕方ないなと言いたげにシェリカにイリヤと呼ぶことを許した。が、シェリカはそう呼ばず、ルキナが「イリヤ」と呼んだ。
「イリヤって呼ばないでください」
「なによぅ」
イリヤノイドに間髪入れずに拒否されたので、ルキナは不満げに頬を膨らませる。
「まあ、イリヤが嫌がっても呼び続けるけど」
ルキナがふっと嘲笑すると、今度はイリヤノイドが不満そうな顔をした。
「それじゃあ、私たちは先に行くわね」
ルキナは、シェリカのお皿にささっと豆を移すと、一足先に食堂を出た。ユーミリアがぴょこぴょこと後ろについてくる。
「着替えはここでするんだっけ?」
三日目は、ルキナもクラスの手伝いをする。今年は謎解き脱出ゲームを企画することになり、ルキナもスタッフになる。半日ごとに当番を割り振り、交代で主催者役を行う。衣装を共有するので、着替え用の教室も別で用意してある。ルキナとユーミリアはそこで衣装に着替える。
「先生は何の役ですか?」
「普通にウエイトレスよ。セリフも何もなし。ユーミリアはセリフあり?」
「少しですけどね」
脱出ゲームはシナリオに沿って進めていくので、セリフを用意して役になりきる必要のある者もいる。ユーミリアもそのうちの一人だ。生徒会の仕事もある二人は楽な役を割り振ってもらえた。
「制服はここに置いて行って良いのよね?」
着替えを終え、ルキナはテーブルの上に制服をたたんで置いた。
「良いはずです」
ユーミリアもルキナの傍に制服を置いた。
二人は、衣装で外に出て、会場となる教室に移動した。そこで半日を過ごし、クラスの企画を盛り上げた。やはりユーミリアの存在が噂になって脱出ゲームに人が押しかけたが、入場可能人数に制限があるので、女子部の時のような騒ぎにはならなかった。
「お腹空いたわ」
お昼になり、ルキナたちの当番の時間が終わった。ルキナは空腹を訴えるお腹をさすりながら、着替えのために制服のおいてある教室に移動した。
「窓開いてる」
教室に入ると、風によってふわっとカーテンが広がった。ルキナはそれを見て、この部屋の窓が開いていたことに気づく。
「窓は最初から開いてたと思います」
ユーミリアは、朝、一回目にこの部屋に入った時から窓は開いていたと言う。
「なんて不用心な」
ルキナはそう言いながら、窓を閉めに行く。夏なので、誰かが暑さ対策で開けたであろうことは予想できた。しかし、無人状態で窓を開けっ放しにしておくのはいかがなものだろうか。不審者がどうのこうの言っている間くらい、もう少し防犯意識をもっても良いはずだ。特にここは一階で、入ろうと思えばいつでも窓から忍び込める場所だ。
ルキナは、窓を閉め終えると、カーテンをしっかり閉め切り、着替えを始めた。衣装を脱いだところで、次に着る服がないことに気づく。
「私の制服がない!」
ルキナは驚きながら、床や付近の机を探した。だが、やはりルキナの制服は見当たらなかった。
「まさか不審者が!?」
ユーミリアの制服は無事で、ユーミリアは制服に着替え終わっている。ルキナの制服を一緒になって探し、ルキナまで例の不審者の被害になったのではないかと言う。
「まあ、制服は寮に行けばあるから良いけど、いや、良くはないけど、せめて校章だけは返してほしいわ」
制服の予備はあっても、徽章は余分に持っていない。校章の裏に持ち主の名前が刻まれているので、発行に時間がかかる。徽章だけは無事であってほしかったと思う。
「先生、私のバッジつけます?」
ユーミリアが胸から校章バッジを取り外し、ルキナに見せる。校章をつけていないと、校則が厳しくないとはいえ、さすがに教員から注意を受ける。ユーミリアはルキナを気遣って申し出てくれたのだろう。しかし、ルキナは首を振って断る。
「そんなカップルじゃあるまいし。他人のはつけないわよ」
ルキナは、盗まれたんじゃ仕方ないわと言って、諦める。一方で、ユーミリアは、カップルの校章の交換を想像したならシアンから借りれば良いじゃないかとぶつぶつと言いながら、胸に校章を戻した。
「それはともかく、泥棒のことをあまり責めないんですね」
ルキナが不審者のことを責めるような発言をほとんどしなかったので、ユーミリアは意外そうにする。
「なんか不思議と怒りはないのよね」
「大事な制服が盗まれてるんですよ」
「そうなんだけどね。誰だって盗まれる危険性はあったわけでしょ?自分が偶然それに選ばれたんだって思うと、悔しさも何もないっていうか」
ルキナは、不審者に制服をくれてやれるほど心が広いわけではない。しかし、実感がわかないからなのか、怒りにはつながらない。
「とりあえず、目先の問題としては着替えをどうするかね」
ルキナは、さっきまで着ていた衣装をもう一度着た。いつまでも下着姿でいるわけにはいかない。どうするにしても、人前に出られるくらいの服装であるべきだ。
「私が先生の制服を取りに行きましょうか」
ユーミリアがお任せくださいと言うように胸を叩いた。
「うーん。たしかにそれは良い考えだけど、ユーミリアを一人で部屋に入れるのはね…。」
「私は制服泥棒じゃないですよ」
「ユーミリアの場合、その変態とはまた違った危険性を感じるっていうか」
「そんな…。」
「ユーミリアには昼食の調達を頼もうかな。衣装は次の人に渡さないといけないから、これ着て寮に行くわけにはいかないし。でも、このままご飯をおあずけっていうのも嫌だし」
「わかりました。何か買ってきますね」
ユーミリアは、ルキナにお願いされて教室を出て行った。そうしてルキナはウエイトレス姿でユーミリアの帰りを待った。
しばらくすると、両手に食料を抱えたユーミリアが帰ってきた。気合を入れてたくさん買ってきてくれたようだが、さすがに量が多すぎるように見える。
「そんなに食べる自信ないんだけど」
「すみません。先生が食べたいものが何か聞くのを忘れていたので、気になるもの全部買ってきちゃいました」
「別に何でも良かったのに」
ルキナはユーミリアからご飯を受け取り、その教室で食べ始める。
「先生、食べ終わって動けるようになったら、本部に行って制服がなくなったことを伝えに行きましょう」
「本部に?」
「もしかしたら落とし物で本部に届いてるかもしれませんよ」
「そうね。着替えをどうするか問題の解決が急がれるわね」
ルキナたちが昼食を食べ終え、まったりしていると、次の当番のクラスメートがやってきた。衣装を着たままのルキナを見て、どうしたのかと尋ねてきた。制服が盗まれたらしいことを伝えると、その衣装は着たままで良いと言ってくれた。どうせ衣装の数に余裕があるので、一つくらい貸し出したところで問題はないそうだ。ルキナはお礼を言い、ひとまず外に出られるようになったことを喜んだ。
着替え用の教室から出ると、ルキナはユーミリアに言われた通りに本部に向かった。本部は生徒会室で、例年通り、ベルコルや他生徒会役員が常駐している。おそらく本部には制服泥棒の話が多数寄せられているはずだし、もしかしたらルキナの制服が届いているという可能性がある。無論、制服泥棒がわざわざ盗んだ制服を落とすとは考えにくいが。
ルキナたちが生徒会室に向かっていると、道の端に服が落ちているのを見つけた。ルキナは、まさかと思いながら落ちている物を確認した。それは制服で、ここに制服があることは明らかにおかしかった。
「え、ちょっと待って」
ルキナは、制服の持ち主を確認しようと思って校章の裏を見た。そこにはルキナの名前が書いてあった。
「あんの制服泥棒…!」
ルキナは急に悔しくなって怒り始めた。他の人の制服が見つかったという話は聞かなかったのに、なぜか自分のものだけ見つかった。しかも、ところどころ破れていて、ボロボロだ。泥だらけで扱いが雑だったことが見て取れる。ルキナは、自分の制服だけ気に入られなかったような気分になって、制服泥棒のことがだんだん恨めしくなってきた。
「制服、見つかって良かったですね」
ユーミリアは、あははと愛想笑いをしながら言った。ルキナが本来あるべき怒りとは違う方向に怒っていることに気づき、戸惑っているようだ。
「まあ、一応、盗まれたわけだし?本部に報告くらいは入れた方が良いかもね」
ルキナは制服を抱えて生徒会室に行くことは変更しないことにする。制服の有無に関わらず、制服泥棒のことは気になる。本部に情報が集まっているなら、一度行ってみても良いかもしれない。
ルキナたちは再び生徒会室に向かって進み始めた。その途中、軍服を着た大人を数人見かけた。
「国軍まで来てるの?」
ルキナはユーミリアに耳打ちして尋ねた。
「そう、みたいですね」
ユーミリアも国軍がいたことは今の今まで知らなかったようで、驚いている。
「不審者がいるのは確かですし、来てもおかしくはないと思いますけど」
「だけど、制服盗まれたくらいで大げさすぎない?」
国軍が防犯のために校内をうろつくのは正しい対処なのだろうが、それにしては人数が多すぎる気がする。
ルキナが国軍に気を取られていると、ドンっと人にぶつかった。ルキナは慌てて謝り、道を譲った。
「ミューヘーンさんは、ろくに歩くこともできないのかね」
ルキナが頭を下げていると、ぶつかった相手がルキナの名前を呼んだ。ルキナははっとして顔を上げた。
「トウホさん!?」
ルキナはアイザックの登場にたいそう驚いた。アイザックは国軍保安部隊長。一言で言えばお偉いさんだ。いくら不審者がいると噂されているとはいえ、一上級学校のために動くべき人ではない。
「何をそんなに嫌そうな顔をしているんだ」
「別に嫌だとは思ってませんよ。驚きはしましたけど」
ルキナが訝しんでいると、アイザックが不機嫌な声で文句を言った。ルキナはそれを誤解だと訂正する。
「制服がいくつか盗まれているとはいえ、トウホさんまで出てくるような事件ではないんじゃないですか?」
ルキナがアイザックはこういうしょうもない事件のために動く必要はないのではないかと言うと、アイザックは「全くその通りだ」と頷いた。
「実は本命が別にあるんだ」
どうやら、アイザックは別件を追ってこのクリオア学院に来たらしい。その事件というのが、秘議会と少し関係があるらしい。
「秘議会が所有していた武器保管庫から凝固魔力弾が盗まれたことがわかった。それを盗んだ者が秘議会と関係があるかどうかは不明だが、野放しにするわけにはいかない」
凝固魔力弾、通称、魔法爆弾。武器として使われる魔法道具で、国軍がその販売、流通、生産すべてを管理している。魔法爆弾は、発動すると、魔法エネルギー、つまり、魔力を放出する。魔法そのものが放出されるわけではないので、魔法爆弾ではなく、魔力爆弾と称する方が正しい。爆弾と言っても、何かを爆破できるような威力はない。魔法を妨害するのが目的の道具で、魔力の弱い者を気絶させることはできるが、攻撃力の強いものではない。それでも爆弾と呼ばれ、国軍が徹底管理しているのは、十年以上前に起きた事件が原因だろう。テロ組織に大量の魔法爆弾が使われ、多くの一般市民が一斉に気絶するという事件が起きた。それ以来、国軍の許可なしに魔法爆弾の所持は認められず、爆弾と呼ばれて必要以上に恐れられている。
その魔法爆弾を盗んだ輩は、どうやらこのクリオア学院に忍び込んだらしいことがわかったそうだ。どうしてそれがわかったのかという話まではアイザックは教えてくれなかったが、念は念をと言うことで、国軍が総力を挙げてこの学校を守っているらしい。
「トウホさんがここにいる理由はわかりましたけど、そんな話、私にしてしまって良いんですか?」
ルキナは、アイザックから聞いた話が、いわゆる国家機密にあたるのではないかと心配する。ルキナは、秘議会の壊滅に協力したとはいえ、あくまで一般市民だ。重要機密をそうやすやすと話して良い相手ではない。
そんなルキナの心配をよそに、アイザックは「協力者だからな」と一言ですませてしまった。ルキナは、国軍の守秘義務はこんなにいい加減で良いものかと頭を抱えつつも、アイザックから信頼されているふうに言われたのは嬉しく、心の中でこっそり喜んだ。
「期待されるようなことは何もできませんよ」
ルキナは、わかりやすく図に乗るが、本人は冷静な返しができていると思っている。アイザックはそのことを知ってか、知らずか、ルキナは何もしない方が一番良いのだと言った。
「無論、あなたが動くような事態にならないことが最も好ましい。市民を危険な身にさらすのは我々が避けるべきことだ。だが、あなたの洞察力には一目おいている。昔から、我々のような組織には協力者が存在する。ミューヘーンさんも、そうなってくれることを期待している」
アイザックは言うだけ言って去って行ってしまった。パトロールの途中なので、ルキナと話し込んでいる暇はないそうだ。
(いけ好かない奴だったくせに)
ルキナは、アイザックと最初に会った時、いけ好かない人だと思った。それが今は好ましいとすら思いつつある。ルキナはアイザックに懐柔されているような気分になって、複雑な思いになる。
ルキナがアイザックを見送っていると、大人しく話が終わるのを待っていたユーミリアがルキナにそっと寄った。
「先生、制服泥棒は良いんですか?」
「そうだった」
ルキナは制服泥棒に対する怒りを思い出し、ドスドス歩きながら生徒会室に向かった。ルキナには、国軍の協力者となるより先に、制服泥棒を成敗する仕事が残っている。アイザックは、ルキナの洞察力を褒めたが、ルキナは注意力散漫で、感情コントロールについては不安定なもので、まだまだ子供だ。




