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食文化創世記~味の開拓者たち~  作者: かつを
第2部:外食文化の設計者編 ~レストランの「仕組み」を創った人々~
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深夜営業を始めた喫茶店の静かなる挑戦 第3話:深夜の、もう一つの顔

作者のかつをです。

第十六章の第3話をお届けします。

 

華やかな挑戦の裏側にある地道な、そして過酷な現実。

今回は、深夜営業という特殊な環境だからこそ直面した「安全」と「人」という普遍的な課題に光を当てました。

 

※この物語は史実を基にしたフィクションです。登場する人物、団体、事件などの描写は、物語を構成するための創作であり、事実と異なる場合があります。

客は少しずつ増え始めた。

しかし、それは新たな問題の始まりでもあった。

 

深夜のレストランは、昼間とは全く違う「もう一つの顔」を持っていた。

 

まず立ちはだかったのは、「防犯」の問題だった。

 

夜が更けるにつれて客層は変わっていく。

昼間の明るい家族連れの姿は消え、代わりに酒に酔った客や柄の悪い客が現れるようになった。

大声で騒いだり、他の客に絡んだり。

時には、食い逃げや強盗のリスクさえも考えなければならなかった。

 

店長は頭を悩ませた。

毅然とした態度で対応しなければ店の秩序は守れない。

しかし、下手に刺激すればどんなトラブルに発展するか分からない。

 

彼は警察と密に連携を取り、防犯体制を強化した。

そして、何よりも従業員たち、特に女性ウェイトレスの安全を守ることを最優先に考えた。

 

その従業員の確保もまた深刻な課題だった。

 

深夜の時間帯に働いてくれる人間を、どうやって集めるのか。

特に女性の従業員は家族の反対もあり、なかなか集まらなかった。

 

ロイヤルは待遇の改善に努めた。

深夜手当を厚くし、終電がなくなった後の帰宅用のタクシー代も会社が負担した。

 

そして、何よりも江頭社長自身が自ら深夜の店舗を頻繁に訪れた。

彼は厨房で皿を洗い、従業員一人一人に声をかけ、彼らの悩みや不安に耳を傾けた。

 

「君たちがこの店の最前線を守るヒーローなんだ」

「君たちの安全と健康が、この店の何よりの財産だ」

 

そのトップの真摯な姿勢は、従業員たちの心を確かに掴んだ。

彼らは単なる時給で働くアルバイトではなく、この前例のない挑戦を共に戦う「仲間」としての誇りを持ち始めたのだ。

 

深夜のレストランは、客にとっても従業員にとっても特別な場所となっていった。

 

それは、社会の昼間の顔から少しだけはみ出した人々が集う秘密の隠れ家。

そこには、昼間の建前だけの世界にはない本音と、人間の生々しい、しかし温かい繋がりが確かに存在していた。

最後までお読みいただき、ありがとうございます!

 

この深夜営業で培われた防犯や労務管理のノウハウは、その後の日本のあらゆる24時間営業のビジネス(コンビニなど)の貴重なお手本となっていきました。まさに、彼らはパイオニアだったのです。

 

さて、数々の困難を乗り越え深夜のオアシスを守り抜いたロイヤル。

そのささやかな灯火は、やがて日本中の夜の風景を変えることになります。

 

次回、「眠らない街の、誕生」。

深夜営業が、一つの「文化」になる瞬間です。

 

物語の続きが気になったら、ぜひブックマークをお願いします!

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もし、この物語の「もっと深い話」に興味が湧いたら、ぜひnoteに遊びに来てください。IT、音楽、漫画、アニメ…全シリーズの創作秘話や、開発中の歴史散策アプリの話などを綴っています。


▼作者「かつを」の創作の舞台裏

https://note.com/katsuo_story

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