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ぬばたまの夢 闇夜の忍~暫く全力のごっこ遊びかよって勘違いからはじまった異世界暮らしは、思ってたのと大分違う。(もふもふを除く)~  作者:


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45.俺様、アンタの上役だっての

暫く話していると、周りの眩しい明かりが徐々に消える。しょーとーって時間が近付いていると姫様は片付け始めた。


「後はいーからさ、おふろ入ってきなよ」


粗方片付け終えてゴミをまとめていると、テーブルと椅子をテントに置いて戻って来た赤に声を掛けられた。


「なんで分かったの?」


怪訝な目で見ると、赤は呆れた顔で椅子に置いてたお風呂バッグを指す。


「周り全部消えたら暗いし、その前に行こうと思ってたんだろ?」


「あ、うん。けどもう少しで終わるし」


行動を読まれていた燐は何となく気恥ずかしくなりつつ、周りを見回した。


「炭位だからこっちでやるよ。熊、出るかもしれないんだし俺等が外にいるうちに行ってきなよ」


ちょいと脅かすと姫様は蒼褪めた顔で辺りを見回す。熊なんざほいほい人里に出て来るもんじゃねぇと思うけど。ま、気配も読めないみたいだし非力そうだし怖がるのは当然か


「あの、お言葉に甘えて行ってきます」


確かに熊怖い。そう思えば黒と赤に礼を述べ一礼した後、風呂へ向かった。燐の姿が消えると佐助と才蔵は大きく息を吐いた。


「はいよーいってらっしゃーい」


無意識に緊張していたのだろう、互いの顔を見合わせた。


「そんじゃ確認してこうぜ」


炭捨て場に火の気を完全に消した燃え残りと灰を捨て戻って来た才蔵を促すと、才蔵は同意と頷き向かいの椅子に座る。


「一人では纏まらぬ」


忍の里を把握している姫様が、俺達にとって排除の対象なのか考えた。考えた、けど。


「分かんねぇや」


佐助はぽそりと呟いた。里の場所等を知り過ぎてはいるが、手に掛ける必要はあるのだろうか。顔を顰める佐助の様子に、才蔵は口を開いた。


「先ず事実の把握に。姫君の秋祭りの内容から」


「あー、真田勢と片倉勢の戦の真似事だっけ?わざわざ真似事で戦を選ぶなんざ随分と酔狂だよなぁ」


懐から取り出した自作の帳面に何かを書きながら話し始めた才蔵に同調するよう言葉を続ける佐助。二人は先程の燐の話を思い出す。


『まさか。戦う振りですよ?本当に毎年戦ってたら大変じゃないですか、怪我人も出るだろうし。毎年ボランティアで甲冑着たい人達集めて、片倉軍と真田軍に分かれて戦うっていう演目です』


『地域の高校の体操部が忍者隊になって演舞したりとか、鉄砲と弓の実演は大人だったかな?発表会みたいな』


『お城の屋根の方から特別にロープみたいなの張って、忍の格好で降りてきたりとか。槍の演舞があったりとか』


姫様は思い出しながら楽しそうに話してくれた。驚愕過ぎてちゃんと会話を覚えきれてなかったから、思い出せるだけあの楽し気な声を思い出し整理する。


「此処の世は戦が無いって事は確か」


戦になれば怪我人どころか死体の山が出来る。あの言い方は戦を経験した事が無いんだろうと容易に想像出来る。


「多分、俺等の居た世と繋がりはある。四百年…これ考えんのは後でにしようぜ?」


同意するように頷く才蔵も小さく溜息が漏らす。


「推察以外の事実のみ認めらば良かろう。長の名、我等の名や里。伊賀、甲賀、風魔、越後、甲斐、尾張と。地と名が入り混じらば姫君は見知った程度では」


「どっかで聞いた程度って事?って事は、秘匿は既に秘匿でも何でもねぇって事かね?」


色々と、とんでもない事をさらりと述べていた燐を二人はそれぞれ思い浮かべ、それぞれの眉間に皺が寄る。


「知らぬ。今は事実のみを。長の推察は不要」


俺様、アンタの上役って分かってんのか分かって無いのか。長と呼ぶわりに無礼じゃねぇ?


「あー、そうね。俺の呼ばれ名が出てたっけ。なぁ黒脛巾だっけ?知ってた?」


まぁいいや。事実のみ、ね。その事実で引っ掛かった事を問い掛ければ、同じく怪訝に思っていたのか才蔵が顔を上げた。


「陸奥が忍、脛巾は黒と。その様な呼名とは」


確かに出羽や陸奥の、おっかない竜の元にも忍が居た。だけど才蔵と同じく、そんな名だったなんて初めて知ったよ


「あそこの忍達の衣も変わってたよなぁ?どうせなら五色丸組にでもすりゃあ良いのにな」


「五色の丸印、下忍等は印の無き物なれば呼び名は黒脛巾が妥当」


まぁ確かに、あの丸印の忍服は組頭だろう上忍しか着てなかったかも。よく見てるねぇと才蔵を見れば、嫌そうに息を洩らす。ねぇ俺様、アンタの上役!


「風魔小太郎と。風魔衆ならば首領が代々名を繋ぐ相模の獅子」


「後、服部半蔵ね?あれも名を継ぐんだったよな」


「如何にも」


「だったら何代目の風魔と服部の事を話してるのかは分かんねぇって事か。あ、けど猿飛佐助は俺一代じゃない?」


自分と同じ名が、同一人物だとすれば四百年先に居ると言う不可思議な事柄にも信憑性が出て来る。


「長の次代より名を継いでいる事も考えうる」


佐助の考えに返答するも、この男が流派を起こし伝承するだろうかと思いが浮かぶと眉根を寄せた。

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