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#30 見つけた。

生温い風が頬を撫で、建物の隙間で俺は再び相見える。復讐の相手を、無慈悲な狩人の姿を。

ヒールを脱ぎ捨て、ドレスの裾をたくしあげる。邪魔なハンドバッグを空中に投げ捨て、距離を詰める。少しの衝撃音が鳴り響き、地面がえぐれる。太ももから"芍薬"を抜き出し、ひとりの首を穿つ。男の喉から空気と血が溢れ出る音が聞こえ、返り血が顔にかかる。

短刀を抜き、返り血をこすりながら尋ねる。


「お前らの拠点とボスは誰だ」


無言のまま俺に素早く近づき、剣を振り下ろす三人。上段から振り下ろされた剣を横に回避し、続く中段の攻撃を宙返りして避け、発生した慣性を利用して顎を突き刺す。"芍薬"から手を離し、最後の攻撃を上半身を折り曲げて避けきる。

下から突き上げるように拳を振り上げ、顎を打ち抜く。気絶して手放された剣を左手で回収して、狼狽えてる最後ひとりの腹に投げつける。空間を切り裂く音が聞こえ、腹を貫かれた男は片膝を付き、力なく倒れる。"芍薬"を回収して気絶した男以外の首を切り裂き、"盲目な狩人(ブラインド・ハウンド)"の死体を漁る。持ち物は剣のみでなにか情報のようなものは持っていなかった。気絶した男を縛りあげ、頬を叩き意識を覚醒させる。


「おい、生きてるだろ」

「…貴様、我らにここまで楯突いてただで済むと思うなよ」

「そりゃ結構、それが狙いだからな」


フードを外し、顔を見る。やはり見知った顔などではなく、ただ俺を睨みつけていた。


「組織について知ってること全部話せ」

「…裏切るわけには」


足を刺し、男の発言を途中で止める。断末魔が裏路地に響き、肉を抉る感触が手に伝わる。


「話せって言ってるんだよ、立場わかってんだろ」

「…話すことなんか何も無い」

「そうか、ならこんな耳はいらないな」


続いて耳を切り取る、血がボタボタと垂れ苦悶の表情を浮かべる男。出血多量で死なれては困るため『微癒(ヒール)』を使い、出血を止める。


「楽に死ねると思うなよ、全部話すまで辞めないからな」

「何をされても貴様に話すことは無い」


そう言って俺の顔に唾を吐く男。呆れた忠誠心だが時間はたっぷりある、死んだ方がマシな程の苦痛を与え続けてやろう。幸い俺には医療魔術が使える、治して壊してを繰り返す。男の断末魔が月に吸い込まれ、血が至る所に飛び散る。どれほどそれを続けていたか分からなかったがやがて観念したのか男は口を開き、組織について話し始めた。分かったことはこうだ。

ボスの素性は誰も知らない。こいつらは仕事の時だけ拠点に召集がかかりそこで直属の幹部から内容を伝えられる。拠点の場所はとある酒場の地下。幹部は定期的に会議を開くみたいだがその会場は幹部とボスしか分からない、とのことだ。


「それで全部か?嘘は無いな?」

「ない!!!全部本当だ!俺たちはただの末端だ、詳しく知っているのは幹部だけなんだよ!!」

「そうか」


男の首を切り、俺は路地裏を後にした。つまるところ幹部しか分からないということだ。とりあえず拠点があるとされている酒場に向かうとしよう。ようやく尻尾を掴んだのだ、行かないなんて選択肢は無い。

ドレスを脱ぎ捨て、防具とスーツを着る。ふた振りの魔剣を腰に差し、最後に鉢金を装備する。

冷たい鉢金の感覚が肌に伝わり、深く深呼吸する。やつらの拠点に行き、皆殺しにする。手回しなどする必要はなかったかもしれんな。

人通りの少ない路地を抜け、例の酒場に向かう。閉店の看板がかかってはいるが中から光が漏れ、話し声が外まで漏れている。扉を蹴破り、中に入る。

声がピタリと止み、全員俺の方を見る。


「"盲目な狩人"の拠点というのはここか?」

「てめえ!どこでそれを!!!」


近くにいた男が剣を手に取り、大声を上げたことを皮切りに全員が武器を手にし始める。こんなところで時間をかける訳にはいかない。『土弾』を使用して俺の周囲全てに吹き飛ばす、全てが正確に急所を撃ち抜き、一瞬にして静かになる酒場。

先程までの喧騒は嘘のように静まり返り、俺の足音のみが酒場に響く。地下に拠点がある、と男は言っていた。探せば扉はあるはずだ、周囲を見て周りやがてカウンターの裏側に入口を発見する。開けると下に梯子が続いており、僅かなランタンの光が見えていた。

飛び降りて中に入る、俺の着地する音に釣られて多くの人物が現れてくる。巣穴はここで間違いないようだ、できるだけあの力は温存しておこう。あの白髪の男がいつ現れるか分からない。

手当たり次第に出てくる人間を斬り捨て、部屋を散策する。やがて顧客リストや商品リストのようなものを見つけ、一応カバンに詰めておく。とにかく道を突き進み、一人残らず殺して回る。やがて大きな空間に出てその中心には白髪の男が退屈そうに椅子に座っていた。


「誰かと思えば君か、ここにボスはいないよ。僕の家だから」


気怠げな白髪の男目掛け"凶星"を投げ飛ばす。分裂した幾つもの星が白髪の男に飛んでいき、大きな爆発音が鳴り響く。


「それしかできないの?君」

「ッ!!」


あの時のように背後に現れ、俺は慌てて前方に跳躍して距離を離す。

想定していたが、やはりかなり強い。

下書きが残っていたので投稿しますが黒のトリガーはしばらく投稿を辞めます。

すいません。

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