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放課後サバイバル日誌   作者: 海凪ととかる@沈没ライフ
入学・仮入部編

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基礎トレーニング

サバイバル研究会は、その掲げたモットー『備えあれば憂いなし』の通り、生き残るための方法を研究していざという事態への備えをすることが主な活動内容であり、その理想は、ごく普通の人間でもいざという時に生き残れるためのノウハウを編み出すことにある。

 

もちろん、ある程度の基礎体力があった方が生存率は上がるのは言うまでもなく、毎日最初の三〇分は基礎体力作りの筋トレに取り分けられており、それが目立つゆえに誤解されがちだが、実のところ、筋トレの後は各々の研究のための時間となっている。

 

何人かで集まって論題を決めてディベートをしたり、個人でサバイバルツールを開発したり、実験したり、部室の資料を自分で読んで研究したり、保存食を開発したり、スリングショットの練習をしたり、護身術の訓練をしたり、とにかくサバイバルに役立ちそうなことであれば何をしていてもかまわない。

 

そして、最後に部室に部員全員が集まってその日の活動内容を報告して情報交換をし、記録をつける。

 

その記録は、後でテーマごとに分けて各自が編集しなおし、研究成果として文化祭などで発表されることになる。


「ユカちゃんは、今日は、どうゆう、予定です?」

 

腹筋をしている美鈴が、足を押さえている結花に途切れ途切れに尋ねる。


「んー、うちは今日も師匠とスリングショットかな」


「はまって、るですね~。うう~! もう駄目ぇ」

 

腹筋が痙攣しそうになって、美鈴はぐてっと仰向けに倒れた。


「最初に比べたらだいぶ続くようになったじゃん」


「毎日やってるですからね~。おかげでちょっと痩せたし。ユカちゃんも痩せたです?」


「ふっふっふ。うちはスリングショットのために腕と胸筋鍛えてるじゃん? だから見て、この二の腕! あのぽよよんとした二の腕の振り袖がほらこの通り」


「あ、いいなー。でもミネコだって腹筋してるからいい感じのウェストになってきたよ、ほら」

 

対抗意識を燃やしてぺろんとジャージの裾をめくる美鈴。勢いよく捲り過ぎて適度に引き締まったお腹だけでなくささやかな胸を覆う下着まで見えかけ、結花が慌てて裾を掴んで引き下げる。


「こ、この馬鹿ネコッ! はしたない真似するんじゃない! 先輩たちが見てんじゃん!」


「にゃ!?」

 

慌てて回りを見回すと、全員がババッと一斉に目をそらし、わざとらしくそれぞれの筋トレを再開する。


こちらに意識を向けていなかったらしい大介だけは平然と腕立て伏せを続けていたが、逆にそれはそれでちょっと凹む。だって、それはつまり、そういう意味ではまったく眼中になかったということで。


大介先輩はやっぱり葵先輩みたいな美人でスタイルのいい人が好みで、ミネコみたいなお子様体型の女の子に魅力は感じないですかね。

 

薄い胸を押さえてしゅんとなる美鈴の視線の先を追った結花が、何か察した様子で小さくため息をつく。


「ほらネコ、交代交代。今度はうちの足押さえて」


「あ、はい」


「せっかく毎日30分筋トレが出来るんだから、この機会に憧れのモデル体型を手に入れなきゃね」


「あは、そうですね」

 

美鈴は力なく笑ってから結花の足を押さえた。



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