第八十話 リリアンの推し活 5
リリアンとロイは仲良く薬草園を散歩しているはずなのにどうも様子がおかしい。
怪訝に思ったイーラーが台所を覗くと、リカルドがリンゴでウサギさんをたくさん作っていた。
その横ではリリアンがリンゴをぴょんぴょんさせながら口をもぐもぐさせていて、
「遊んでないで早く食べないと茶色くなっちゃうよ。」
などとリカルドに注意をされていた。
いつも通りのおやつの時間の光景に、ロイなど初めからいなかったかのようだ。
「???????」
イーラーは首を傾げた。
そして、その日の夕食はタコさんウインナーに、大根や人参を白鳥や魚や花に飾り切りしたものが添えられていた。
イーラーはますます首を傾げた。
「それは、些細なことかも知れないけど、私たちには妥協できない決定的な見解の相違だったんです。お互い見ないふりを通すこともできたかも知れないけど、そういうのが積もり積もって憎み合いに発展しないうちに……よくあるんです、同担同士がそうなることが……手を引いた方が良いねってことになって。」
イーラーと二人きりでお風呂に入りながらリリアンは寂しそうに言った。
「せっかくリカルド様について遠慮なく語り合えるお友達ができたと思ったのに。」
と、溜め息をつくリリアンの横で、イーラーは海よりも深く溜め息をついた。
リカルドには申し訳ないが、リリアンとロイの縁組は当のリリアンよりも乗り気だったのだ。
むろん、リリアンの幸せを第一に考えてのことではあるが、魔導士の名門ガードナー家に強力なコネクションができるのは商売人でもあるイーラーには大いに魅力的な話だった。
「イーラーさんにもガッカリさせてごめんなさい。」
「い、良いのよ。」
イーラーは慌てて言った。
「これからも二人でリカルド様を推していきましょうね。」
「はああ!?私!?」
ずっこけたイーラーは湯船で溺れそうになり、ますますお風呂が嫌いになった。
リカルドはリリアンとイーラーにおやすみを言って裏庭へ出た。
肌に冷たい空気が心地よい。
小屋へ戻る前にヤギ小屋へより、飾り切りでたくさん出た野菜のかすをヤギ達にわけてやった。
リンゴをうさぎにしたり、大根で白鳥を作るだけであんなにリリアンが喜んでくれる上に、ロイヤル・ガードナーとの仲が疎遠になるのならば、毎日でも作ってやろう。
「知ってるか?実は俺は密かに金魚や白菜の形のシューマイや魚の形のギョーザ作れるんだぞ。リリアンが見たらびっくりするだろうな。」
リカルドはヤギに話しかけた。
そう言えば、今日のメイド姿のリリアンはいつもよりもずっとずっと可愛かった。
それを言ったらまた怒られるかもしれないので黙っていたが、特にスカートの下から覗く真っ白なペチコートが素敵でたまらなく刺激的だった。
あんなにきれいなものをこのヤギがまた食べてしまったら一大事だ。
リリアンとリリアンの下着はこの俺が守ってやらなきゃな。
リカルドはリンゴをかじりながら考えた。
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物語もそろそろ終わりにさしかかってきました。
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