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ぬばたまの夢 闇夜の忍~暫く全力のごっこ遊びかよって勘違いからはじまった異世界暮らしは、思ってたのと大分違う。(もふもふを除く)~  作者:


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78.現実逃避が必要

何にも怯えないコンビニ強奪を終えた燐は、ほぼ何も無い棚に、そんなに車に入ったの?と思いつつも深く考えない事にした。


佐助の言う通りなら、車よりも速く走れる忍が居る。目の前に。なら無限収納ポケットや巾着があっても変じゃないもんね?


佐助に促され車に乗る。走って行く気満々の2人を横目にいつも通りに安全ボタンを押してフットブレーキを解除した。


「…ねぇ本当に走ってくの?」


「一緒に乗ってくより、俺か才蔵が先に走った方が道も分かりやすいだろ?」


平然と返して来た佐助の言葉に、燐は小さく息を吐くとそんなに言うならとエンジンをかけた。


「悪路、やだなぁ。まぁ出しても20キロ位だから擦ったりしないだろうけど」


荷物が乗せやすい、たまに祖父母を乗せるのにスライドドアで車種を決めた燐は、こんな事になるなら本格SUVにすれば良かったと若干後悔しつつ車を走らせた。


一人になった車内。燐は意外と速い才蔵の後姿を見ながら自然と浮かぶ物事に眉尻を下げる。


考えないように運転に集中していても、ずっと同じ事が脳内で繰り返されていた。


燐は自動運転補助、地形に森を選択する。これでじっくり考えても、ぶつかる心配は無いと気になる事を片付ける事にした。


「はい、先ずここはどこなのかですが」


一人芝居開始である。本人は芝居をしている積りはなく、ただ声に出した方が考えやすいと思っているだけなのだが。


「駄目だ。もう分かんない」


お代1にして既に終了と顔を顰めた。先程の佐助の話をどこまで信じて良いのだろうかと溜息が漏れる。


「せめて夢にときめく10代だったら…無し寄りの有り」


青い耳の無いロボット。赤い鼻押したら自分の代わりに動いてくれる人形が欲しかった10代。


汽車で宇宙とか、海賊船で夜空横断とか。全くの異世界に思いを馳せた事もある。


「佐助の言ってた事が本当だったとして、って…この時点でもう信じてないって事か」


何気なく口にした言葉に、もう既に答えは決まっていたのだと苦笑する。信用出来ない。それが燐の答えだった。


実際目で見た事実を受け止めなければならない事は分かる。木々が密集しているわけでは無く比較的走りやすい森。


現在時速30キロ。だが前を走る才蔵は速度を落とすことなく一定の距離を取りながら走り続けている。


「足になんか付いてんのかな」


例えば物凄く速く移動出来るような、ジェット装置的な物とか。燐は結構真剣にそんな事を考えていた。


「本当に生足で走ってるとしたらオリンピックぶっちぎりだよね」


馬鹿な事を。自分でもそう思うがそんな考えが止まらなかった。何とか頑張って現実逃避をしたいらしい。これ自体が夢なんじゃ?と考えていると、才蔵が徐々に失速する。


「暫し」


才蔵は止まった車に近付いて来ると、運転席の隣に立った。燐が窓を少し開けると才蔵は、ぽそりと呟いて姿を消した。


一人残された燐は、取り敢えず恐怖から窓を速攻で閉め鍵も閉めた。エンジンはいつでも逃げられる様にと、つけっぱなしでハンドルを強く握る。


「って言うか、…まさかの置き去りとか無い、よね?」


暫し。確かそう言っていた。才蔵の姿が見えないからと不安を声に出した燐は、佐助も居ない事に気付く。


怖い


ここがどこか分からない。いや、佐助の言うように異世界かもしれない。実際カーナビの現在地を押すが、真っ黒で何も映らなかった。


黒い画面。伸びて来た黒を思い出すと燐は小さく身震いする。


「大丈夫。食料も水もある。無駄に下着も沢山あるし。…山なんだから過酷なキャンプと思えば、うん」


自分の許容範囲を超えた事が起こると、人は前向きになるか後ろ向きになるかの二択だと何かで読んだような読んでない様な。


どうせ頭使うなら前者が良いと燐は少し大きめの声を出した。


「水場の確保、食料の確保、比較的安全な寝床の確保。…出来てるんじゃない?今の所」


全て車一つで事足りたと燐は思うと、少しでも寝やすい様に荷物の移動とかした方が良いかなと車内を見た。


ぎゅうぎゅうの後部席。少し余裕のある助手席。燐はフットブレーキを確認した後、ゆっくりと足を離して靴を脱ぐ。


「意外と寝れそう」


運転席に横向きに座り助手席の方に足を伸ばしてみる。真っ直ぐ伸ばす事は出来ないが、この位なら許容範囲だと燐は呟いた。


「お加減、その、具合が…悪いのでしょうか?」


声に顔を上げると、窓越しに戸惑った感じの才蔵と目が合った。燐は座り直して靴を履く。


さっきは文句を言ってしまったが、振り返って考えてみれば、才蔵は今の様に分かりやすい様に言葉を選んでいるような気がする。


「具合は悪くないです。ちょっと…一人山生活の確認?」


燐は何かごめんと思いつつも、これからの生活をシュミレーションしていたと先程より更に困り顔の才蔵に告げた。

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