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ぬばたまの夢 闇夜の忍~暫く全力のごっこ遊びかよって勘違いからはじまった異世界暮らしは、思ってたのと大分違う。(もふもふを除く)~  作者:


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98.セクシー美人

この状況では寝られないのだろう燐の胸の内が移ったのか、居心地が悪いと佐助は上掛けを剥いで体を起こした。


「じゃあさ、今から才蔵と相談するから…取り敢えずここじゃない宿、探す?」


「夜っぽいし今から宿って難しいよね?…水戸黄門だったら使ってないお堂とかで野宿してたけど、そういう事?」


佐助の提案に、出来ればそうしたいが可能なのかと問えば、部屋の明かりをつけ自分の布団の上に座っていた佐助は肩を竦めた。


「まぁ、そうなるかも」


みとこうもんってのは、多分燐ちゃんが言っていた、じだいげきってので、その知識で話す事柄はたまに正しい。


今時分開いてる宿なんざねぇけど、時間は掛かるが少し戻って我が主やその同盟国の本陣へ行けば安全に寝泊まり出来る。


此処じゃ俺が気まずい、物凄い嫌だ


仕事の上で他人の情事等、飽きる程見て来たが今までこんな思いはした事が無かった。


佐助は隣に居る女に手を出そうという気も起らず、只管気まずい状況に小さく溜息を洩らした。


「おんやまぁ、お楽しみかと思ったんだがねぇ」


聞き覚えのある声に佐助は思い切り顔を顰めた。燐は突然降ってきた声に、布団の端をぎゅっと握る。


佐助は人選が思い切り間違っているとコレを寄越した誰かを恨んだ。


≪何だってお前が来たんだよ?≫


「何だい?文句をお言いで無いよ。アタシだってねぇこんな越後くんだりまで来たくて来たわけじゃぁ無いさね」


一方的に響く声。知り合い?と天の声を探るべく天井の方を見上げて見た燐は、すいと影が落ちたような気がしてその場を見詰めた。


「嫌だあねぇ。アタシが必死な思いして駆けて来たってぇのにさぁ」


声と共に急に現れた、セクシー衣装の背中。燐は誰?と思いながら佐助の隣に現れた綺麗な背中を見詰めた。


え?あれキャッツアイ?背中、結構見えちゃってるけど大丈夫なの?


燐の駄々洩れな胸の内。佐助はこういう子だったと溜息を洩らし、同じく燐の思いが伝わった鎌之助は燐の方を肩越しに振り向いた。


「何だい?アンタ、長の連れかと思ったけんどアタシの肌に興味があんのかい?」


肩越しに振り向くとふわりと髪が靡く。もう絶対キャッツアイじゃん!と燐は頬を染めつつガン見して悪かったなと視線を逸らした。


「あ、ガン見しちゃってすみません。まさかなんちゃって時代劇の世界でキャッツアイに出会えると思わなくて」


「…何言ってんだろぉねぇ?長の連れにしちゃぁ…女の好みが変わったのかい?」


呆れた顔で自分を見るセクシー美人に、自分でも何言ってんのか分かんないですと燐は眉を下げた。


「それ位で。用があって来たんだろ?さっさと報告」


佐助は溜息を洩らしながら来たなら何かあるんだろと鎌之助を見た。鎌之助は書状を二通懐から出す。


≪やっぱ知らぬ振りで越後を抜けるのは無理って事ね≫


宛名を見た佐助は大きく溜息を洩らす。鎌之助は女一人運ぶのに随分と大がかりだと何故か楽しそうな女を見た。


佐助は鎌之助に一通戻すと一通を懐にしまう。鎌之助は嫌そうに宛名を見て佐助の顔を見た。


≪アタシャ苦手なんだけんどねぇ≫


≪得意な奴なんざ居ないっての≫


佐助の言葉に佐助に向き直ったセクシー美人。暫く見詰め合う2人とBGMの様な喘ぎ声に、今物凄くお邪魔なんじゃと燐は何となく起き上がった。


「おんや、何処にお行きだい?」


此方を見ていなかった筈のセクシー美人の声。燐はチラと気まずそうに佐助を見た。


「…あのさぁ。毎度毎度、そうやって。何処行く積り?燐ちゃん」


また分かりやすい勘違いをして、良く分からない行動を取る燐に佐助は苛立ちながら顔を顰めた。


「や、なんかお邪魔かなって。えっと、押入れにでも居るので遠慮なくどうぞ」


もうこの際、佐助達の声が増えた所でどうって事無いと燐は佐助に告げた。


あのチャラさとヒモ素質なら彼女だってそりゃいるよね。と思った燐は、死んだと思ってた彼氏が生きてると分かったら、走って会いに来るのは当然と布団を引き摺りつつ会話を思い出す。


「押入れなんて入んなくて良いから。コイツはアンタの会いたがってた鎌之助」


「え?!」


溜息交じりに佐助が鎌之助を紹介すると、驚いた声で鎌之助を見る燐。どういった状況か分からない鎌之助は交互に佐助と燐を見る。


「なんだいアタシをお探しかい?」


鎌之助は燐の方へ寄ると、燐の側に屈んで目を細める。急接近して来たセクシー美人に、燐は鎌之助って名前なのに女の人?と色気駄々洩れの美人を見た。


「商売女にしちゃあ…」


無遠慮にクイと顎先を指で押し上げて来たセクシー美人に燐はちょっとドキドキした。


長と閨を共にしていた女。商売女にしては化粧っ気も色気も無いと見ていれば、物凄い殺気に振り返る。


≪見たら分かんだろ?勝手に触んな≫


「探してなんざ居ないっての。ほら、さっさと行く!」


「あいよ」


久々に毛が逆立つ程の殺気だったと屋根の上に出た鎌之助は楽しそうに口角を上げると、久し振りに愉しくなりそうだと闇夜に姿を消した。

鎌之助さんの外見イメージは短編の後書きにあります。

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