表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
落ちこぼれ王子に転生した魔術師は、二度目の人生でも魔術を極める 〜チートすぎる魔力と前世の知識で、世界最強に至る〜  作者: 鬱沢色素


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

6/22

6・現代の魔術師の実力

「競わせるじゃと……?」

「はい!」


 ディルクは息巻き、国王に詰め寄る。


「稀代の魔術師の卵とも言われる天才のボクが、迷宮ダンジョンに潜れないのは不満に思っていました。落ちこぼれのリオもあれほどの自信があるということは、なにか考えがあるのでしょう。

 そこで、ボクとリオが()()対決をするのです。そうすれば、どちらが上かはっきりします」

「なにを言うのだ。リオは魔力を持たない子どもなのじゃぞ? 魔術対決など、そなたが勝つに決まっているではないか」

「ならば、リオには迷宮ダンジョンの許可は出せませんよね? 迷宮ダンジョンでは魔物との戦いも避けられません。なのに魔術が使えなければ、本当に無駄死にするだけです」


 ディルクと国王が言い合っている。


 なるほど……あいつはこれを好機を捉え、迷宮ダンジョンに潜る許可をエルこと、そして俺を叩きのめすために進言したのだろう。


 だが、俺が転生する前のリオは魔力がなく、魔術が使えなかった。

 ゆえにこの対決は実現するはずがなかったが……。


「あ、あのー……」


 少し迷ってから、俺は手を挙げて発言する。


「実は、魔力に覚醒したんです。だから魔術も使えますし、ディルクと魔術対決をしても問題ありません」

「「は?」」


 お互いに声を揃え、ディルクと国王の顔がこちらに向く。


「魔力に覚醒……? それは本当のことであるか?」

「はい。魔力というのはほとんどが先天的なものですが、稀に年齢を重ねてから覚醒することもあります。きっと俺の魔力は眠っていた状態だったのでしょう。魔力覚醒があったからこそ、迷宮ダンジョンに潜る許可を得ようと考えたのです」



 ──少し苦しい言い訳か?



 しかし全く魔術を使えないことにするには、さすがに限界がある。

 だからいずれは魔術を使えることを、告白する必要があった。

 俺の計画ではもう少し後だったが、せっかくディルクがいいことを言ってくれているのだ。

 この好機に乗じたい。


「くくく……まさかあの落ちこぼれが、魔力に覚醒だなんてね!」


 しかし俺の言い訳の真意にも気付かず、ディルクは声のボリュームをさらに大きくする。


「さあ、陛下! これで魔術対決の障害もなくなったはずです! たかが魔力に覚醒したくらいで調子に乗っている弟に、ボクが分からせてあげましょう!」

「……分かった」


 国王がようやく首を縦に振る。


 ……ふう、当初の計画とは違ったが、なんとかなりそうだな。

 問題はこれから先も侮られるために、ギリギリ勝てる程度に手加減をする必要があるということだ。

 上手くいくだろうか?


 ……いや、自信がなくてもやる必要がある。

 それに自らを『稀代の魔術師』と称したくらいだ。

 ディルクもよほどの自信があるのだろう。


 現代の魔術師の力、とくと見させてもらおう。




 ◆ ◆



 その後、俺たちは場所を城内の訓練場に移した。


「……ギャラリーが多いな」


 普段は騎士が使っているためか、訓練場には多数の騎士──野次馬が既にいた。



「おいおい!? ディルク様とリオ様の、魔術対決だってよ!」

「リオ様は魔力がなかったんじゃないのか? それなのに、いきなりどうして……」

「魔力が覚醒したんだってよ」

「どちらにせよ、ディルク様が勝つに決まっている。ディルク様はオークルチア百年に一度の天才魔術師って呼ばれているんだぞ?」



 ギャラリーは好き勝手に、俺たちの勝敗を予想していた。


「怖気付いたか?」


 訓練場を眺める俺に、ディルクがバカにするように問いかける。


「ここにいる者は気付くだろう。やはりディルク様は天才。リオは落ちこぼれだ──っと」

「勝負は時の運です。油断していては、ディルク兄も足元をすくわれますよ?」

「はーはっはっは! 冗談だけは上達したようだな!」


 ディルクが気持ちよさそうに高笑いを上げる。


「うむ、ディルク、リオよ。魔術対決のルールは簡単じゃ。まずは、あそこに置かれているものを見よ」


 そう言って、国王が指し示した先には、人型に形取られたスライムのようなものが置かれていた。


「あれはスライムバッグという魔導具。今からそなたらには、あれに魔術を放ってもらう。スライムバッグには魔術の威力を計測する仕組みがあり、命中すれば0〜999の数値が表示される。数値が上回った者が勝者だ」


 うむ……スライムバッグか。なかなか、面白い魔導具があるものだな。

 二千年前も魔術の大小を計測する魔導具があったが、色が変わったり音が鳴ったりと、正確な数値を表示するものはなかった。

 やはり、この二千年で魔術は進歩したということなのだろう。


「先攻は──」

「ボクだ!」


 俺が言葉を続けるより先に、ディルクが一歩前に出た。


「まずは天才のボクが、魔術の神髄を見せてやろう。すごすぎて戦意喪失するんじゃないぞ?」


 そう言って、ディルクが手をかざす。

 その手を中心として、魔力が高まっていく。


「紅蓮の契約に従い、炎よ槍と成りて敵を穿て! フレイムランス!」


 ……?


 なんだ、今の『紅蓮の契約に〜』という口上は。


 いきなり変なことを叫んだかと思うと、ディルクの周りに十本の炎の矢が出現した。

 それらは発射され、スライムバッグに向かっていく。そのうちの一本がスライムバッグに命中し、数字が表示された。



『37』



「なっ……!」

「ふう、こんなものか」


 ディルクが額の汗を拭うと、周りから歓声が起こった。



「す、すげええええええ!」

「さすがはディルク様だ!」

「齢十二にして、この魔術の威力……命中こそ一本だけだったが、全て命中したらスライムバッグが壊れてたんじゃねえか?」



 みんなは各々、ディルクを褒め称える。


「…………」

「どうした? すごすぎて、言葉を失ってしまったのか? くくく……それも仕方がない。なにせボクの年齢で、これほどの魔術を放てる人間はいないのだからな!」


 俺がなにも言えなくなっていると、ディルクは勝ちを確信したのか、そう口にした。


 だが、事実は逆だ。



 ──よ、弱すぎる……。



 今のは、なんだったんだ?

 たかがフレイムランスの発動に時間をかけすぎだ。しかも、それにしては威力が弱すぎる。たった一本しか当たらなかったのも、魔術の制御が出来ていないからだ。


 もしかして……魔術を放つ前の台詞、あれは詠唱だったのか?


 確かに、魔術回路を正しく組むために、魔術に目覚めたばかりの子どもは詠唱をすることがある。

 だが、二千年前に詠唱魔術は『非効率』なものだと見なされ、無詠唱が主流となったはずだが……?

 初心者ならともかく、自らを天才を語るディルクが詠唱魔術を使うのはおかしい。


「……い、いや、少しビックリしただけです。次は俺の番ですね」


 そう言って、今度は俺がスライムバッグの前に立つ。


 ……ヤバいな。想像以上にディルクがヘボすぎて、手加減がさらに難しくなってしまった。


 ディルクが計測した『37』をギリギリ上回り、かつみんなの目を欺く必要がある。


 そういえば、手加減するのは前世から苦手だった。

 果たして、上手くいくのだろうか……?


 不安になるが、なにもしないままでは国王も満足しない。俺は観念し、いつもより丁寧に魔術回路を組んだ。


「フレイムランス」


 ディルクみたいに数は必要ない。

 たった一本だけで十分だ。


 俺の放ったフレイムランスはスライムバッグに命中し、ディルクの時と同じように数値が表示された。



『40』



 ……ほっ。


 よかった、丁度いい数字になった。


「ボ、ボクが負けただと……っ!?」


 今度はディルクが驚愕する番だ。

 彼はその場で膝を突き、呆然としていた。



「リ、リオ様が勝った!?」

「だが、ディルク様と違って、一本だけしかフレイムランスを錬成していなかったぞ? この場合はどうなるんだ?」

「陛下の話を聞いていなかったのかよ。陛下は数値が上回った方が勝ちだって言ってただろうが」

「むむぅ……フレイムランスの数こそはディルク様が優ったものの、リオ様が勝ったということか」

「ってか、詠唱していないようだったが……声が小さすぎて、聞き取れなかっただけか?」



 ギャラリーの反応も上々。

 フレイムランスを複数出したディルクの方がすごいものの、ルール上は俺の勝利ということで意見がまとまっているようだった。


「リオよ……! まさか、ディルクに勝つとは!」


 そして国王も目を見開く。

 興奮した面持ちで、俺の両肩に手を置いた。


「一ヶ月前に魔力の覚醒に至ったというばかりなのに、よくぞディルクに勝利した! まだまだ発展途上といったところじゃが……ルールはルールじゃ。迷宮ダンジョンに潜る権利を、リオに与えよう!」

「ありがとうございます」


 なんにせよ、当初の目的は達成した。


 ディルクが大したことなかったのは、気になるが……王子ということもあって、周りはよいしょしているだけなのか?


 ともあれ疑問を残しつつ、無事に迷宮ダンジョンに挑めることになったのであった。




 ◆ ◆



 ──訓練場に人がいなくなった後。


「退屈しのぎにしては、満足出来たね」


 そこに護衛の騎士を連れて、ある男が残されたスライムバッグを見つめていた。


「はい。リオ殿下が勝つとは思っていませんでした。あなたはこの結末を予想していたのですか? ──エルヴィン様」

「まさか」


 と、男──エルヴィンは肩をすくめる。


 エルヴィンはオークルチアの第二王子。

 気まぐれで、物陰からリオとディルクの魔術対決を観戦していたのだ。


「まあでも、フレイムランスの数はディルクが優っていた。リオの魔術もたまたまだろう。もう一度やれば、今度はディルクが勝つはずで──」


 そう言葉を続けようとすると、エルヴィンは信じられないものを目にする。

 魔術対決に使われたスライムバッグが、突如燃え盛ったからだ。


「殿下!」


 すぐさま護衛の騎士が、エルヴィンを守るように立つ。

 だが、程なくしてその火も消え、スライムバッグは塵すら残さずに焼失した。


「一体なにが……さっきの魔術の影響か? だが、スライムバッグは頑丈に出来ている。たかが40前後の数字で、こうして燃えてなくなることはないはずだが……」


 そこでエルヴィンは気が付く。


「ま、まさか! ()()()()していたというのか!?」


 一般には知られていないが、このスライムバッグには不具合がある。

 それは999を超えた場合、そこで数字が止まるのではなく、もう一度0に戻って計測し直されるのだ。


 もっとも、999──カンストする魔力を放てる魔術師など、片手で数えられるほど。

 ゆえにほとんどの人が知らない不具合であった。


「耐久値を大きく上回った場合、スライムバッグが少し遅れて焼失や破裂するという報告もある。ディルクはそこまでの魔術を放てないし、残るは……」


 エルヴィンはまだ九歳の、いたいけな第八王子の顔を思い浮かべる。


「ふふふっ、面白くなってきたね」

【作者からのお願い】

「更新がんばれ!」「続きも読む!」と思ってくださったら、

下記にある広告下の【☆☆☆☆☆】で評価していただけますと、執筆の励みになります!

よろしくお願いいたします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ