表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
亡国の姫生活  作者: Yukie
第一章 ミステア王国の滅亡編
3/7

講師と妹

本日最後の予約投稿です。

今回は講師二人と妹視点となります。


 最初、城から講師にならないかと話が来た時は、正直あまり乗り気ではありませんでした。

 時期から考えて、私が魔法を教えることになるのは第一王女テル様でしょう。

 レヴィ王はある程度魔法を扱えますし、アレシア王妃は上級魔導師です。なのでこのお二人はありえない。

 となると、考えられるのは王女のテル様、クラリス様の二人。

 年齢的に考えるとテル様、となります。


 しかし、テル様は今年で5歳になられたばかりのはず。

 5歳は流石に魔法を扱うには幼いと思います。

 

 ですが、母が病気でお金が大量に必要だったため仕方がなく受けることにしました。

 もし、幼くて私の手に負えないと判断したら途中で講師を降りるかもしれませんが。その時はどうにかしてお金を稼ごうと思います。



 講師の話を了承して一ヶ月後、今日から城に住み込みで講師となります。

 休みは月3ですが、講師をするのは午後のみであり、安全が約束されている上にこの報酬では月3というのも贅沢な気もします。


 お昼はお城の食堂で取りました。その時にシェフにこれからお世話になりますと挨拶も済ませておきました。

 お昼を食べ終わり、私は属性石をポケットへ入れ、指定場所へ向かいます。


 その姿を見たときは、少し不安になりましたが、表に出さずとどめます。

 将来引く手数多な美人になるでしょうが、今は幼い子。

 レヴィ王やアレシア王妃は誰にも優しく強いお方ですが、その子供もそうだとは限りません。位の高い家の子供ほど傲慢になりやすいのです。

 例えそうだとしても、母の治療費が稼げるまでは耐えましょう。


 まずは自己紹介からです。


「テル様の魔法の講師をさせていただく、シリスです。本日からよろしくお願いします」

「テルです。こちらこそよろしくお願いします」

「今日はテル様がどの属性が得意かを調べていきましょう。その前にテル様は魔法というのがどんなものかご存知ですか?」


 内心驚きつつ、表には出さずに今日の予定を告げる。


 この年でちゃんと自己紹介を返してくるところや、言葉遣い、両方に驚きました。

 この調子ならば、長く続けれそうです。


 しかし、この時の私はさらなる驚きが待っていることを知りませんでした。



 それは、テル様が人族初の六属性持ちであることを知った時であったり。

 テル様の保有する魔力量の多さに気がついた時。

 一度で魔法を発動させたとき。

 ある日、少し時間に遅れそうになった時に、中庭で無詠唱で魔法を発動させているのを見てしまったとき。

 中級魔法を一度で成功させたとき。など数多くの驚きが待っていました。


 正直凄すぎて少し恐怖を感じる程ですが、テル様を見ているとわかります。

 テル様はあの年で既に自分でちゃんと考え行動することができます。

 そして王や王妃に負けずとても優しい方でもあります。

 なら怖がる必要もありません。


 私ができることは全てお教えします。


 テル様は必ず歴史に名前を残す方になられるでしょう。



 

 


 俺が王女に剣を教え始めて一ヶ月が経つ。

 剣の持ち方、構え方を教えたらすぐに吸収した。

 剣を持ったときの体勢は持ち方や構え方に比べたら時間はかかったが、普通よりは早かった。

 生意気で我が儘なやつならすぐに講師なんてやめてやろうと思ってたが、そんなことは全くなく、それだけでなくどこか大人びていて、同年齢位のやつと話しているように錯覚してしまいそうだった。

 木剣を持たせ打ち合い始めたときから違和感を感じたが、初心者だからだと思っていたんだが、一ヶ月経つ今も違和感がまだ残っている。

 なんていうか、剣の使い方じゃない感じだな。

 剣は力で叩き切るといった感じなんだが、あいつの使い方は、技で切り裂くといった感じだ。


 今日俺が中庭に行くと、いつものように王女が待っていた。

 初めて見る氷でできた武器を持って。


 話を聞いてみると、その武器は氷の中級魔法で作ったものらしく。今日はそれで練習したいと。

 俺としては未知なる武器と戦えるというのはいい経験になると判断し、許可することにした。


 そして、打ち合ってみて確信した。

 王女こいつは天才の上を行く天才だ。


 今まであった違和感が完璧に消え去っていた。

 状況判断もうまく、攻める時には攻め、守る時には守る。

 中々これができない奴が多いんだが、王女は教える前からちゃんとできていた。


 ただ、やはり経験が全然足りていないため、普段最適手を選ぶことはできても、フェイントなどを入れたときは簡単に引っかかったりもしていた。


 最近ではそのフェイントにもちゃんと対応してくるようになってきている。


 既にAランク冒険者と互角くらいか?

 

 こいつの将来が楽しみだ。


 


 

 今日、私は5歳になります。

 そうなんです。今日から私も武術と魔法を教えてもらえるんです!

 去年、よくお姉さまが練習しているのを見ていましたが、とってもすごかったです。

 そんなことを考えているうちにメイドさんに着替えさせてもらい、みんながいるところへ向かいます。

 いつもより、少し早足なきもしますが、気のせいです。


 朝食を食べていると、いきなりお父様が話し始めました。

 内容は恐らくお姉さまの武術か魔法の選択と、私の講師についてだとおもいます。


「まず、テルからだが。テルは武術と魔法を習い始めて1年が経った。普通ならここでどちらかを選択し、選択された方の講師が引き続き付くのだが……」

 

 と、ここで一旦お父様は区切り、一息ついてから話を再開させます。

「テルは既に両方ともこのまま教えるよりも、たまに臨時講師を呼んで戦う方がいいだろうと言われている」

 

 メイドさんたちの話を盗み聞きしたことがあるのですが、お姉さまは天才の上を行く天才だそうです。

 お姉さまはすごいんです!


「一度こっそりアレシアと覗きに行ったんだが、俺たちも同じ意見だ。だから、今日から講師はつかないが、臨時講師を呼ぶときのために選択はしてもらいたい」

「両方ともというのはできますか?」


 全く考える素振りもなく即答するお姉さま。即答するということは既にこの流れになることが分かっていたのでしょうか?

 私も戦えるようになったら、お姉さまと冒険とかしてみるのが夢なんです。


 夢ですから、王女の私がこんなことを願ってもいいはずです。

 願うだけならば。


 っと暗くなるのはダメですね。


「わかった。次にクラリス」

「はい」

「クラリスには武術と魔法の講師が付く。一年は両方学び、一年後に選択をしてもらう。もちろん、テルのように両方というのも可能だ」

「はい、わかりました」


 そうして、話は終わり私は朝食を食べ終わったあと、動きやすい服装に着替え、中庭へ。


 中庭に着くと、お姉さまとお姉さまの講師をしていた二人がいました。


 確かお姉さまには講師は付かないはずですから、この二人が私の講師ということでしょう。


「顔合わせも済んだし、自己紹介だな。俺は武術を教えることになっているアーサー。冒険者だ。基本的に午前中に俺が教えることになっている」

「私はシリスといいます。アーサーさんと同じ講師で基本的に午後に魔法を教えさせていただきます」

「えーと、私もしたほうがいい感じかな? 私はテル・ミステア。貴女のお姉ちゃんだね」


「クラリス・ミステアです。よろしくお願いしますっ!」


次からは一気に時間が進み、急展開になります。

この話までがプロローグです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ