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食文化創世記~味の開拓者たち~  作者: かつを
第2部:外食文化の設計者編 ~レストランの「仕組み」を創った人々~
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なめらかプリンが起こしたデザート革命 第5話:スプーンですくう幸福(終)

作者のかつをです。

第二十四章の最終話です。


一つのスイーツがいかにして定番となり、私たちの生活を豊かにしたのか。

この物語全体のテーマに立ち返りながら、なめらかプリンの物語を締めくくりました。

今日、帰りにプリンを買って帰りたくなっていただけたら作者冥利に尽きます。


※この物語は史実を基にしたフィクションです。登場する人物、団体、事件などの描写は、物語を構成するための創作であり、事実と異なる場合があります。

なめらかプリンのブームから30年以上が経った。


一時は市場を席巻した「なめらか派」に対し、近年では「固めプリン派」の逆襲も見られるようになった。

喫茶店ブームと共に、昔ながらのしっかりとしたカスタードプリンの良さが見直されているのだ。


しかし、それは「なめらかプリン」が廃れたことを意味しない。

むしろ、プリンの世界がより豊かに、より多様になったことの証だ。


今日、私たちはその日の気分で選ぶことができる。

懐かしさを求めて固めのプリンを食べる日もあれば、疲れを癒すためにとろとろのプリンを求める日もある。

その選択肢の広がりこそが、かつて所浩史たちが起こした革命の最大の果実なのだ。


そして、彼らが確立した「低温でじっくり焼く」という製法や、「卵黄と生クリームを贅沢に使う」というアプローチは、プリンに限らず多くのチルドデザートの基礎技術として定着している。

コンビニスイーツのレベルがこれほどまでに高くなったのも、彼らのあくなき探求があったからこそだ。



……2026年、東京。


物語の冒頭に登場した、あのコンビニエンスストア。

仕事帰りの若いサラリーマンが、スイーツコーナーで立ち止まる。

彼は少し迷った末に、金色の蓋の「なめらかプリン」を手に取った。


彼は知らない。


今、自分が何気なくカゴに入れたその小さなカップが、かつて一人のシェフが「お客様に最後まで美味しく食べてほしい」と願い、何百回もの失敗を重ねて生み出した優しさの結晶だということを。


卵白を捨て、火加減と格闘し、常識を覆したその勇気が、今夜の彼の疲れを癒す魔法になっているということを。


歴史は、遠い昔の英雄譚の中だけにあるのではない。

私たちの、この冷蔵庫の中の小さなデザートの中に、確かに息づいているのだ。


帰宅した彼は、ネクタイを緩めてプリンの蓋を開ける。

スプーンですくったその一口は、とろりと舌の上でほどけ、甘い幸福感で心を満たしていく。


時代が変わっても、変わらないもの。

それは、美味しいもので誰かを笑顔にしたいという、作り手たちの温かい想いなのかもしれない。


(第二十四章:プリン三日月の夜 ~なめらかプリンが起こしたデザート革命~ 了)

第二十四章「プリン三日月の夜」を最後までお読みいただき、本当にありがとうございました!


パステルのなめらかプリンは今も進化を続け、様々なフレーバーが登場しています。でもやっぱり、基本のカスタードが一番美味しい気がしますね。


さて、甘いデザートの物語でした。

次なる物語は、大阪のソウルフードを「食事」へと昇華させた男たちの物語です。


次回から、新章が始まります。

**第二十五章:天かすと紅生姜の協奏曲 ~たこ焼きを「おやつ」から「食事」に変えた男たち~**


子供の駄菓子だったたこ焼きを、外はカリカリ中はトロトロの絶品料理に変え、全国区のチェーン展開を成功させたあの店の物語です。


引き続き、この壮大な食文化創世記の旅にお付き合いいただけると嬉しいです。

ブックマークや評価で応援していただけると、第二十五章の執筆も頑張れます!


それでは、また新たな物語でお会いしましょう。

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もし、この物語の「もっと深い話」に興味が湧いたら、ぜひnoteに遊びに来てください。IT、音楽、漫画、アニメ…全シリーズの創作秘話や、開発中の歴史散策アプリの話などを綴っています。


▼作者「かつを」の創作の舞台裏

https://note.com/katsuo_story

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