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落ちこぼれ王子に転生した魔術師は、二度目の人生でも魔術を極める 〜チートすぎる魔力と前世の知識で、世界最強に至る〜  作者: 鬱沢色素


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11/22

11・二千年後の城下町

「おお! ここが城下町か!」


 俺は新しく使い魔になったネリスを連れて、城下町に来ていた。


「ほお……ダンジョンの外はただの田舎村じゃったと思っていたが、たった二千年でここまで発展しおったのか。このように文明を発展させることに関しては、悪魔以上じゃな」


 フードの内側で、ネリスが俺にだけ聞こえるくらいの声量で囁く。


 現在──俺は裾が長いローブを羽織っている。

 さらにフードを深く被って目元を隠しているので、他人が俺の人相を把握するのも近付かないと難しい。


 王子だと気付かれると、面倒なことが起こるかもしれない。

 落ちこぼれの第八王子の顔など、民衆は覚えていないと思うが、念のための処置だった。


 そしてネリスは、同じような理由で俺のフードの内側に身を隠している。

 これも精神体だからこそ為せる技だ。形が不安定なので、どんなに狭い場所にも入り込むことが出来る。

 熊のぬいぐるみのような格好は、『それが一番楽』というだけで、煙のような姿に変化して顔だけをひょこっと出すことが出来る。


 とはいえ、フードの内側に入られるのは、もぞもぞして落ち着かないんだがな。

 ネリスの姿を見られるわけにもいかないし、今は我慢するしかない。


「おい、見てみろよ。魔導具の出店だ」


 ネリスの言った俺の声も、雑踏の騒ぎに紛れて掻き消される。

 俺は出店の前に立ち、魔導具を物色しだした。


「見ろよ、これ!」


 その中の一つを手に取り、俺は声を上げる。


「誰でも遠くの人と会話出来る魔導具だぞ! それにこれは……短距離の転移魔術が施されているのか? この仕組みを動かすと、任意の相手を遠くに飛ばすことが出来る。解析のために一つ持っておきたいが、高いな……」

「目の色が変わったな」


 苦笑するネリス。


「もしやお主、魔術文明衰退の謎を調査するとか言って、本当の目的は楽しみたかっただけじゃないか?」

「まあ、それも否めない」


 一朝一夕で謎が解明出来ると思うほど、俺も楽観主義ではない。

 ならば、この二千年で発展した城下町を眺める。

 せっかく転生したんだ。楽しまなければ損である。


「気持ちは分かるがな──じゃが、そんなに気になるなら買えばいいではないか。一応、王子じゃろ?」

「無断で外出しているんだ。そもそも、そんな()()()()も俺には渡されていない」


 肩をすくめる。


 無断で外出したことがバレると、のちのち厄介なことになる。そう考えた俺は、城内の自室には魔術で作った()の分身体を置いている。

 その分身体は、ある程度は自律して動くことも出来る代物だ。


 とはいえ、他人の目を欺くような分身体を作るには大量の魔力が必要となるし、見る人が見ればさすがにバレる。

 ゆえにここぞという時にしか使わないつもりだったが……まさか、もう出番がくるとはな。


「難儀じゃなあ。〈死神〉も金には勝てんということか」

「さっきから気になっていたが……〈死神〉というのはやめろ。その異名は気に入っていないんだ」

「〈死神〉は〈死神〉じゃ。もっとも、今のお主はいたいけな子どもだから、いまいち似合っていないというのも否めないが」

「だったら尚更、ちゃんとした名前で呼べ」

「ちっ……分かったのじゃ、リオ」


 ネリスはまだ不服そうだったが、俺と彼女の間には服従の契約魔術が結ばれている。

 彼女は渋々、『リオ』と俺の名前を呼んだ。


「そんなことより、リオ──あちらの方から良い匂いがせぬか?」

「ん?」


 ネリスに促され匂いのする方に顔を向けると、肉串が売られている出店を見つけた。


「そうだな。腹は減ったが、金はなるべく使いたくないし──」

「おっ? そこの坊や、これを食べたいのかい?」


 悩んでいると、肉串の出店の店員が気付き、俺に声をかけてくる。


「は、はいっ」


 頭の中のスイッチを切り替えて、口調を変えて答える。


「だったら、サービスだ。食べな。オレだって、腹を空かせている子どもから金を取るほど、悪魔じゃねえよ」


 そう言って、店員は肉串を手渡してくる。


 一瞬躊躇したが、断るのも失礼だろう。俺は礼を言って、肉串を口をつけた。


「旨い!」


 思わず、声を大にしてしまった。


 一噛みすると、口の中が肉汁で満たされる。ガツンとした肉の旨みが体全体に染み渡り、活力が湧いてくるようだった。


「ふっふっふ、そうだろ?」


 俺の反応を見て、店員も頬を綻ばせる。


「よかったら、他の人にも宣伝してやってくれ。旨い肉串が城下町にあった……って」

「うん! ありがとう!」


 満面での笑みでそう言って、俺はその出店から離れた。


「くくく……なんじゃ、今のは? かわいこぶりおって。お主からそんな声が出てくるとは思っていなかったぞ」

「うるさい」


 ネリスが茶化してくるので、ついむっとして言い返してしまう。


 忘れそうになるが、今の俺は九歳の子どもだ。

 城内なら王子だと分かられているからいいものの、さすがに城下町でいつもの態度を貫けない。


 とはいえ、意識的に子どもの言動を心がけるのはむず痒く、複雑な心境になっていると……。




「──おい、抵抗するなよ。さっさと有金全部出しやがれ」




 人気ひとけがない路地裏。

 その奥から、男の威圧するような声が聞こえてきた。

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