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初陣 前編

禁忌の森、ダルカス森林。

そこにひっそりと並び立つ倉庫群。


その前の開けた場所に、漆黒のタイタンと、災厄の機獣が睨み合っていた。



「.....いざ向かい合うと、ちょっと怖いかも.....」


目の前の双頭を見ながら俺はつぶやく。


一つの頭が吠え、もう片方は唸りながらこちらを睨みつけている。


今にも飛びかかってきそうだ。


「....だけど....」


横を見ると、左手を失い、立っているのがやっとな2号機の姿がある。


「俺がやらなきゃ...いけないんだっ..!」


そのために巨大メカに乗っているんだろう!


覚悟を決め、操縦桿を握り直す。


〈メインシステム 戦闘(コンバット)モード 起動〉


左右からフェイスマスクが展開し、アーサーの顔を覆う。


背部のメインターボが解放。フレームがスライドして脚部に2門ずつブースターも解放される。


そして背中に持っていた大剣を引き抜き、両手で構えた。


「行くよ!アーサー!」


一瞬の溜めのあと、ターボを吹かせながらマーナガルムに急接近する。


目前に巨大な牙が迫った瞬間、スラスターで上体を下げ、地面すれすれを飛ぶ。


噛みつこうと伸ばしてきた左頭を、ブースターを乗せた脚で蹴り上げる。


ガキン!!


グッ!?


そしてあらわになったその首元を大剣で一気に切り裂く。


ガァァァァ!!


雄叫びと共にマーナガルムの片頭が吹き飛んだ。


「よっし!うまくいった!」


倉庫から出撃したあと、少女から


『マーナガルムはほぼ全身にラジエリウムを取り込んでいて、刃はほとんど通りませんが、首の付け根付近は皮膚が露出しています。狙うならそこですが.....2つもの頭を避けなくてはいけません』


と助言をもらっていたのだ。


下から敵を蹴り上げ、剣で一気に切り裂くーーブラッドナイトの十八番だった。


そんな余韻に浸っていると


『危ない!!』


頭上から音声通信を通して少女の声が聞こえた。


背後からマーナガルムが前足を振り上げていたのだ。


「くっ....」


片方だけじゃダメなのか..!!


どうする!?今から旋回しても間に合わない。

目の前には林があってターボも使えない。


ちくしょう、一発喰らうしかないのか..!!


キュイーン  キィィーン


ガキン!!


!? アーサーの右手首から放出された粒子がシールドを形成し、マーナガルムの前足を受け止めた。


その隙をついて横に移動し、距離をとって仕切り直す。


てか今、俺操作してないよな...?


まぁいい。考えるのは後にしよう。


「アーサー、さっきのシールドはなに!?」


〈セカンドウエポン ラジエル放出装置です 両手首のノズルからラジエル粒子を放出し、シュナイダーかシールドを形成します 連続使用はできません〉


なるほど....連続では使えないってことはあと左手しかないのか。


俺はもう一度前方モニターに映るマーナガルムを見た。


片方の頭を切り落とされ、いささかバランスをとりにくくなっているようだ。


なぜ逃げないのだろうーそんな考えが頭をよぎったが、今は気にしないことにする。


頭が一つになったマーナガルムを見据えながら、一つの作戦を思いつく。


ーー失敗したらかなりまずいことになる....やれるか?


応えるかのように操縦桿の光が一層強くなる。


「よし!アーサー、もう一度仕掛ける!」


アーサーのフェイスマスクの隙間が青く光った。

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