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ぬばたまの夢 闇夜の忍~暫く全力のごっこ遊びかよって勘違いからはじまった異世界暮らしは、思ってたのと大分違う。(もふもふを除く)~  作者:


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27.淡憂

淡憂たんゆう

【意味】淡い心の痛みや憂いを表す。深刻ではないが、心にわずかに感じる不安や痛みの感覚。

一応調べてからタイトルに採用しております。意味は先?後?最初に分かった方が良いかな?と前書きに載せてみました。


R-15なのかな?です。


組み敷いた姫様は、花によく似た良い匂いがした。一度目は三途の川に咲き乱れているという花を思い浮かべた。次に浮かんだのは萌黄色と滑らかな傷一つない、仄かに色づいた肌。この驚いてる顔も記憶に残るだろうと思いながら顔を寄せる。


「やっぱり。ねぇアンタってばいー匂いするよね」


首筋に顔を埋めれば花の匂いが濃くなる。やっぱり。気が付くまで包まれてた、姫様から借りたっていう軽くてふかふかしたあったけぇ布も、貸してあげると寄越された布も花の匂いはしたけど、移り香って事か。

胸の内をふわふわとしたあわが覆う。


「っ」


小さく身じろぐ姫様。忍び如きの手に落ちるなんて屈辱でしかないんだろうけど、この花に似た匂いをこの時だけは独占していると思えば自然と笑みが零れた。


「可愛い反応ー」



顔を顰めたままの姫様。ま、忍如きに組み敷かれてるんじゃ当然か。そう思うと短い痛みが走った。


「ねーぇ、アンタともっと仲良くなりたいんだよねー」


此れは本心。思ってても言っちゃいけない方の言葉が口を突いて出て来るなんてまだまだ修行が足りないみたいだわ。

魅かれるようにこつりと軽く額を合わせると、顰めた顔と反し、柔かく花の匂いに包まれる。


「っ、…こういう時はおめめは瞑るの」


気が付けば柔かいもんが唇に触れていた。濃くなる花の匂いと柔らかい感触。

自分の奇行に驚いて顔を離した佐助は目を見開き見上げる燐の両目をそっと覆った。一瞬、瞳に映った自分は何とも腑抜けた顔をしていた。


ほんっと、如何しちまったんだろ?


こんな状況で出会っていなければ、人の振りをして近付いていたら、そもそも自分が忍以外の例えば御大名だったなら。

次々と胸の内に浮かび上がる思いに佐助は小さく首を振る。


「このまま閨を共にしたら、仲良くなれると思わなーい?」


房術を駆使してゆっくりと体を解せば、この花の香は強くなるのか。顰めた顔は色付いて、滑らかな肌は淫らに蠢くのか。

忍如きでもやりようはある。ただ体力持つかね?と不安に思っていた佐助は燐の言葉に顔を顰めた。


「全く思わない。こういうの恩を仇で返すっていうんだかんね?どけ」


そう、全く思わないのね上等じゃないのさ。姫様の怒気を含んだ低い声音に胸の内のあわは綺麗に消えた。


「んじゃ、恩は体で返すって事でー」


元々懐柔すりゃ手っ取り早い事に変わりは無いんだし、全く無いなんて言いきってくれちゃって。

この姫様が色欲に塗れて声を上げて体を揺すって、縋る様を見てやろうじゃない、と笑みを張り付けた。


いつも通りに、ってね。


普段通り人目に触れる事の無い布の奥に手を忍ばせ喜ばせ解す作業を始めようかと思うも、まだ触れても居ないのに腰の辺りが熱を帯びる感覚に佐助は内心首を傾げた。


久々だからかねぇ。


思うように動かない体も勝手に反応する自身も、こんな状況下なのに気になる胸の内のあわも。

把握出来ない自分に苛立ちつつも作業を進めようとした佐助は、折角だから楽しみましょうかと再び唇を近付けた。


「っつー!!」


触れる手前、姫様の口許が弧を描く様に歪んだ様な気がした。綺麗に笑みを浮かべる姫様に呆けていたのかもしれない。

油断してたなんて情けねぇ。続く下腹深く走った激痛に体が反応し背が丸まる。

それでも暗器を入れた懐が姫様に触れないようにと激痛に耐えていると、更に追い打ちをかける様に今度は額に衝撃が走った。


「いっだーっ!!」


何この姫様?ほんとなんなの?!

大事な商売道具、使えなくなったらどうしてくれんだよ!って、今度は頭突きしたよね?!

指先に傷一つ無い様な姫様って嫋やかなんじゃねぇの?!


「…アンタ、仮にもどこぞの姫君がんな事言っちゃ駄目でしょーがっ」


驚愕し過ぎて声も出なかったわ。なんなのこの姫?!股間って股座の事だろ!?今更そんな顔したって遅いっての!


何なんだってんだよ。この姫様に関わると碌な事が無ぇ。背を押され外に押し出されてるってのに、胸の内にはふわふわと柔らかいあわが漂ってる。


「はい。わだいのぱん」


腹が減ってると声を荒げるから、貰ったもんを取り出すと、驚いた様に此方を見る姫様。

そんな驚くほどのもんなの?まぁ確かに旨かったけど。そんなに価値のあるもんなら、しゃぼんの借りを返す位にゃなるかね?


「え。あ、ごめん声に出ちゃってた?」


忍に施すなんて酔狂な事をする姫様にゃ貸しなんざ思いもしねえのか、と思うも借りっぱなしは嫌だと手を引込めりゃ今度は訝し気にこっちを見てる姫様。

この御人、ほんっとうに素直にお育ちになってらっしゃる様で。胸の内と同じような表情を向ける。

確かに金子も持ってないのにって疑うのは当然だけどさ?それで奪ったとか盗人って考えちゃうのって如何よ?


「ありがと、いただきます」


漸く諦めたようにぱんを取り出す姫様を見てりゃ、礼を述べ微笑む姿に再び胸の内が白いあわで覆われた。

先ず、メッセージありがとうございます。とても嬉しいです。うふうふしながら拝見させていただきました。


違和感がありつつも、ここまで読み進んでいただいた方へ。しっかりとお読みいただきありがとうございます。

特に違和感なく、ここまで読み進んでいただいた方へ。補正力を発揮していただきありがとうございます。


25.ですが、下書き候補を間違えて投稿してしまいまして。ご指摘がやる気に変わりギュッと纏めた形で27.になっております。教えていただくまで気付かず、すみません。


私の妄想垂れ流しが、誤字報告や評価やメッセージで一方通行では無く、一緒に楽しんでいただける方も居るんだと分かり嬉しい限りです。

今後もよろしくお願いいたします。

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