第二十八話 リリアンのぼうけん おとまり
第二十九話も同時に更新します。
よろしくお願いします。
「むさ苦しくて悪いけど、二人は俺の寝室を使ってくれ。」
「い、い、いえ、お構いなく、私たちはその辺の床に転がって寝ますから!」
リカルドの提案に、リリアンは熊の頭が吹っ飛ぶのではないかと言うくらい、激しく首を振った。
「えーっ、私ベッドがいい。」
ヤンセンの当然の抗議に
ばしっ。
と、リリアンの拳が飛ぶ。
「平気だよ、野宿は慣れてるから、今日はスレッジ・ハマー号と寝るよ。
二人こそ、夜通し歩いて来たんだろ?今日はゆっくり寝ると良いよ。」
リカルドは先程おばさんが持って来てくれた洗濯したばかりのシーツでベッドを整えると、さっさと外へ出てしまった。
が、ハマー号のいる小屋に入るや否や、途端に落ち着きを無くし身悶えをはじめた。
変なオマケがいるものの、この俺のベッドでリリアンが一夜を過ごすことになろうとは!
もう二度とあのシーツを洗う事はないだろう、とリカルドは思った。
寝室を覗いてリリアンの寝顔が見たい、せめてベッドの壁側か床側のどっちで寝ているのか今後のために確かめたい、という欲望を四肢を切り落とすほどの思いで打ち消し、悶々とした夜を過ごすのだった。
一方、リリアンもベッドに身体を横たえたものの、とても眠るどころではない。
(リカルド様のおふとん…。
リカルド様に包まれているみたい。)
落ち着きなく身体をもぞもぞとさせてしまう。
しかし、幸か不幸か、全てを台無しにする女が隣に寝ていた。
「何かこの部屋オヤジくさーい。」
どかっ!
隣に寝ていたヤンセンにリリアンの足が飛ぶ。
「いったー!!!
ちょっと、リリアン寝相悪っ!」
「お黙りなさい!
あなたは床にでも転がっていなさい!」
「はああっ!?」
しかし、旅の疲れもあり、リリアンはヤンセンよりも先に寝てしまった。
「リカルドさま…。
いけません、リカルドさまったら…。
もうお腹いっぱいです。そんなにたくさん食べられません…。
むにゃぁ……。」
時折、寝言を言いながら、安らかな寝息を立てているリリアンの横で、ヤンセンはまんじりともせず、左手の人差し指を見つめていた。




