死にたいわけじゃないの
2023.11.22
今日は意識の高い大学生が集まる場所に出向いた。初対面は必然的に自己紹介が飛び交う場所で、皆自分が何者であるか示す。何の肩書きも功績も有さない私にとってとびっきりに心地が悪い空間だ。あなたは何をしてる人なの?どんな人なの?と聞かれる度、友達の紹介で、、としょうがなく来たふりを繰り返す。どこまでも嘘つきだ。なぜこんな場所にきたんだろう。こればかりは、多少の向上心を持ち合わせている自分を恨むしかない。どこかに羽ばたく勇気もなければ、劇的な人生を歩むことへの憧れも捨てられずにいる。逃げることへの言い訳だけをいつもいつも必死に追いかけながら。そんな想いに耽りながら、大して興味もない人と大して興味のない話を繰り広げる。休日は何されているんですか?だいたい家でネトフリ見てますね、友達少ないんで。といつものラリーをすると大抵そうはみえないですね、との返答。社交的だと言いたげな相手を見る瞬間は悪くない。きっとそう見られてるのは会話の中で質問や話題を提供することが多いからだろう。でもそれは、自分を掘り下げられたくないという一心で相手に話題を振っているのにすぎない。残念ながら私は、そんな一瞬で気を引けるプロフィールなんて持ち合わせていない。そのうえ、これから一生関わることのないかもしれない人間からでさえもつまらないというレッテルを貼られたくないのだ。とことんちっぽけで弱い。そんなこんなで嫌気がさし殺してくる長い長い時間が終わり、やっとお開きになった。会場の外でだべる、、だべっている途中に飲みに行きましょう!と誰かがいう。ほとんど反射でとりあえず乗り気なふりをした。内心、早く帰りたくてしょうがないのに私の心と体は一致していないのだろうか。実際そこにいる友達は1人だけで、あとは全員初対面だ。後の関わりなんて考える必要がないのだから、明日の朝がはやいので帰ります、の一言で終わるはずだ。頭では分かっているのになぜかとても断りずらい。また弱い自分が浮き出てきている。そんなことに気づいた瞬間、誰かから電話がかかってきたふりをして駅までダッシュした。こんなとこ誰かに見られる方が圧倒的にまずい。そんなことを想像する暇もないくらいに無我夢中でダッシュした。刺激されたコンプレックスを振り切るようにダッシュした。そんなもので拭い切れるわけがなかった。
2023.12.04
いつもと変わらない作業をこなす。今日のシフトは16時から23時だ。夜はお客さんが来ることが少なく、ただひたすら店長としゃべっていることが多い。今日もそんな感じだ。私は夜のシフトが多いため、すぐ店長と仲良くなった。性格は違うが相性は良く、くだらない話から真面目な話までありとあらゆる話をした。今日は恋バナだ。うきうきで店長も話しているが、私もバカではない。こんなウキウキそうな店長が抱えている問題にはっきりと気づいているのだ。何が契機なのかは知らないが、店長は間違いなくオーナーと揉めていた。店長は私にもの凄く暗い過去、人に話せるか絶妙なラインに乗っている身の上話を教えてくれた。それほどに私たちは仲良しだ。しかし、私は決してオーナーと何かありましたか?とは聞かない。今日もバカなふりをして全く気づいてませんよという顔でやり過ごす。狡猾だ。誰かの内側に入って執着されることが怖くてたまらないのだ。そんなことになったら正直めんどくさい。相手から頼られて自分のキャパを超えてしまうことを最初から恐れている。その結果、目の前で大切な人が困っているのを素通りする。下手したら、いや下手しなくともいじめよりも陰湿だといえる。見て見ぬふり。見たことは決して悟られないように。今日のシフトはそんな風にやり過ごした。それから2日経った今日、店長がやめた。問題に気づいていたとはいえ、さすがに驚きが隠せなかった。私は力になれただろうか。最近大変そうですけど大丈夫ですか?と一言声をかければよかっただろうか。何かを変えられただろうか。店長を救うチャンスはごろごろ転がっていたのにチャンスを失ってからチャレンジしなかったことを後悔する。結局自分が大切で、自分以外何も見えていなかった。見えているのに見えていないふりをしているだけ、と自分をすごいもののように扱い、自尊心だけ一丁前に満たしていた。まだまだ私は子供だった。