表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
食文化創世記~味の開拓者たち~  作者: かつを
第2部:外食文化の設計者編 ~レストランの「仕組み」を創った人々~
84/155

ファミリーレストランを支えるセントラルキッチン革命 第6話:深夜営業と、ドリンクバー

作者のかつをです。

第十三章の第6話をお届けします。

 

今では当たり前の「24時間営業」や「ドリンクバー」。

今回は、それらのサービスがいかにして生まれ、そしてファミリーレストランを単なる食事の場所から人々の「居場所」へと変えていったのかを描きました。

 

※この物語は史実を基にしたフィクションです。登場する人物、団体、事件などの描写は、物語を構成するための創作であり、事実と異なる場合があります。

ファミリーレストランは、日本の郊外の風景を完全に変えた。

しかし、彼らの革命はまだ止まらなかった。

彼らは、人々の「時間」と「空間」の常識さえも塗り替えていくことになる。

 

その最初の挑戦が、「深夜営業」そして「24時間営業」だった。

 

1970年代。

日本の社会は夜型化へと大きくシフトし始めていた。

残業で夕食の時間が遅くなるサラリーマン。

深夜まで語り明かす若者たち。

 

しかし、街から終電がなくなると彼らが行ける場所はどこにもなかった。

 

ロイヤルホストの創業者、江頭匡一はそこに新しいビジネスチャンスを見出した。

 

「夜、安心して過ごせる場所を提供したい」

 

セントラルキッチンとマニュアル化されたオペレーション。

その効率的なシステムがあったからこそ、この常識破りの挑戦は可能だった。

少ない人数で、深夜でも安定したサービスを提供できる。

 

ファミリーレストランは、夜の砂漠のオアシスとなった。

それは、単に食事をするだけの場所ではなかった。

若者たちが夢を語り合う語り場となり、クリエイターがアイデアを練る書斎となり、そして家に帰りたくない人々が一人静かに時間を過ごす避難所ともなった。

 

そして、もう一つの偉大な発明が生まれる。

「ドリンクバー」である。

 

それは、すかいらーくのある店舗の一人の店長の、ささやかなアイデアから始まったと言われている。

 

「お客様にもっとゆっくりと過ごしていただくには、どうすればいいか」

 

定額で好きな飲み物を好きなだけ自分で注ぎに行ける。

その画期的なシステムは、客の滞在時間を劇的に伸ばした。

 

高校生がドリンクバーだけで何時間も粘って勉強する。

主婦たちがランチの後、おしゃべりを心ゆくまで楽しむ。

 

経営的に見れば、非効率な客かもしれない。

しかし、ファミリーレストランはその非効率さを受け入れた。

 

なぜなら、彼らが売っていたのはもはや単なる「料理」ではなかったからだ。

彼らが売っていたのは、人々が自由に気兼ねなく過ごせる「時間」と「空間」そのものだったのだ。

 

食事をする場所、「レストラン」。

その本来の意味を超えて、ファミリーレストランは地域のあらゆる人々が集う公民館であり、談話室であり、そしてもう一つのリビングルームのようなかけがえのない「インフラ」へと進化していった。

最後までお読みいただき、ありがとうございます!

 

ドリンクバーは店側の人件費削減にも大きく貢献しました。客が自分で飲み物を取りに行くため、ウェイトレスがお代わりを聞きに行く手間が省けるのです。まさに、客と店双方にメリットのある素晴らしい発明でした。

 

さて、日本の新しい「団らんの場所」を創り上げたファミリーレストラン。

その革命は、現代の私たちにどう繋がっているのでしょうか。

 

次回、「あなたの街の、あの場所で(終)」。

第十三章、感動の最終話です。

 

物語は佳境です。ぜひ最後までお付き合いください。

ーーーーーーーーーーーーーー

もし、この物語の「もっと深い話」に興味が湧いたら、ぜひnoteに遊びに来てください。IT、音楽、漫画、アニメ…全シリーズの創作秘話や、開発中の歴史散策アプリの話などを綴っています。


▼作者「かつを」の創作の舞台裏

https://note.com/katsuo_story

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ