14・俺は俺の正義(笑)を貫く
「あんたが……?」
俺の言ったことに、レイラは眉を顰める。
「ああ」
それに対して、俺は頷く。
「話をちゃんと聞いてた? 相手は極悪非道で、自警団や冒険者ですら手を焼いているような連中なのよ? しかも頭は孤星魔術師で──」
「だが、それを聞いてしまっては、見過ごせない」
俺はすらすらと続ける。
「レイラの心意気に感動したんだ。正義を尊ぶその姿勢に──な。俺も正義になによりも重きを置いている。俺にも、自らの正義を貫かせてくれ」
「ダメよ、危険すぎる。話し合いでどうにかなる連中じゃないのよ? 絶対に戦いが起こる」
「先ほどのことを忘れたのか? 俺は魔術が使える。戦いでも足を引っ張らないはずだ。足手纏いでなければ、戦力はいくらあっても困らないだろう?」
「……ちょっと待って」
と、レイラは背中を向け、ぶつぶつと呟き出す。
「……確かに、私一人だけじゃ心許ないわね。ここで魔術師が味方になってくれるのは助かる。幻覚魔術を使いこなすなんて、リルクはきっとすごい魔術師なはず。万が一があったら、あの魔導具を使って、リルクを逃せばいいだけだし……」
「考えはまとまったか?」
痺れを切らして、俺はレイラに問いかける。
すると彼女は振り返って。
「分かったわ。私に力を貸してちょうだい」
「懸命な判断だ」
ニヤリと口角を吊り上げ、俺は頷く。
「だ・け・ど! これだけは約束して。ちょっとでも私が危ないと思ったら、すぐに計画は中断! 残念だけど、また次の機会を伺う……って」
「もちろんだ。それに、レイラには絶対に損はさせんよ。たかがゴロツキ相手に、俺が後れを取るはずがない」
「……あんた、ほんとに子ども?」
じーっと俺を真っ直ぐ見つめるレイラ。
だが、すぐに首を左右に振って。
「じゃあ、すぐに行くわよ。こうしている間に、影狼の爪の連中が逃げちゃったら、また探すのに時間を食うからね」
「ああ」
頷くと、レイラが歩きだした。
俺は彼女の後を、付かず離れずの位置で追いかけていく。
「……お主、なにを考えておる?」
すると、フードの内側から使い魔のネリスが顔だけをひょっこと出して、小声で問いかけてくる。
「なにを……というのは?」
「正義に重きを置くなど、お主には似合わぬ言葉じゃろ。お主からは最も程遠い言葉じゃ」
人聞きが悪いな。
しかし、ネリスの言っていることも強ち間違いではない。
「影狼の爪を潰したいというのは本音だ。レイラのことも気に入ったしな。だが……俺が最も気になったのは、ラグナスだとかいう男だ」
レイラの話によると、影狼の爪のボスであるラグナスは、元孤星魔術師だったらしい。
こういった仕組みは二千年前にはなかった。しかし、わざわざ優れた魔術師を讃えるために作られた称号だ。きっと、その選定は確かなはず。
それに二千年前の宮廷魔導士は、俺から見ても化け物揃いだった。
今の時代も同じかは分からないが、そこに所属していたラグナスはよっぽど優秀な魔術師だったのだろう。
「ディルクには期待はずれだった。だが、ラグナスなら? そいつを前にしたら、この時代の魔術レベルが分かるかもしれない」
ディルクがたまたまたしょぼかっただけで、本当はこの世界の魔術師も二千年前に引けを取らないものかもしれない。
なんなら、それ以上であることも十分考えられる。
それを確かめる絶好の機会、俺がわざわざ見過ごすわけにはいかない。
「そうじゃったか。まあ……お主のことじゃから、そんなところじゃろうと思っていたがな」
と、ネリスは溜め息を吐く。
「人間で、リオに勝てる魔術師がいるとは思えんが……気を抜くなよ。お主は二千年前から、魔術や戦いを楽しみすぎて油断する傾向がある」
「お前に言われなくても、分かっている」
ネリスとの話に集中していると、予想以上にレイラと距離が空いてしまった。
彼女がそのことに気付き、「リルク、そこでなにしてんのよー?」と足を止めて手を振ってくる。
俺は再びネリスに「あまり喋るな」と釘を刺してから、レイラの元へ駆けていった。
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