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第二十一話 蛙を巡るおっさんの残念な冒険 エピローグ

短めです。

 リカルドとレンリーは柳の下で葡萄酒をちびちびとやりながら語り合っていた。


 話をしてみるとレンリーは魔物とは言えなかなか良い奴で、自分でそうと知らぬうちにお尋ね者になってしまったところなど、追い剥ぎや強盗にたびたび間違われてしまうリカルドは妙に親近感が湧いてしまうのだ。


 酒が入るとつい同じ事をくどくど繰り返してしまうという、おっさん特有の習性を持つリカルド相手に、レンリーは辛抱強く相槌を打ってくれている。


「俺にも魔法が使えたらなあと思う時もあるさ。

特に、いけ好かない野郎に、大切な物を踏み躙られるような侮辱を受けた時なんかにさ。」


などとボヤくリカルドに、


「あら、それならば調度良いものがございますわ。

どうぞこれをお持ちになって下さいな。」


レンリーはある書物を差し出した。


表紙を見ると、


『初級レベルでもこんなに使える!

実用まじない72例 日常生活編』


と書かれていた。


「そうと決めたら始めるのに遅いと言うことはございませんのよ。

ほら、この、『嫌な奴の頭に鳥の糞を落とす』おまじないなんていかがですか?」


「なるほど、これは良い。

さすがに雷はやり過ぎだと思っていたからな。

おお、裁縫のまじないもあるぞ、これだ、これだ、これこそ、俺が探し求めていた書物だ。

かたじけない、恩に着るぞ、レンリーとやら。」


 リカルドは受け取った本をパラパラとめくりながら目を輝かせた。


 今に見ていろ。


 リリアンのことをちんちくりんの変人だと言いやがった憎き市長の下男の頭に、鳥の糞を雨のように降らせてやる。


「実を申しますと、この書物には私もスペシャルアドバイザーとして執筆させていただいてますの。

ほら、ここの、『臍で茶を沸かす』おまじないのページ。」


「何っ?それはすごいな。ううむ、こんな難しいのは俺にはできそうにないな。」


 リカルドの心からの賛辞に、レンリーはうふふふふ、とか細い声で笑った。


「よろしければ一筆書かせていただきましょうか。」


「おお、頼む、いや、よろしくお願いします、作家先生。」


 リカルドはもらった書物をレンリーに返した。


 レンリーは裏表紙に慣れた手つきでさらさらと署名をした。


「本日はわざわざお越し下さってありがとうこざいました。

本に入れるお名前は何と書けばよろしいですか?」


「名前?名前か?俺の名は…」



 俺の名はリカルド・クラークソン。


(おわり)


読んでいただいてありがとうございました。


次章から新しいお話が始まります。

イーラー達は、リリアンを冒険に連れて行こうと作戦会議をはじめます。

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