プロローグ
プロローグ
「いいかいアヤ、このことは誰にも言ってはならない。約束できるね?」
「はい。でも、どうして?」
「それは×××だからだよ。」
チリリリ チリリリ
朝の訪れを告げる目覚まし時計が鳴り響く。それよりも10分程早く起きていたアヤは、時計を止めた。静寂が、部屋の中に戻った。
「また、あの夢を…。」
アヤはパジャマを脱ぎ捨て、これから通うことになる学校の制服を身にまとった。なかなか可愛らしい制服だった。鏡で乱れているところはないか確認し、階下へ降りる。まだ馴染まない家の中を歩いていると、祖母であるマリコの家を思い出す。きっとそれは、この家が日本家屋風だからだろう。アヤは、脱ぎ捨てたパジャマを片手に洗面所へ向かった。洗面所のところは、脱衣所にもなっており、風呂、洗濯機、洗面台がある。アヤは洗濯機にパジャマを放り込むと、顔を洗い、歯を磨いた。その後、両親のいるリビングへ向かった。
ガチャ
「あら、アヤおはよう。」
お母さんが、フライ返しを片手に挨拶をした。
「…おはよう。」
アヤは控えめに挨拶を返した。
お父さんは相変わらず新聞を難しそうな顔で見ていた。
「はい、どーぞ。」
お母さんが朝食を食卓テーブルに並べた。
食器は汚れひとつなく輝いていて、まるで新品同様だ。今朝のメニューは、シンプルなもので、味噌汁にご飯、納豆、鮭のムニエル、漬物だった。家では、和食と洋食が交互に出ることが多い。今日は和食の日だ。
「ごちそうさまでした。」
アヤは、食べ終わった食器をシンクに置き、水につけた。鞄を持って、玄関に向かう。すると、お母さんが
「アヤ、私達家族のことは誰にも言ってはダメだからね。」
と、言った。どうして、言ってはならないのかは分からないし、家に何かあるとは思っていない。それなのに、昔から私はそう言われ続けた。
「わかってるよ。」
お母さんにそう返事をし、玄関を出た。
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