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歌う翼

 指定位置まで進んだヒバリスが立ち止まる。レーンの先に何個か射撃用の的がある。ヒバリスが右手を構えた。と、的が次々と倒れた。

「....速いな」

 実弾ではあの弾速は出ない。そもそももっと音がするはずだ。見る限り、右手の武装はラジエルを高密度に収縮して撃ち出しているのだろう。

「おぉ〜!!あれが噂のセリア様の新機体か!」

 気づかないうちに隣に大柄の青年が立っていた。かなり筋肉質で、だいぶ見上げる形となる。

「あんたもあれを見てたんだろ?」

「えぇ、、はい、、、」

「いや〜今年の試験は近年稀に見る異例だな!学園長の愛娘が自機で出るってのだけでも大事件だが、今年はあの【静寂(クワイエット)()群眼(パノプティック)】が出てるらしい」

「クワイエット...なんて?」

「なんだ、知らないのか?王国が開催しているタイタンの大会で、狙撃部門で4連覇している奴だ」

 そうなのか。

「あと最後に、これは本当に噂程度なんだが、セリア様をダルカス森林で救ったっていう【黒騎士】ってのが試験を受けるらしい」

 ぎくり

「学園長が特例で試験を認めただとかなんとかって話だ。そんなの学園が始まって以来聞いたことないぞ」

 ぎくぎくり

「あっだいぶ話しちまったな。順番が前後したかもしれねぇが、俺はドレイク=アイゼン。あんたは?」

「あっえっと、ユウジ=アークライトって言います」

「おいおい、同じ試験生なんだから敬語はいらねぇよ!フランクに行こうぜフランクに」

「あぁうん、、、わかった。じゃあよろしく、ドレイク」

「おうユウジ、よろしくな」

 最初は見た目のガタイにビビったが、結構気さくな人で助かった。

「それでドレイクはなんで試験を受けようと思ったの?」

「さっきも言った通り、面白ぇ奴がいっぱい来るって聞いたからよ!」

「へ、へぇ、、、」

 その面白いやつが一人目の前にいるんですけどね!

「あれ?まだ続くの?」

 見るとヒバリスはまだフィールド内にいた。さっきまでのレーンと的は片付けられている。

「射撃部門は2フェーズあるんだ。1フェーズ目はさっきみたいに動かない的をできるだけ早く正確に撃ち抜く。2フェーズ目は地中に埋まっている自立タレットがランダムで出てきて攻撃をしてくる。その攻撃を避けながら全てのタレットに攻撃を当てるっていうモンだ」

「へぇ、詳しいね?」

「さっきやってきたからな!俺も後半射撃部門で、順番が早めだったんだ」

 その体格で射撃部門なんだ....思いっきり近接だと思った。

「そろそろ始まるぜ」

 ヒバリスがフィールドの中央に立っている。

「では第2フェーズ、開始!」

 試験官の合図で5機のタレットが現れ、一斉にヒバリスに向かって射撃を開始する。

「うわっ結構容赦ないな」

 しかしその後のヒバリスの動きにさらに驚いた。まず大きく空中に飛び上がる。そして4機のブースターをうまく使い、滑空するようにタレットを翻弄する。弾幕の薄いところを狙い急降下、タレットを攻撃しまた急上昇。この動きを繰り返し、ついに全てのタレットが沈黙した。ふわりと地上に降り立ったヒバリスに被弾の跡はない。

「すげぇ!全っ然喰らってないぞ!」

「うん、綺麗、だね」

 ヒバリス─その名の通り雲雀の歌声のように美しい動きだった。


「そういやユウジはもう試験終わったのか?」

 フィールドから出ていくヒバリスを眺めているユウジに向かってドレイクが聞く。

「あっそういえば!近接部門って今どこまで行ってるか分かる?」

「近接なら俺がここに来る時にちょうど600番だったな」

「あ!まずい!もう20人ぐらいしかいないや、じゃあね!」

 そう言いながらユウジは慌てて会場への道を走り出した。

「入学後にまた会おう!」

 遠くなっていく小さな背中を見ながらドレイクは思わず笑った。

「『入学後』かよ。小さいくせして粋なこと言うじゃねぇか」

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