表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ぬばたまの夢 闇夜の忍~暫く全力のごっこ遊びかよって勘違いからはじまった異世界暮らしは、思ってたのと大分違う。(もふもふを除く)~  作者:


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

86/251

95.異世界3日目。

佐助に連れられ暫く歩き、立派な門構えにビビりながら佐助に促されるまま部屋まで辿り着いた燐は、お風呂だと浮かれるも案内された場所で戸惑っていた。


「…サウナ?」


確か風呂敷を差し出した佐助はお風呂と言っていた筈。だが浴槽が無い。燐は使い方が良く分からず、そっと戸を閉めた。


「何か…」


「あ、ええっと…部屋に戻ろうかと思いまして」


「左様にございますか」


訝し気に燐の様子を見ていた案内の女性は、部屋に戻ると言われ、歩いて来た廊下を再び先に戻る。


「あ、ただいま」


お連れ様がお戻りですと声を掛けられた佐助は許可するように短く声を出し、燐の顔が見えると首を傾げた。


気まずそうに部屋に入って来た燐は、襖が閉まるのを見届けると佐助の近くに座り直す。佐助は如何したのかと燐を見た。


「あのさ、お風呂が全然違くて。入り方も分かんないし…で帰って来たんだけど、色々教えて貰って良いですかね?」


頷く佐助を確認した燐は、何かメモる物が無いかと鞄を開ける。車の鍵、財布、スマホ、ティッシュ、ペン。その位しか入っていない。メモ帳なんて使わないもんねと溜息をつく。


「ええっと、何か欲しいもんがあるなら言ってみたら?」


漂う悲壮感に佐助は手伝える事ならと問い掛けた。


「あ、紙。佐助から聞いた事、忘れない様に書いておきたくて」


そう答えつつも、多分出されるのは障子紙っぽい奴なんだろうなと燐は何度目かの時代劇を思い出した。


「ならこれ使う?」


「メモ帳!あるんだ!」


佐助が懐から取り出したのは、A6のノート型。頬を染め前のめりに声を発する燐。自分の見知った物がある事がどれ程嬉しい事か経験済の佐助は燐の心情に眉を下げた。


「才蔵が、あの店で見付けて渡して来たやつ」


滲まず、破れにくいと才蔵が絶賛し帳面として使用出来る物と渡された事を付け足すと燐は視線を落とした。


「あ、じゃ佐助、使うよね」


全身で喜びを表してた燐ちゃんは帳面を差し出す。忍に遠慮なんて要らねえのに


「才蔵と違って、俺はなんも持たねぇ主義なの。って事でアンタが使ってよ」


柔く押し返せば、綻ぶ顔。そんな顔して貰えんなら、あの建物からもっと色々持ってくりゃ良かった


「じゃありがたく、使わせていただきます」


燐は表紙をめくると最初に日付と異世界3日目。と書いた。


「で、聞きたい事って何?」


燐の手が止まった事を確認し問い掛けると、顔を上げた燐は暫く考えるように目を伏せた。


「まずお風呂の使い方。それから、着物の着方もだし…。とりあえず今はその2つ」


一先ずはこの宿に居る間不審に思われない様な振る舞いを心掛けたいと燐は佐助を見た。


「でさ、私の知ってる事が同じなのか違うのか、知りたいです」


燐はどこまで話して良いんだろうと思いつつも、答え合わせの様に佐助から話を聞いて照らし合わせる方式なら余計な事を言わなくて済むんじゃと佐助を見た。


「そんじゃ、俺があっちで困った事を先に教えれば良いんじゃない?」


何を知っていて何を知らないのか。心中を探れば不用意な事を言わない方が良いのかと困惑が見える。ならばと提案すれば、燐は安堵の息を吐く。


まぁそんな顔になるよなぁ。俺等も相当戸惑ったし


佐助は衣服の説明から始め、燐の質問に丁寧に答えていった。


「お風呂、無いのか…」


この世界の風呂はさっき見たようなサウナ。書き留めた物の他に聞きたい事は無いかと読み返した燐は、結構ショックな事実を呟いた。


「燐ちゃんの世みたいなもんは、無いかな」


「…そっかぁ。水戸黄門だとお銀姉さんの入浴シーンがあったんだけどなぁ」


結構お湯に浸かってたよね?お銀姉さん。燐は参考にならないな時代劇と顔を顰める。


「湯ならあるよ。あんな立派な感じじゃないけどさ、湧き湯って言って、山に」


ちょいちょい出て来る水戸黄門に疑問を感じつつ、佐助は燐の喜ぶ事実を先に教えようと温泉の事を告げた。


「湧き湯、温泉?あるの?!」


再び前のめりに問い掛けて来る燐に佐助は微笑むと頷いた。国に戻った後でなら容易に連れて行けると言えば燐は嬉しそうに頬を染める。


「それ物凄く嬉しい!」


温泉はあったんだ!燐は知ってる物があった事が嬉しくて満面の笑みを浮かべた。


「後は追々って事で良い?」


微笑む姿に自分もつられて笑っていた事に気付いた佐助は、自分の行動に戸惑う。


大きく頷いた燐に佐助は側にあった着物を羽織らせると、燐から離れ襖側に寄る。


「?」


急にかけられた着物と、佐助の行動に首を傾げるも何かあるのかと黙っていると佐助が立ち上がった。


「多分飯の時間かな?…部屋に運んで貰う事にしといたから」


佐助はそう言いながらさり気なく燐が出していた鍵等をバッグにしまうと、風呂敷で隠すように部屋の隅に置いた。程なくして声が掛かる。


「…なんか、こういうご飯なんだね」


何となく見た事ある。そう、水戸黄門で。燐はお膳を見ながらここは時代劇に忠実なのかと思わず呟いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ