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ぬばたまの夢 闇夜の忍~暫く全力のごっこ遊びかよって勘違いからはじまった異世界暮らしは、思ってたのと大分違う。(もふもふを除く)~  作者:


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74.前触れ

暫くコンビニの中を回ると言われた燐は、籠の中身を密かに持っていかれた事に顔を顰めたが「才蔵に確認してから」と言われると、それもそうかと納得した。


暫くすると才蔵が車から降りて来る。燐は才蔵が車外に出たのを確認し、スライドドアを閉め鍵をかけた。


「もしもし、あのさ」


燐は一旦籠を戻し、店外に出ると電話をかけた。


「何よ、今どこ?海外にでも行ったの?」


電話に出た友達は電話が繋がらないから海外にでも行ったのかと問い掛けて来た。


「え、日本だよ。山のキャンプ場。…で、あのさ、私の運転って荒い?」


繋がらなかったのは普通に電波の問題だったと告げると友達は興味無さそうに「そ」と答えた。燐は本題を告げようと一つ呼吸をする。


「えー?何よ急に。荒くは無いんじゃない?私車酔いしやすいけど酔った事無いし」


「え、そうなの?知らなかった」


「知らなかったってので実証されたじゃないの。燐の運転は丁寧よ」


高校時代からの付き合いなのに知らなかったと燐が言うと電話の向こうから返ってきた言葉に密かに安堵した。


急に電話をかけて来て運転が荒いか聞いてきた友人。何の意図があるのだろうと思ったが、会社を辞めて鬱々していた友人の声が普通に戻っていた事に安堵していた。


「あっそ。戻って来て暇だったら声掛けて頂戴ね?」


何となく心配されている事が感じられる口調に燐は笑みを浮かべ、分かったと言って電話を切った。


ふと顔を上げた佐助は、柔らかい笑みで板を耳元に話す姿を眺めていた。


「おかえり」


暫く空を見ていた燐が店内に入って来ると、佐助は燐に声を掛けた。燐は佐助の籠の中身を見ると首を傾げる。


「…買うの?」


「あ、うん。何か気になったからさ」


佐助の籠には纏まりが無いお菓子や総菜パン等が沢山入っていた。そして何故か外履きのスリッパや靴下と言った日用品も入っている。


「これ、必要なの?コンビニじゃない場所で買った方が安いと思うんだけど」


燐の言葉に佐助は籠の中を見ると再び燐の顔を見た。


「値段良く分かんないんだよね。他の店で安いんなら、そうしよっかな…どれか教えてくれる?」


何処のセレブだと思うも、学生の弟が何も考えずコンビニ利用してたなと思い出すと、佐助の籠の中から衣服を取り除いた。


「服は確実にコンビニ以外の方が安いよ?」


「そうなんだ」


他の店。きっと才蔵なら知っているだろうと思うと佐助は燐と別れた後向かう場所はその店だなと商品を戻しながら考えていた。


フラッシュの様に一瞬店内が光る。地図のプリントアウト中で複合機の前に居た燐は、こんな眩しくなる?と思いつつ、眩しさに目を細めた。


≪長≫


それぞれ商品を見ていた二人は強い光を浴び、異変に顔を上げ、平然としている燐と周りの状況を瞬時に確認した。


≪あの光は普通の事みたいだぜ?≫


山から一斉に鳴き声と共に鳥が飛び立ったのか、山の方の空が真っ黒に見えた。すると今度は近くの木々からも一斉に鳥が飛び立つ。


≪山で何かあった?≫「燐ちゃん、何か鳥が凄いんだけど」


眩しい光に動じていない燐の様子に佐助は燐に近付き、外を見るよう仕向けた。燐は、鳥達によって作られた部分的な黒い空をガラス越しに見ると眉を下げる。


「何だろ…何か怖いね」


≪鳥は此方でも警戒する事みたい≫


1人じゃなくて良かったと燐はぽそりと呟いた。燐の態度に佐助は才蔵を見る。


≪分かる?≫


≪遠すぎて分らぬ≫


異変が無ければあんな風に鳥が一斉に飛び立つ事等無い。佐助と才蔵は警戒を解かない様にしつつ周りを伺う。考えられる事は、この後に地が揺れる事だったがそれも起こらない。何があるのか。


「あ、のさ?」


遠慮がちな声に燐を見る。すると燐は言い辛そうに眉を下げつつ自分達を見上げて来た。


「もしかしたら、そのうち地震来るかもしれないからさ、車に戻ろう?」


「何故そう思うのですか?」


不安気な声で何かが来ると言う燐。才蔵が根拠を問うと、燐は結構前に遭遇した事があると言った。大きな地震が来る前。やっぱり鳥が一斉に飛んでいた。しかも色んな方向から。


思い出した燐は才蔵と佐助を促すと、取り敢えず商品が入ったままの籠をその場に置き「ごめん」と思いつつコンビニを出た。


「棚から商品崩れて来たりさ、ガラス割れたり危ないから。暫く何も無かったら買って帰ろ?」


車に戻った燐は2人にそう言うと急いで車をコンビニの裏、ガラスが無い方へと移動させた。そして近くに川や海が無いかを念の為とナビで確認する。


「何してんの?」


燐の真剣な様子に暫く見守っていた2人。燐がほぅと小さく息を吐くと、佐助は燐に問い掛けた。


「あ、近くに海とか大きい川とかあるとさ水溢れるかもしれないから確認」


燐の言葉に才蔵は自然災害は同じように起こるのだなと思い、佐助は状況判断の良さに感心した。

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