五話 あいつ...
申し訳ないです。
投稿遅れました。
実家に帰省してきましたー
五話 あいつ…
朝、アヤはカナエと一緒に学校へ向かう。
誰かと一緒に学校に行くのなんて、小学生のとき以来だった。
「ねぇ、アヤはぁこのドラマ見てる?」
「見てないよ、どんなドラマなの?」
「んーとね、いじめのドラマなの。でもでも、この主人公がね!いじめに立ち向かって戦うんだよ!!すっごいカッコイイんだよ!!今度、家で一緒に見よ!」
「いじめ…見てみたいかも。」
「よしっ!じゃあ、今度の土曜駅に10時ね!」
「わかった!楽しみだな〜。カナエの家に行くの初めて。」
「うち、そんなに広くないけどねw」
「そんなの私は、気にしないよww」
そんなこんなで、教室についた。
ガラガラ
教室の扉を開き、中に入る。
クラス中の視線がこちらに向けられる。
そして、沢山の内緒話が聞こえた。
「アヤちゃんって、前の学校で…教師をたぶらかしてたんだって」
「えっ?まじで?あんな大人しそうな顔して?」
女子の内緒話。丸聞こえなんだけど。それに、私が教師をたぶらかすって誰をたぶらかすってんだよ。
「…っ!アヤは!そんなことしないよっ!」
カナエ…。私をかばってくれるなんて優しい。
「あっ、カナエ…。もうその子と関わるのやめた方がいいよ。」
「なんでっ、あんた達にそんなこと言われなきゃいけないの?カナエが好きで一緒にいるんだよぉ?それに、その噂だってどうせデマでしょ…!」
「それがね、デマなんかじゃないのよ。」
「ど、どういうこと!?」
その話は流石に聞き流す訳にはいけない、とアヤはとっさに口を挟んだ。
「あんた!自分の事だから分かるでしょ?」
「分からないからどういうことか聞いてるんでしょ!!」
アヤの大声に、びっくりしたような顔をした女生徒は、事情を話しはじめた。
「…あんたの、前の学校に私の友達がいるの。その子が、言ってた。同じクラスだったらしいけど…その子は、あんたが…サカタ先生をたぶらかしてたって言ってたけど?ほんとなの?」
「ほんとなわけないでしょ。そんな噂。」
サカタ…。あいつは、沢山の女生徒に手を出した最低な教師。優しそうなふりして、倉庫の片付けを、手伝って欲しいとか言って、倉庫に連れ込んで…。あいつ…。
「ほんとじゃないって…あんた、私の友達が嘘ついてるっての?!」
「そうよ。」
「は?ムカつく」
「どうして?あなたは、それほどその友達のこと信用できるの?私はその噂は嘘だと言っているのに。あなたはその友達のことを信じるの?もし、あなたの友達の言ってることが嘘だとしたら、あなたは私にちゃんと謝ってくれるのかしら?謝らないにしても、それ相応の対応はするんでしょうね。あなたにそれほどの覚悟はあるの?」
「……っ、もういいわよ!嘘なんでしょ?なら、あんたのことを信じるわよ!!」
「ならいいわ。」
すっかり教室の空気は冷たくなってしまったようだ。
アヤとカナエはそれぞれの席に着いた。席に着いて5分後、HR開始を告げる予鈴がなった。そろそろとクラス中の人達は自分の席に着き始めた。本鈴が告げられ、先生が教室に入る。このクラスの担任は、若い女の先生だ。担当教科は数学。名前はワカバ。よく笑う可愛らしい先生だ。
「皆さん。おはようございます!」
「おはよーございまーす。」
先生の挨拶に、だるそうに生徒達が答える。
「アヤちゃん…。」
先生の話の最中、アラタが小さな声でアヤを呼んだ。
「何ですか?」
アヤも少し声を小さくして答えた。
「あの、アヤちゃん。前の学校で教師をたぶらかしてたって聞いたけど…その、嘘だよね?」
そういえば、アラタは予鈴がなってから教室にきた。だから真相は知らないのだろう。
「えぇ、嘘ですよ。私はそんな汚らわしいことしません。」
「そうだよね。ごめんね。」
「いえ…。」
アラタとの会話が終わったところで、HR終了のチャイムがなった。
きりーつ。礼。
挨拶が終わり、1限目の準備をしていたり、話をしていたりと、クラスはいつも通りになっていた。
ただ、3人を除いては……。
お読み頂きまして、ありがとうございます。
それでは、また!