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2.暗闇の衝撃

「結局暗いな」


風呂桶を元に戻し着替えて髪を乾かして靴を履きドアを開ければ外は真っ暗。


まぁ間に合いませんよね


持って来たライトを片手にドアを閉め、使用後は消灯と書かれていたため、特に何も考えずドア横のスイッチを押した。


「うぉ?!」


途端に闇に呑まれたような感覚に身震いし奇声を発すると、慌てて手に持ったライトを点ける。


「光に慣れてると暗闇って怖いわ」


見慣れない景色だから尚更なのかと思い直し、ライトで照らした暗闇に足を踏み出した。


「テント、どっちだっけな?」


やがて仄かに周りが明るくなった気がし、立ち止まって空を見上げる。


「コンビニも街灯も明るかったし、今まで夜道に空なんて見上げる事も無かったけど、照らして貰ってたんだよね」


薄っすらと姿を見せた月を確認すれば、ちょっと明るいだけでも安心するわと淡く光って見える月に小さくお辞儀をした。


「ありがとうございます」


流石に月明りだけでは心許なくライトで足元を照らしつつ、テントの方向を照らし異変に気付きビクリと跳ねた。


「ヒッ!…何あれ?あんなの来る時あったっけ?」


短く悲鳴を上げ、恐怖に声が出ている事も忘れその場に立ち止まった。


帰路の途中の少し離れた木の幹に不自然な影。


逃げ道の確保と先に振り返り温泉の建物を確認し、次に丸めた布団の様な物体に恐る恐るライトを向けた。


「···人形?人??」


怖い。けどあの横を通らないと帰れない。

いや、多分帰る事は可能だとは思うが風呂上がりに暗く草が生い茂った何があるか分からない場所を迂回したくない。


「...」


周りを照らした後で、どうするかと暫く考えながら良く分からない物体を照らし続けていると、微かにそれが動いた気がした。


「…動いたよね?気のせい?風、とか?」


襲って来ないかと警戒を含めライトで顔付近を照らすも無言。これ以上近付きたくない。


朝見たら変形した木でした。みたいなやつ?


目を凝らすと、そこには木の幹に寄り掛かるようにして座る黒い人型と、その足先で地面に寝ているような赤っぽい人型。


ドッキリとかの人形だったら明日朝一で苦情入れてやる


イラッとしつつ、もう少しよく見ようと近付き照らし続けると黒い方が微かに動いた。


「う、動いたよね?!今っ!これホント動く人形とかだったら置いた奴探してぶん殴りに行くかんね?!」


何かの企画なのか?恐怖と戸惑いにキョロキョロと見回しながら周りに聞こえるよう声を大きく威嚇した。


「なんなの?…何でこんな所に人形なんて置いてあんの?」


見間違いか全く動かない人型。テントサイトに自分以外の宿泊客は居ないと言われていた。


人いないのに、わざわざドッキリ企画とかやらなくない?


良く分からない状況に困惑しつつ、この道を通りたいので仕方なく少し距離を縮めた。


「ヒッ!ちょ、なんなのマジで?!人?何やってんの怖いんだけど!!」


「…」


多分照らし続けて数分。体感的には数十分。

ガン見していると幹に凭れかかっていた黒い人型が鬱陶しそうに片目を開けた。


「え?やっぱ人なの?!」


恐怖から声を荒げるが、人影は相変わらず動かないし、何も発しない。


「え、ちょっと何やってんですか?こんな所で...」


恐怖よりも興味が勝り、確認するように近付きながら距離的に近い寝ている方の足先をライトで照らせば何故か草鞋を履いている。


「…え?それ、わら、じ?だよね?」


首を傾げつつ寝ていた人型の草鞋の先をゆっくり照らし、声を掛けた事をちょっと後悔した。


「え、(しのび)?…何故」


思わず声が出た。忍だ。寝ている赤に続いて照らした黒もよくよく見てみれば、イベントか時代劇位でしか見ない様な忍の格好をしていた。


うわぁ


しかもなりきり具合が半端ない足元草鞋な2人。


「あのー」


絶対人だ。目を凝らせば、その色絶対忍気無いよね?って赤い背中が上下に動いていた。


寝てんの?こんな寒いのに?


うつ伏せの赤から視線を座る黒へ移しながらゆっくりと照らして行くが何の反応もない。


忍ごっことかするなら他でしろよ


と思いつつも、平日の林間サイトって忍ごっこには最適なのか?と更に良く分からなくなった状況に顔を顰めた。


「ええっと、忍の人、ですか?」


自分でもおかしい質問をしたと思ってる。でもそもそもこの状況が既におかしいんだから仕方なくない?


忍かと問い掛ければ体を強張らせる黒。けどもうさ、その恰好で忍ですか以外の確認方法ってあります?

てか絶対忍じゃんね?

次は忍視点。重複する内容なので不要な方は4.へ

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