おにおにじまの ももたろう ばなし
元々、絵本用に書いたものを童話っぽく書き直したものです。
おにおにじまの はまべに、30ぴきほどの おにたちが あつまっていました。
「ああ、ももたろうが きたら どうしよう」
「おにがしまの おにみたいに、たいじされちゃうのかなあ」
おにたちは、ももたろうに おびえていました。
けれど、おやぶんの あかおにだけは ちがうようです。
「おれさまは ももたろうに かつじしんが あるぞ」
「えー? ももたろうは つよいですよ~。むりむり~」
あおおにが、くびを ふります。
「だいじょうぶ。おれさまは まいにち 100キロの いわを もちあげて きたえてるからな。かてる かてる」
「えー? でも、ももたろうは 200キロの いわを もちあげるらしいですよ」
に、200キローーー!?
あかおにの ひたいから、あせが たらりと ながれました。
「だ、だいじょうぶ。おれさまは まいにち ごはんを 10ぱいも たべて、ちからを つけているからな。かてる かてる」
「えー? でも、ももたろうは 20ぱい たべるらしいですよ」
に、20ぱいーーー!?
あかおにの ひたいから、あせが たらり たらりと ながれました。
「だ、だ、だいじょうぶ。おれさまは まいにち かわで およいでいるからな。かてる かてる」
「えー? でも、ももたろうは あらうみで サメと いっしょに およいでいるらしいですよ」
あ、あらうみで サメと いっしょに およぐーーー!?
あかおにの ひたいから あせが たらたら たらりと ながれました。
「だ、だ、だいじょうぶ、だいじょうぶ。おれさまは からても ならったことが あるからな。かてる かてる」
「えー? でも、ももたろうは からてと けんじゅつと……」
「すもうと カンフーも ならい……」
「たきに うたれて しゅぎょうも したらしいですよ」
か、からてと けんじゅつと すもうと カンフーと たきに うたれて しゅぎょうーーー!?
あかおにの ひたいから、あせが たらたら たらたら たらりんこ。もう かおじゅう あせまみれ。
「も、ももたろうって、そんなに す、すごいのか……?」
あかおにが がたがた ふるえだすと、ほかの おにたちも なきだして しまいました。
「うわあ。ももたろう こわいよ~」
「たいじされたくないよ~」
そのとき、きおにが てを あげました。
「はい! おりこうさんに していれば、ももたろうも おにたいじに こないと おもいます!」
おおーっ!! おにたちから いっせいに はくしゅが おこりました。
「そうだ そうだ」
「いいかんがえだ」
「すばらしい!」
それからというもの おにおにじまの おにたちは、おりこうさんに くらしましたとさ。
おしまい
読んでくれてありがとう。