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小悪魔マユ  作者: 大橋むつお
52/118

52・フェアリーテール・26

小悪魔マユ・52

『フェアリーテール・26』   



 マユは、三人が目覚めるのを一人で待つことにした。


 ま、そのうちかかしもブリキマンも戻ってくるだろう……。


 最初にもどってきたのは、かかしだった。



「やあ、ドロシー、やっと眠れたんだ。トトやライオンさんまで……ところでキミは?」

 ドロシーは、かいつまんで説明した。

「そうだったのかい……小悪魔ちゃんに助けてもらうのは久しぶりだね」


 この一言にマユは驚いた。こんな目に遭う小悪魔は自分だけだと思っていたのだ。


「わたしだけじゃないの?」

「ああ、久しぶりだけど、初めてじゃない……」



 かかしが、大事な話をしそうになったところで、ブリキマンが帰ってきた。

 ブリキマンも、最初は驚いたけれど、ドロシーとかかしが説明すると、同じように懐かしがった。


「ところで、二人は、ドロシーを眠らせるものを見つけられたの?」

「アリスの眠りネズミを眠らせるジャムをもらってきたんだけど、人間に効くかどうかはね……」

「ボクは、ゲンコツ山のタヌキさんから、おっぱいをもらってきた。ただ、寝たあとは、ダッコしてオンブしてまた明日になるから、その先の保障は無いって言われたけど……」



 二人とも、自分の成果に自信はなさそうだったけど、すでにドロシーが眠ってしまったので安心したようだった。


「さっき、わたしのこと初めてじゃないって言ってたけど……どういうこと?」


「あ……覚えていたんだね。心ないことを言ってしまった」

 ブリキマンは、ボコボコと心の入っていない胸をたたいた。

「ボクは、脳みそがないから、考えも無しに余計なことを言ってしまった」

 かかしは、そう言って首を振った。その勢いで、頭のワラが少し飛び散った。

「心も考えも無しに言ってしまったことだけど、ここまで言ったんだ、マユには話を聞いてもらったほうがいいかもしれないなあ……」

 ワラをかき集めながら、かかしが言う。

「そうだな……今度のドロシーは少し変わっているからなあ……」

 かかしの頭にワラを詰めるのを手伝いながらブリキマンが、ため息混じりに言う。


「今度のドロシーって……どういう意味?」


「ここに来る子は、みんなドロシーなんだ」



「そう、ある日竜巻に飛ばされて家ごと降ってきては、東の魔女を死なせて、オズのところへ行っては、西の魔女のホウキを取ってこいと言われ……」

「いったんは魔女に捕まって、ボクたちが助けて、最後はドロシーが魔女に水をかけてやっつける……」

「で、オズの魔法使いから、ご褒美をもらって……」

「ドロシーはオズの気球に乗り損ねるのよね」

「そう、北の魔女のブリンダが、こう言うんだ」


「靴のかかとを三回鳴らして、『お家が一番いい』って、願う」

 この台詞は、三人揃ってしまい、三人は笑ってしまった。


「そういうドロシーが何人もいるわけ?」

「ああ、このドロシーで2012人目」

「ボクは、1953人目」


「……なんで、ブリキマンさんの方が少ないの?」

「そりゃあ、ボクのほうが先輩だからさ」

 かかしが自嘲的に言った。

「ボクたちは、時期が来ると交代するんだ。ここで眠ってるライオンさんは、今回が初めてだから、そのへんの事情はよく分からないけどね」

「え……意味分からない」


「ここはね、世界中の女の子……って、みんながみんな、そういうわけじゃないけどね」

「せっぱつまった女の子が、自分探しにやってくるところなんだよ」

「で、ボクたち三人は、その手助けをするために、交代でここに飛ばされてくるんだ」

「ボクはブリキマン。彼はかかし。この寝てるのがライオンとしてね……」

「じゃ、あなたたち、元々は……?」


「「「それは……ナイショ」」」


 二人が声をそろえて言った。


「じゃ、トトは?」

「トトは、ただの犬さ」

「ただの犬?」

「ああ、ただの犬」

「……でも、さっき喋ったわよ」


「トトが喋った!?」


 ブリキマンとかかしは驚いて顔を見交わし、そして眠っているトトに目を落とした……。




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