☆魔女アルバのオラクル日記☆ その2
夕暮れの台所から。
この街に来てもう何年だろう。
子供たちは老化、じゃなくて大きくなって、あたしと配偶者は経年変化を体現してる。
この土地は自信を失くしているみたいだったから、あちこち行って、そうでもないわよ?と歌ってあげた。
土地っていうのはわりと生真面目。
他の言い方をすると、自分というものの使い方をよおく知ってる。
だから、土地は自分を許せないことがある。
人間のあたしができることは限定的だけど、できることをするなら、感謝。
感謝一択と言ってもいいのではないかしらね。
あなたのおかげで
と、土地へひとこと言ってあげたらそれでもう充分みたいね。
生真面目な御方ほど単純なひとことに崩折れるもの。
それだけ純で粋なのよ。
御山が火を出したのはあなたのせいではないし、
御山が火を噴いたのは自然なことですし。
この星を廻るほとばしりを“りゅう”と名付けて久しいけど、
りゅうがみなぎり、ほとばしった場所が、たまたま集落だったということの背景について、こういう生真面目な御方には丁寧にお伝えする必要があるわね。
だって、見てよ。
夕暮れのこの穏やかさ。
みんな安心してる。
上昇にしか価値を見いださない土地の御方は、そろそろ気がついて欲しいわ。
上昇しか認められないのは、あなた様の本心ではございませんよと、今日はよく言っておきたい気分だわ。
昔々の想いのかたまりを、はずしましょうね。
お酒でも飲みながら。
マノコトワリヲヨクノルモノ
魔女アルバ
遠き山に陽が落ちて
いざやたのしきまどいせん