表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
落ちこぼれ王子に転生した魔術師は、二度目の人生でも魔術を極める 〜チートすぎる魔力と前世の知識で、世界最強に至る〜  作者: 鬱沢色素


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

12/22

12・暴漢から女の子を助ける

「ん……なんだ?」


 気になり路地裏の方へ進んでいくと、そこでは何人かの男が【一人の女】を囲っている光景が目に入った。


 俺は物陰に隠れて、まずは事の一部始終を観察する。



「へっへっへ、お前さんみたいな可愛いヤツが王都を歩き回ってたら、襲ってくれと言ってるようなもんだぜ」

「王都にはなんでもあるが、オレらみたいな連中もいるからな〜。お嬢ちゃんには物騒だぜ」

「悪いことは言わねえ。さっさと財布を出しな。もっとも……出したところで、無事に済むとは保証しねけどな?」



 ……なるほど。どうやら、一人の女に寄ってかかって暴力を働こうとしているらしい。

 華々しい街並みに騙されそうになるが、裏ではこういう行為も行われていたか。バカなヤツは、どの時代にもいるものだ。



 一方──女の方は取り乱したりせず、男たちを睨みつけていた。



 黒を基調とした服装に身を包む女だ。

 その顔つきは整っており、思わず目を奪われてしまう。男たちを見つめる冷たい目つきも美しく、勝気な印象も受ける女だった。


「バカね」


 女は怯えるどころか、男たちに毅然として言い放つ。


「己の実力も分からずに、私に喧嘩を売ったのかしら」

「なんだと?」


 彼女の物言いに、男たちの顔つきも厳しくなる。


「て、てめえ、オレらが誰だか分かってんのか? オレらは泣く子も黙る『影狼えいろうの爪』だぞ!」

()()()知ってるわよ。そしてあんたらは、『影狼の爪』の名を盾にして、調子に乗ってるバカ。そんなに頭が悪いんだから、あんたたちは致命的なミスを犯したのよ」

「致命的なミス……? 訳が分からねえな。だったら、どういうことか教えてもらおうか」


 男の一人がポキポキと拳を鳴らし、女に近付く。


 ……これ以上は見るに堪えんな。


「ネリス、ここからはあまり喋るなよ。俺の気が散るし、気付かれたら面倒だ」

「それはいいが……もしや、助けにいくつもりか?」

「当然だ」


 ここで俺が助けにいって、いいことはない。王子だと気付かれるリスクの方が大きいだろう。



 だが──だからといって、この状況を見過ごすわけにはいかなかった。



 ああいう輩は、前世から大嫌いだったのだ。

 俺に冤罪をかけてきた人間どもの顔を嫌でも思い出してしまう。


「おい」


 俺は意を決して、姿を現した。

 

「なんだ、この子どもは?」


 その場にいる者たちの顔が一斉に俺の方を向く。


「か弱い女に寄ってかかって、酷いじゃないか。彼女を解放しろ」


 告げると、少し間が空いてから、男どもが腹を抱えて笑い出した。


「はっはっは! 子どもがなに言ってやがる! 英雄ヒーローごっこでしゅか?」

「痛い目見たくなかったら、ガキはどっかに行ってな」


 ……ダメだ。予想していたが、この姿のままだと大した威圧にもならないらしいな。


 犯行の目撃者がいたら逃げてくれると期待して言ってみたが、このままでは埒が開かない。


 こうなったら武力制圧だな。

 俺は魔術回路を組むと──。


「そいつらの言う通りよ。私のことを助けてくれようとしてくれるのは嬉しいけど、いらない心配だわ」


 その女だけは俺を子ども扱いせず、こう続ける。


「もうちょっと、喋らせてからにするつもりだったけど……気が変わった。その子に被害が出ちゃうかもしれないしね」

「おい、てめえはさっきからなにを……」

「まだ分からないのかしら? だったら教えてあげる」


 彼女はその場で屈み、




「あんたらより、私の方が強いって言ってんのよ」




 ──男の一人に蹴りをヒットさせた。


「な、なんだ!?」

「動きが見えなかったぞ!」

「やっちまうぞ! あとで楽しみたいから、顔にだけは傷を付けるなよ!」


 それを皮切りに、他の男どもは女に襲いかかる。




 ──そこからは、一方的な戦いであった。




 蝶のように舞い蜂のように刺す、と言うべきだろうか。

 当初か弱いと思っていた彼女は、華麗な動きで次々と男どもを倒していく。

 まるで子どもと大人の戦いだ。


「ほお……! あいつ、面白いな!」


 見たことのない女の戦いっぷりに、俺も思わず感嘆の声を漏らしてしまう。


 彼女の動きは……なんだろうか? ただの人間に出せる動きではない。メイドのヴェロニカの戦いを目にした時と同じ印象を抱くが、彼女とは少し違っている気がする。


 身体強化魔術を使っているのか? いや、彼女からは魔力を感じない。別の方法で、飛躍的に身体能力を向上させているのだ。


 やがてあっという間に男たちは地面に倒れ、残すところもあと一人になっていた。


「ち、近付くんじゃねえ!」


 しかし、その瞬間。

 最後の一人が動き、俺の背後に回り込む。そして俺の顎元にナイフを当ててきた。


「こ、こいつがどうなってもいいのか!? それ以上近付くと、このガキをやっちまうぞ!」

「ちっ……外道が」


 女の表情が嫌悪で歪む。


 うむ、外道というのも俺と同じ感想だ。子どもを人質にして取引を持ちかけるなど、クズのやることだ。


 だが、相手が悪かったな。


「なあ、おっさん」


 俺は前を向いたまま、男にこう話しかける。


「お前は()()()ことはあるか?」

「なん……だと?」

「俺はある。お前以上の悪意に晒され、殺された経験がな。一度は経験してみるのもいいもんだぞ。人間の醜悪さを知ることが出来る。だからお前に──」


 俺はそっと手をかざして、魔術を発動する。




「死の恐怖を教えてやろう」




 次の瞬間だった。


「う、うわああああああ! や、やめろおおおおお!」


 男は俺から離れ、突如悲鳴を上げだした。


「な、なんだ、この化け物は……っ! ただの子どもじゃなかったのか!? 子どもの皮を被った悪魔じゃねえか! や、やめてくれええええ──!」


 そのまま断末魔を響かせ、男はそのまま地面に倒れ込む。

 顔は白目をいており、口からは泡を吹いていた。


「え……? 今のはなに?」

「幻覚魔術だ」


 状況が分かっていない彼女に、俺はそう告げる。


 こんなクズ、殺してしまってもよかったが、それでは足がつく。

 そこで俺は彼に、自分が殺される幻覚を魔術で見せた。男の中では俺が化け物の姿となり、彼を丸呑みする光景が見えていたはずだ。


「お前は優しい人間だ。見ず知らずの子どもを人質に取られて、躊躇する。だから余計な真似だと思ったが、こちらで処理させてもらった」

「あ、あんたみたいな子どもが魔術を使えるなんて……一体──」


 彼女は俺を見て、呆然と立ち尽くしていた。

【作者からのお願い】

「更新がんばれ!」「続きも読む!」と思ってくださったら、

下記にある広告下の【☆☆☆☆☆】で評価していただけますと、執筆の励みになります!

よろしくお願いいたします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ